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10 やべーやつとの出会い ☆

本日三回目の更新です!


 翌日。

 今日ものんびり昼前に起きて、適当にご飯を食べたらレッツゲームだ。

 昨日はレンとレベル上げに勤しんで、適当なところで解散した。

 まさか休憩を挟みつつも深夜2時までやるとは思ってなかったな。

 それだけ楽しかったということだろう。


 今日はレンはゲームが出来ないらしく、すごく残念がっていた。

 さて、今日は何をするか。


 昨日結構頑張ったし、レベル上げは考えなくてもいいだろう。

 俺一人だと攻撃手段が無いし。


 今の俺のステータスはこれ。


名前:カオル

種族:妖狐

クラス:プリンセス

レベル:21


ステータス

筋力:1 体力:1 魔力:1 敏捷:1 器用:1 幸運:1 魅力:301(+170)


種族スキル

≪魅惑≫


クラススキル

≪魅力上昇≫ ≪魅了≫ ≪治癒の願い≫ ≪プリンセス・ボックス≫

≪フェイクモーション≫ ≪障壁強化≫


称号

≪箱入り娘≫ ≪詐欺師≫ ≪守り手≫


 一番最初に比べると、称号の項目が増えている。

 昨日の狩り中に称号自体も一つ生えてきた。


 称号≪守り手≫で得たスキルは≪障壁強化≫。

 スキルによって作り出した壁なんかの耐久力を上げてくれるパッシブスキルだ。


 これのお陰で箱が割られづらくなって、安心感が増した。

 箱が割られてモンスターが飛び出してくるのは心臓に悪かったからな。

 その流れで何度死に戻ったことか。


 とまぁ、こんな感じなので今日は狩りはしない。

 せっかくなので観光としゃれこもう。


 俺がいるのは、一層の街、スターレ。

 マップで見ると一層の中心部にある、それなりに大きな街だ。

 ファンタジー的な雰囲気が溢れていて、ぼやけていた俺の冒険心的な何かが大いにくすぐられる。


 最初はどこへ行こうか。


 マップを拡大する。

 よし、ここにしよう。


 武器と防具のお店。

 お金は初期の100(ジェル)しか持ってないが、東の森で得たアイテムを売れば何かいいものが買えるかもしれない。


 というわけでやってきました、目的のお店。

 木造の建物で、既に武器屋の雰囲気が漂っている。

 テンション上がって来るぜ。


「こんにちはー」


 西部劇の酒場で見たような扉を押して、店内へ。

 そこは期待通りというかなんというか。

 壁には色々な武器や防具が飾ってある。


「ほぉー……」


 これぞ武器屋。

 いいね、やっぱりこういうのに憧れるから、すごい楽しい。

 ついつい溜息混じりに眺めてしまう。


「おおー……」


 ああ、いい。

 ここなら数時間居座れる。


 幸い、カウンターの向こうにいる厳ついオッサンは、特に反応がない。

 きっと売買がメインのNPCだから話しかけないと何も起きないんだろう。


 ふぅ、とりあえずは満足した。そろそろ本来の目的を果たすか。


「あの、すみませ――」


「おやじ! いい防具をくれ!!」


「――ん?」


 店員さんに声をかけようとした時、バーン!と勢いよくスイングドアが開いて、一人の男が入って来た。

 声も大きく歩幅もデカい。

 どっかんどっかん音を立てて歩いている。


 びっくりして言葉が止まってしまった。

 何事だよ。 


「ダリラガン! だからちょっと待ちなさい!」


「あんだよ? せっかく体力に極振りしたんだから、いい防具は必要だろ?」


「そんなお金がどこにあるんですか! まだ始めたばかりなんですから、まずは手頃な敵を倒してお金を貯めるところからです!」


「マジだ、100ぽっちしかねぇ! 大変だダイナ、金がねぇぞ!」


「だからそう言ってるじゃないですかこの筋肉馬鹿! いいから早く行きますよ」


「わりーわりー。ははは、腕が鳴るぜ」


「防御特化ならきちんと攻撃防いでくださいよ?」


「わーってるって。全部オレに任せとけ!」


「まったくもう。すみません、失礼しました」


 ダリラガンとダイナ。

 お互いにそう呼び合っていた二人は、言い合いながら店を出て行った。

 ダイナの方は店内に居た客……俺に軽く頭を下げてから。


 すげー勢い。台風みたいな奴らだな。

 でもなんか、仲が良いのが見てて分かる。


 俺もあんな友人関係が欲しかったな。

 なんて、ちょっと羨ましくもある。


 さ、どんなアイテムが売ってるかなー。





 結局、アイテムは何も買わなかった。

 武器も防具も、あまりいいものがなかったからだ。

 

 防具は無駄に高いし、武器は≪初心者用≫という部分がついていないだけで、微妙なものばかり。

 ≪初心者用ワンド≫すら既に使ってない俺からすると、態々買う気にはならなかった。


 何故使ってないかというと、モーションの関係だ。

 ≪フェイクモーション≫の効果で俺のスキルは全て、指を絡めて祈るように両手を握るポーズから発動される。

 そうなると、杖は邪魔でしかない。


 脇に挟むという方法もなくはないが、正直微妙。

 そもそも≪杖≫自体、魔法を使わない俺にとっては特に効果も無いし、それならいっそなくてもいいや、とそうなった。


 東の森で拾ったアイテムの買い取り金額も非常に悪かった。

 どれも1Jって、有り得ない。

 あんな凶悪な面したモンスターのドロップアイテムが1Jって、無いでしょ。


 ≪白玉兎≫の落とした毛玉の方が高いんだぜ?

 厳つい顔して兎びいきかと問い詰めたいレベルだ。


 そういうわけで、アイテムも売らずに残してある。

 オンラインゲームだし、きっとNPCに売るよりもプレイヤーに売った方が価値があるんだろう。


 近い内に生産職のプレイヤーと知り合って、売るなり加工してもらうなりしようと、そう決めた。

 

 気を取り直して、観光再開だ。

 この街が最初の街なだけあって、お店はそれなりに多い。

 次は雑貨屋を覗いてみるのも楽しいかもしれない。


 街並みを眺めながら、歩く。

 そうしている内に、広場のような場所へやってきた。

 マップで確認すると、街の中央にある噴水広場とは別の、端の方にある広場のようだ。


 そこでは、多くのプレイヤー達がたむろっていた。

 なんだろう、何かイベントでもあるんだろうか。


 何人かの頭の上には、吹き出しみたいな謎のアイコンも見える。

 何か文字が書いてあるな。

 Lv5剣士、何かに……?


「ここへ来るのは初めてですか?」


 キョロキョロしたり、吹き出しの文字を読んでいたら声を掛けられた。

 せっかくだし質問してみるか。


「あ、はい。何かイベントでもやってるんですか?」


「ははは、ここは臨時広場。条件に合う人を募集して、見ず知らずの人とパーティーを組む場所さ」


「なるほど、ありがとうございます」


「どういたしまして」


 どうやらここは、臨時パーティー募集広場として使われているらしい。

 親切な人が教えてくれた。

 そのベテランっぽい人も、数人の塊へと合流していった。


 知らない人とパーティーを組むのはちょっと気が引けるけど、こういうのもオンラインゲームの魅力なんだよな。

 そもそも、知り合いなんてこの世界には存在しない。

 レンだって、なんとなく声を掛けただけで最初は知らない人だ。


 知らない人と組むのを怖がっていたら、ソロしか出来なくなってしまう。

 とにかくやってみよう。

 今日はのんびり楽しめたらいいから、遊べればいいっていうことで。


 えーっと、条件を決めて会話ルームを作ればいいっぽいな。

 入力する文字は、自分のレベルとかクラスとかでいいのかな。

 人によっては、募集する相手の条件とかを書いてる人もいる。


 俺はとりあえず、受け身で行くか。

 レベル21、姫……姫?

 プリンセス、だけでも役割って伝わるんだろうか。

 微妙な気がする。


 レベル21、プリンセス。回復職的な何か。

 これでいいか。


 次は、入室制限?

 どうやら、人数を決められるようだ。

 初めてだし、限定一名様にしとこう。


 まあ、どうせしばらくは時間かかるだろうし――。


 ポーン!


 ――!?


「はじめまして姫って呼んでもいいでござるか!?」


「あ、はい」


 目の前まで来て、早口で捲くし立ててくるのは、口元を布で隠した茶色い逆毛の男。

 どうやら最速でやべーやつが来たようだ。

 

 

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