20 妖狐と鬼で和風妖怪トリオ
本日三回目の更新です!
トラストルを見送ったところで、ステータスの確認だ。
門を出てすぐの場所だから、ノンアクティブの≪白玉兎≫がピョンピョンしてる程度で危険はない。
ついでに杖も装備しておこう。
これだけの性能なら使わないと勿体ない。
ドレスの効果もあるしな。
ピロン。
『条件を満たした為、称号≪真のプリンセスへ挑む者1≫を手に入れました。
クラススキル≪プリンセスフォース≫を習得しました』
お。
なんかもらえた。
効果も合わせて確認しよう。
名前:カオル
種族:妖狐
クラス:プリンセス
レベル:24
ステータス
筋力:1 体力:1 魔力:1 敏捷:1 器用:1 幸運:1 魅力:321(+328)
種族スキル
≪魅惑≫ ≪美しい毛並≫
クラススキル
≪魅力上昇≫ ≪魅了≫ ≪治癒の願い≫ ≪プリンセス・ボックス≫
≪フェイクモーション≫ ≪障壁強化≫ ≪チャーミングショット≫
≪プリンセスフォース≫
称号
≪箱入り娘≫ ≪詐欺師≫ ≪守り手≫ ≪お転婆≫
≪真のプリンセスへ挑む者1≫
ステータスは素直に≪魅力≫に全振りした。
さて、新しいスキルの効果は何だろうか。
ふむふむ。
パッシブスキルで、パーティーメンバーの攻撃力と魔法攻撃力を5%アップするらしい。
一見地味だけど、こういうのって結構違ったりするんだよな。
特にこういうゲームだと。
昔ちょっとだけ触ったことのあるゲームだと、ダメージを5%上げるようなアイテムも数百万とかの値段で取引されていた。
装備枠を食わないなら余計に有用だろう。
まぁ、俺自身がお荷物になる分を考えると、微妙かもしれないけど。
でも無いよりは遙かに良い。
さっきの狩りも俺はほとんど何もしてないからな。
新しい短剣の威力もあって、リリィとサンゾウだけで十分足りていた気がする。
回復はリリィが出来るし、≪チャーミングショット≫も、誤射しないようにタイミングを計っていたら終わっていたりする。
なんとかパーティー内での役割を確立したい。
リリィ達は、可愛いだけで十分役割を果たしてるなんて言うけども、俺だってもっと役立ちたいんだ。
トラストルから装備をもらって、一先ずはこれでよし。
これからどうしようかな。
一旦ログアウトして、休憩と運動でもしてくるか?
『ダリラガンさんがログインしました』
お。
鬼コンビの片割れがログインした。
せっかくだし誘ってみるか。
こんにちは。
良かったらどこか行きませんか?
メッセージを送信。
すぐに返事が返ってきた。
『おっす姫さん!
もうすぐダイナの奴も来る筈だから聞いてみるわ。
あいつも喜ぶとは思うけど、装備を揃える為に金を稼ごうって話してたからよ』
なるほど。約束は大事だ。
勝手に決める訳にもいかないだろう。
了解の意をメッセージで伝えておく。
鬼コンビは幼馴染って言ってたっけ。
一緒にゲームが出来る程の仲が良い友達なんて、俺にはいなかったなぁ。
なんかちょっと羨ましいと同時に切なくなってしまった。
いや、いいんだ。
今の俺は最強のクラス≪無職≫。
好きな時にゲームが出来るんだ。
知り合い?
そんなのゲームの中だけでも十分出来る。
実際、レンから始まってリリィやサンゾウ、鬼コンビももう知り合いだ。
相手が嫌がらなければ、狩りの相手に困ることはないだろう。
『ダイナさんがログインしました』
おっと。自分を鼓舞している間にダイナがログインしてきた。
ダリラガンから話をしてくれるそうだし、待ってる間に少し移動するか。
噴水広場が近づいて来たところで、メッセージが届いた。
ダイナからだ。
『こんにちは。ダリラガンから聞きました。是非ご一緒してください』
金策については書いてないけど、いいんだろうか。
遊んでくれるなら拘りは無いし、あくどいことじゃなければなんでも付き合っちゃうぞ。
とりあえず、噴水広場で待ち合わせすることに。
到着して待つこと数分。
ガタイの良い赤鬼と青鬼が姿を現した。
「こんにちは。突然お邪魔させてもらって、ありがとうございます。頑張ってお金を稼ぎましょう」
「お待たせしました。え、僕らの金策に付き合ってもらっちゃっていいんですか?」
「そうだぜ姫さん。つまんないかもしれねぇし、普通に狩りに行ってもいいんだぜ?」
気を遣ってなのか、二人はそんなことを言い出した。
元々の予定があった筈なのに、俺が来たからって変えさせるのはしのびない。
それに、装備品は大事だってリリィが教えてくれた。
皆で楽しく狩りをする為にも、更新するのは大事なことだ。
役に立てないと気まずく感じるのは、俺が一番よく分かってる。
「いえ、私が混ぜてもらってる立場なので気にしなくて大丈夫ですよ」
「ありがとうございます」
「サンキュー!」
俺達はパーティーを組んで、お金を稼ぐ為に行動を開始した。
お金を稼ぐ方法は、主に三つ。
モンスターからのよく出るドロップアイテムをかき集めて売る。
モンスターのレアドロップを手に入れて売る。
クエストを完了させる。
だそうだ。
ダイナが教えてくれた。
一つ目は、例えば≪白玉兎≫の毛玉を集めて売るとか、そういうことだ。
単価は低くとも、塵も積もれば山となる。
堅実に稼ぐならこれ。
生産系のプレイヤーが欲しがってるアイテムを集めれば効率は良くなる。
二つ目は、各モンスターに設定されたレアアイテムが出るのを祈って狩りまくる。
各モンスター毎に≪コイン≫というアイテムが存在する他、一部のモンスターはレアなアイテムを落とすらしい。
三つ目は、クエストに挑戦。
≪冒険者協会≫のクエストもランダムではあるが、大体似たようなものがいつも並んでいるらしい。
だから程々の難易度で、それなりの報酬を得ることが出来る。
一番のポイントは、戦闘力を必要としない依頼もある、という点だ。
「どうしましょう。悩みますね」
「どれも一緒じゃねぇのか?」
「全然違いますよ、話聞いてたんですか?」
「ちゃんと聞いてたぜ」
「じゃあ、さっき説明した三つはどう違うんですか?」
「だからどれも一緒だろ?」
「聞いてないじゃないですか!」
「いやいや、ちゃんと聞いてたぜ?」
「僕が言ってるのは、音として認識していたっていう意味じゃないですよ?」
「おぉん?」
二人の会話が全く噛み合っていない。
表情を見る限り、普通に仲が良さそうだ。
いつものやりとりなんだろう。
「はぁ。僕のおすすめはクエストですかね。このメンバーだと、モンスターを狩らないで済む方が効率は良さそうです」
「ではそうしましょうか。ダリラガンさんも、それでいいですか?」
「おう。オレはなんでもいいぜ!」
というわけで、三人でクエストに挑むことが決定した。




