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21 魅力と報酬は比例する?


 日曜のお昼、ダリラガンとダイナがログインしてきたので、一緒に遊ぶことにした。


 相談した結果、≪冒険者協会≫で受けることの出来るクエストを熟していくことに。


 クエストは必ずしも戦うわけじゃないのが決め手だ。

 この三人だと戦闘力に不安が残るからな。

 

 ちょっと不安もあったが、特にショートカットはされなかった。

 どうやら協会で受けるクエストは話しかけるだけで終わったりはしないようだ。

 条件が事前に提示されているんだから、当たり前だ。


 しかし、報酬がちょっと多めにもらえたりはした。

 報酬を三等分したとしてもかなり稼げた計算になる。

 三時間程の成果としては充分だろう。


 一仕事終えた俺達は噴水広場の隅っこに腰かけて、三人で雑談タイムだ。


「思ったよりも稼げましたね。これも姫様のお陰です」

 

「おう、いっぱい稼げたな。姫さん様様ってな。これでやっとまともな防具が買えるぜ!」


「私のお陰というか、皆の頑張りの結果ですよ」


 クエストは、アイテムや薬草の取集といった、採集クエストがメインだった。

 フィールドを駆け回って必要なアイテムを集める感じのやつだ。


 全員≪敏捷≫は1であり、種族的に俺が少しだけ速いけど、誤差でしかない。

 アイテムを探すのも集めるのも、特別役に立った覚えもない。


 だから皆の努力をアピールしたが、ダイナはそうは思わなかったようだ。


「いえ、間違いなく姫様のお陰です。僕も少しは調べましたからね。βテスト時代のまとめで、≪魅力≫に振るとクエストの報酬が少しおまけしてもらえたそうです」


「マジかよ、そりゃすげーな!」


「ダリラガン、さっきのは知ってて言ったんじゃないんですか」


「オレは、姫さんがいるとクエストに張り合いが出る的な意味で言ってたんだけどよぉ。そういう効果もあったんだな」


「確かに、そういった意味でも十分に僕達の助けになってましたね」


「だろ!?」


 なるほど。

 βテストの時点でもしっかり確認されてたのか。

 ≪魅力≫に振っていると報酬がアップ。

 これが、ヘルプに書いてあったいいことなんだろう。

 

「そうなんですね。お役にたてたなら良かったです」


「いえいえ、本当に助けにしかなってないですよ。こちらのほうこそ付き合っていただいてありがとうございます」


「ありがとうな姫さん!」


「あ、いえ」


 牙っぽいものを覗かせる笑顔が眩しい。

 特に何かをした実感がないせいで、お礼を言われるとどうにも恐縮してしまう。


 でも、役に立てたのなら良かった。


「では、早速装備を買いに行きましょうか。姫様はどうしますか?」


「どんな鎧があるか楽しみだぜ! 姫さんも一緒に行くか?」


「私は一旦落ちようと思います」


 この場合の落ちる、はログアウトのことだ。

 もう五時も近いし、軽く運動と仮眠、晩飯のスケジュールをこなさないといけない。


「そうですか、分かりました。ありがとうございました」


「助かったぜ姫さん!」


「あ、ちょっと待ってください」


 移動しようと立ち上がった二人に声を掛けて、俺も立ち上がる。

 せっかくだし、渡しておかないとな。


「実は、一人でクエストを達成して周っていた時にもらった装備が余ってるんですけど、もらってもらえませんか?」


「え?」


「おお?」


 とりあえずストレージから装備を取り出す。

 大剣とネックレスだ。


 大剣の方は、なんというか強そうな感じ。

 命中に補正がかかるという、地味だけど有難い逸品だ。


 ネックレスは、物理ダメージを5%カットしてくれる。

 前衛が持っていれば地味に助かるやつだろう。


「二人にぴったりだと思うんですが、確認してみて下さい」


 二人に手渡して、じっくり確認してもらう。

 促されるまま説明を読んでいた二人は、がばっと顔を上げた。


「な、なんですかこの大剣は。物凄く強いんですが」


「こっちのネックレスも、滅茶苦茶ありがてぇ性能してんぞ」


「姫様、こんな良い装備、もらうなんて出来ませんよ」


「流石に悪ぃ気がするよな」


 二人とも、遠慮する流れのようだ。

 性能が良すぎたか。

 あまり仲良くない人に高価そうなもの渡されても困るもんな。そりゃそうだ。


 とはいえ、俺が持っていても仕方がないし、なんとか受け取ってもらわねば。


「どちらも私が持っていても使わないものなんですよね。なので、活かせる人にもらって欲しいんです」


 大剣は≪筋力≫の関係で全く使えない。

 武器には必要な筋力値が設定されていて、それを下回るとペナルティが発生する。

 だから俺が持ってもただの重りでしかない。


 ネックレスも、5%減らしたところで攻撃を受ければすぐに死ぬ。

 数を合わせれば意味はあるんだろうけどな。


「しかしですね……」


「むむむ……」


 それでも二人は微妙な顔だ。

 欲しいけどもらえない、って顔をしている。

 なんとなく知ってはいたけど、二人とも妙に義理堅い。


 サンゾウなんて喜んでもらってくれたのに。

 勿論何もなかったわけじゃなく、これまで以上の忠誠といつか必ず恩返しをする、と誓ってくれたけど。


「それじゃあ、私から買いませんか? お二人が受け取ってくれなかったら売ることになるので、それならお友達のお二人にお友達価格で売りますよ?」


「……なるほど、それなら是非買わせてください」


「オレもオレも! 金ならさっき稼いだからな!」


「はい、ありがとうございます」


 というわけで、二人に売るという形で受け取ってもらうことに決定。

 相場とかは全く分からないので、どちらも千Jでの売却とした。

 

「姫様、本当にありがとうございました。それでは残りの装備を買いに行ってきます」


「またな姫さん!」


「はい、またお願いします」


 鬼コンビは楽しげに去って行った。

 さて、俺も一旦ログアウトするか。



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