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29 兄貴が増えるよ、やったねレンくん!

本日四回目の更新です!


 俺達はもずく兄弟を打ち破り、見事勝利した。

 舞台からもずく兄弟の姿は消えて、次の挑戦者を待つ。


 このイベントに参加した主な目的は、もずく兄弟に勝つことだ。

 とはいえ、せっかくここまで来たなら入賞も狙いたい。


「姫ちゃん、このままあと二勝、頑張ろう!」


「はい!」


 レンも同じことを思っていたようで、これは気合いが入る。


 そうして俺達は無事に三連勝して入賞した。

 一番最初の受付のあった特設会場まで飛ばされて、待ち時間の間に眺められるように賞品リストをもらった。


 リストには素材や特殊な消費アイテム等の数種類が載っている。

 変わったところだとスキルもあるようだ。

 一応各種別毎に三つくらいしかないから、そんなに悩まないかもしれない。


 だけど、うーん、どうしても悩んでしまう。


「レンさん、どれがいいと思いますか?」


「うーん、杖があれば良かったんだけど見当たらないし、スキルはどれも効果が低いし……」


「ふむふむ」


 そういえば、このイベントの目的は交流だった。

 強い人を更に強くするようなものは景品として用意していないようだ。

 早い者勝ちとはいえ、順位問わずで百組だからな。

 質より量ってことだろう。


 リストを詳しく見てみると、近日実装予定のアイテムも結構あるようだ。

 宣伝も兼ねているんだろうか。


「レンさんは、武器が欲しいんですか?」


「そうだね。とりあえずで買っただけで、この杖も性能はあまり良くないし」


「なるほど……」


「姫ちゃんが欲しいものがあれば、僕が代わりにもらって、姫ちゃんにあげるよ?」


「いえいえ、それは止めておきましょう」


「でも僕だけだったら絶対に無理だったし……」


「それは私も同じですよ。二人で入賞したんですから、仲良く一つずつ。それが一番です」


「そっかぁ」


 レンは何故か微妙に残念そうにしながら、再びリストに視線を落とした。

 俺も、リストへと意識を向ける。

 うーん、悩む。

 お、装備に使えそうな素材もあるのか。


 これなんかはレンに良さそうだ。

 NPCの店で買うよりもドロップ品や、プレイヤー作成のものの方が性能は良いって聞くし。

 俺は性能の良い装備が揃ってる上、空いてる枠もそのシリーズで埋めたいからあまり手を出す気にならないが。


「よお」


「うん? ……もずく兄弟」


 声を掛けられたのでそちらを向くと、ソフトモヒカン二人組がいた。

 レンも姿を確認したようで、その名前を口にしていた。


「おいおい、そんなに睨むなって。オレ達は約束を果たしに来たんだぜ。なあ兄者」


「そうだな弟者。二人とも、すごかったぜ。まさかあんな手段でオレ達に勝つとは、予想外だったぜ」


「それで?」


「二人を……いや、クラスや極振りを馬鹿にしたことを謝らせてくれ。申し訳ない」


「すみませんでした」


 モズが頭を下げ、ズクも続くようにして謝罪した。

 びっくりした。

 本当に謝りに来てくれたらしい。


 驚いていると、二人は頭を上げようとしない。


「あ、頭を上げてください」


 ずっとそのままでいられるのも困るので、慌てて促したところでやっと頭を上げてくれた。

 なんだ、実は良い奴らなのか?


「慰謝料だったな。二人とも、何か欲しいものはあるか? 無ければ適当に見繕うが。なぁ兄者」


「そうだな弟者。持っていればこの場で渡すし、無くてもオレ達で用意出来るものなら取って来よう」


「そう言われてもなぁ……」


「それじゃあ、レンさんに杖を下さい。私はいりません」


「姫ちゃん?」


「さっき杖が欲しいって言ってたじゃないですか」


「確かに言ったけど……」


「遠慮するんじゃねぇよ、レン。オレたちゃもう友達だ。そうだろ兄者」


「その通りだ弟者。そしてオレ達はソウルブラザーだぜ、レン。約束はきっちり守らせてもらおう」


 何故かここに来て遠慮するレンの代わりに希望を伝えた。

 それでもレンは遠慮しようとするが、もずく兄弟がぐいぐい押してきた。

 義理堅いのか、それともレンを気に入ったのか。

 両方かもな。


 もずく兄弟はせっせとウインドウを操作している。

 どうやらストレージを漁っているようだ。


「おっ、これなんて使えるんじゃないか兄者!」


「マジックトレントの素材か。ばっちりだぞ弟者!」


「よし、杖はオレ達のダチに頼んで制作してもらうから、詳しい注文をしてくれ兄弟」


「大きさ重さ、手触りやボーナスの希望等、細かく頼むぜ兄弟」


「えっ、ちょっ、まっ、姫ちゃん、たすけ」


「いってらっしゃい」


 もずく兄弟に両腕を抱えられて引きずられていくレンを、笑顔で見送った。

 希望通りの物が出来上がるといいな。


 そんな優しさに溢れた俺に、もずく兄弟が振り返った。


「そうだ。オレ達も姫様って呼んでいいか?」


「オレもそう呼ばせてくれ。何でも力になるぜ?」


「はい、いいですよ」


「それじゃあ姫様、レンは借りていくぜ」


「また会おう姫様」


「待って待って、僕は別にそこまでしてもらわなくても大丈夫だから――姫ちゃん!?」


 今度こそ、レンを見送った。


 夜の部はなんでもありの殺し合いがメインだったから、俺は参加を見送った。

 こうして、イベントは無事に終了した。


 俺が賞品としてもらったのは、布素材。

 頭装備はもう埋まっているが、リボンはアクセサリー枠で装備出来るらしいからこれにした。

 これで可愛いリボンを作るんだ。

 

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 心がメスに堕ちていく…w
2020/12/24 21:39 退会済み
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