88 イベントに向けて!
ダイジェストでお送りします!
新しいスキルを手に入れた俺は、イベントに向けて特訓を開始した。
次のイベントは≪第一回 最強ギルド決定戦≫、そして、≪第一回 最強プレイヤー決定戦≫の二つだ。
タイトル通りギルド単位でのチーム戦と、個人戦の二つからなる。
文字通り最強を決めるガチのバトルイベント。
前回は名目は交流だったから、今回はプレイヤー達の気合いの入り方も違うだろう。
それはウチのギルドにも言えることで、皆ものすごい気合いだった。
だからこその特訓。
人数が揃えば連携を高める特訓を行い、それ以外の時間は各自個人戦に向けての特訓が行われた。
▽
「拙者の動きについてこられるでござるかぁ!?」
「視界に入ったと思ったらいなくなる。敵に回すと、これほど厄介だとは……!」
「ふふふ、模擬戦といえど容赦はしないでござる! 覚悟!」
「っふー……そこ!」
「げっはっっっ!?」
「ダイナの野郎、殺気を感じ取ってカウンターを決めやがったぜ! なんつう反射筋肉だ!」
「それって反射神経のことかな?」
「そうでしょうね。こいつらのことだから神経まで筋肉で出来てても驚かないわ」
「あはは……」
▽
「はぁっ!」
「いいぜー、キレてる、キレてるぜダイナ!」
「ほんっ!」
「っかー! 上腕ビッグバンだぜ!」
「……あれは何してるんですか? ダリさんがダイナさんの筋肉を褒めてて正直怖いというか、若干――いえ、大分引くんですけど」
「これはこれはランコ殿。あれは、ダイナ殿が己の筋肉のキレを評価してもらうと同時に、如何に美しく筋肉を躍動させることが出来るかという、微細なコントロールの鍛錬をしてるんでござるよ」
「あれって訓練だったんですか!? 私てっきり、ただの趣味かと思ってました。二人とも物凄い笑顔で楽しそうですし。っていうかそもそも、この世界でそんなことして意味あるんですか? ゲームですよね、これ」
「拙者も二人に教えてもらって知ったんでござるが、なんと効果があるのでござる。筋トレをするとステータスの筋力の補正値が増加するんでござるよ。」
「ええ!? 本物の身体じゃないのに……」
「ゲームの開発者は相当筋肉にこだわりがあると噂されているでござるな。今やっているあれも、≪器用≫が上がるらしいでござる。拙者が真似してみても効果は無かったので、何かしら制限はあるようでござるが」
「筋肉ってすごいんですね……」
「おっ、ランコじゃねーか! お前もこっち来てダイナの筋肉見てやってくれよ!」
「ランコさん、是非お願いします! 僕の筋肉を見てください!」
「さい?」
「さい、さい、サイ……」
「「「サイドチェストォ!!」」でござる!」
「うわぁー! 筋肉はご勘弁をー!!」
▽
「姫様の歌はいつ聞いても素晴らしいぜ。なぁ兄者」
「そうだな弟者。疲れと痛みに埋め尽くされていた身体に染み渡っていくようだ」
「でもあの戦法はやっぱりえげつないっていうか、鬼みたいだった。なぁ兄者」
「そうだな弟者。トッププレイヤーと言われているオレ達のギルドをこうもボコボコにされると、自信とかそういうのがサービス終了したネトゲのデータの如く消えていく気分だ」
「ちょっとアンタ達、お姉様の歌が心地いいからっていつまで休んでるの? お姉様のステージを間近で見ることに感謝して、死ぬまで働きなさい」
「は、はい! オレ達限界を越えても姫様に協力するつもりですから! なぁ兄者!」
「そ、そうだな弟者! い、今すぐ立ち上がりますから許して下さい!」
▽
「ランコちゃんと協力して、皆の装備色々作ったよ!」
「アズさんのお手伝いが出来て良かったです。ただ、なんというか、ですね、あの、その、ちょっとデザインが……」
「うおー、すげー! このパンツ、防御がかなり上がんぞ!」
「こっちのパンツは攻撃力アップですね。素晴らしい仕上がりです。僕の大臀筋も喜びますよ!」
「あのパンツ、後ろにイヌとネコが描かれてるんだけど、二人とも気付いてるのかなぁ……」
「あ、レンくんにはこれ!」
「こ、これ?」
「うん、それ!」
「あの、このマント可愛いウサギさんがでっかく描いてあるんだけど……」
「うん、可愛いでしょ! レンくんに似合うと思って作ったの!」
「うん、すっごく可愛いよ、ありがとう! 早速装備させてもらうね!」
「あ、意外と皆さんそういうの平気なんですね。良かったぁ……」
▽
特訓の甲斐あって、我がギルドは無事予選突破。
個人戦の方も、俺、サンゾウ、ダイナの三人全員が本戦へとコマを進めた。
他のメンバーはキャラ的に向いていないということで、個人戦に出るのは俺達だけだ。
俺も本職は支援キャラだし出るつもりも無かったが、メンバーの皆の猛プッシュで出場を決めた。
どうせなら行けるところまで行ってやるさ。




