No.93 威力が弱くとも
頭に浮かぶ情景は前世で良く過ごした研究室。
あの日も確か姪っ子恵莉香が訪れていた。
「ねぇ。恵美ちゃん」
さっきまでソファの上でパソコンを夢中で操作していた恵莉香は急にうちに話しかけてきた。
「なんだ?? 勉強で分からないところでもあったのか??」
と恵莉香の向かいのソファに座っていたうちは恵莉香に返す。
うちは研究が一段落していたのでソファで紅茶を飲み、タブレットで学術雑誌ネイチャーを読んでいた。
「これ見てよ。この人美人じゃない?? 女王様なんだけどさ」
ソファの上で寝転ぶ恵莉香は自分のパソコン画面をこちらに見せてくれた。
そこには恵莉香の言う通り一人の美しい女性がおり、見覚えのある画面の中にいた。
「ん?? あの乙女ゲームか?? アップデートされたのか??」
「うん! そうなの! あれ?? えみちゃんならもう知っていると思ったのに」
「最近、忙しいんだよ」
「まぁ、それは仕方ないね。じゃあ、そんな多忙な恵美ちゃんにネタバレを差し上げましょう」
「うわ、いらないおせっかいだわ」
「まぁ、そう言わず聞いてよ。どうせ恵美ちゃんは忘れたころにプレイするでしょ??」
「確かにな……」
最近のうちは論文も書かなければならなかったので結構多忙でだった。
それゆえ、たとえ恵莉香がゲームのネタバレをしてきても、忘れたころにプレイするのでほぼ初見プレイと一緒だった。
「でさ、この女の人なんだけど、妖精の女王様なの!!」
「ほぉ……」
「それでね……、今分かった事実だけど、この女王様。なんと、悪魔に操られています!!」
「はぁ??」
恵莉香は満面の笑みをこちらに向けてネタバレをしてくれた。
その恵莉香の笑顔からは楽しさが溢れ出ている。
「色々あってルースたちの母方の祖父の妖精の島に来ていたんだけどさ、そこでこの女王様にあったの。で、その女王様が悪魔に操られてたのっ!!」
「悪魔って……。どうするんだよ??」
「やることは1つだけだよーん、恵美ちゃん」
「1つ??」
うちは恵莉香が考えていることが分からず、首を傾げる。
「ほら、主人公って光主魔法じゃん?? 悪魔をやっつけるのは簡単でしょ??」
あっ、そっか。
主人公には光魔法があったな。
そうだそうだ。
現実に意識が帰ってきたアメリアは窓から少し出ていた頭を引っ込ませ自身が手に持つバッドに目を向ける。
別にうちはバリア魔法以外のものを使えないというわけではないが、主魔法であるバリア魔法と比べると威力は弱い。
でも、今回は威力はそこまで必要とはしていない。
うちはバッドに魔力を送り込むため目を閉じ集中。
「アメリアさん?? 何しているの??」
隣にいるマティアが声を掛けてきたが、うちはそのまま答えず魔力を送り込む。
すると、バッドは瞬間的に光ると、そのまま光を放っていた。
うちは目を開けると輝くバッドをぎゅっと握りこむ。
「よしっ」
「アメリアさん、一体バッドに何したの??」
うちはマティアの方をやっと顔を向ける。
「光魔法をかけてやったんだよ。これで、あの女王を救える」
「救う??」
うちの説明に首を傾げるマティアであった。
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