No.92 ミニチュアサイズ
うち、アメリアはルースを助けるべく、マティアとともに王城の上層部に空から向かっていた。
先ほどまで晴れていた空は徐々に雲が多くなっていた。
これは一雨降りそうだなと思っていたところ、うちはあることに気づく。
「なぁ」
「なんでしょう??」
羽を生やしたオネエの妖精マティア。
そんなマティアに横抱きにされているうちは一時閉じていた口を開く。
「このまま王城の上層部に行くのはいいんだが、どうやって入るんだ??」
牢屋の壁は難なく壊すことができたが、王城はそうは簡単にいかないはず。
昔のことを考えていると妖精魔法を組み合わせ建物自体の防御力を上げているはずだ。
そうなるとうちのバリア魔法は効かない。
魔法無しという手もあるが、侵入が上手くいくとは考えにくい。
上層部の建物を壊しても、その壊している間に敵が攻撃を仕掛けてくる。
「あー」
マティアは目を上に向けちょっと考えた後、うちの質問に答えてくれた。
「ちょっとポケット探ってみてもらえません??」
「あ? ポケット?? マティアのか??」
「違います。アメリアさんのですよ」
「え??」
マティアの言ったこと聞いたうちは自分のポケットの中を手でもぞもぞして手探る。
すると、手に何か堅いものがあたり、うちはそれを掴んだ。
その何かをポケットの中から引き出し、手のひらを見ると、そこには小さな小さなバッドがあった。
これって……うちが作ったバッド??
形もデザインもそっくりなバッドだが、ミニチュアのようにかわいいサイズに小さくなっていた。
なんでここにバッドがあるのか、なんで自分のバッドがこんなにも収縮しているのか全く見当もつかないうちはマティアに「なんなんだ??」と目で訴えかける。
そんなうちに対しマティアは美しい顔でニコッと笑い答えてくれた。
「それはあなたのバッドを運びやすいようにミニチュアサイズに私が変えたの」
「なっ!! いつの間にっ」
マティア曰く、うちがルースにやられたときにたまたまバッドに触れることができ、魔法で小さくしていて、さっきうちを横抱きにした瞬間にうちのポケットに入れたらしい。
「たぶん、それで侵入できると思うわ」
「でも、あっちの壁とかは高度な妖精魔法がかけられているんじゃないのか?? こんな特に仕組みもないバッドでやったって駄目だと思うけど……」
「そうだけど、こっちにも妖精魔法をかければ問題はないでしょう??」
「えっ??」
そういうとマティアはうちをしっかり抱きつつも、うちの手のひらにのっているミニチュアバッドに手で触れた。
すると、バッドは一瞬輝き、いつの間にか元のサイズに戻っていた。
しかし、マティアはまだバッドから手を離さず、違う魔法をバッドにかける。
「多分、王城はいろんな魔法を組み合わせているけど、カテゴリーは妖精魔法だけだからそうは難しくはないわね」
マティアはそう説明しつつバッドに魔法をかけた。
できると、マティアは満足そうにする。
「よしっと。これで王城なんて楽勝に壊せるわ」
「お、おう。ありがとう」
うちはマティアに妖精魔法をかけてもらったバッドをぎゅっと握る。
バッドは少し傷が入っていたが、十分に使える様子だった。
ルース、待ってろよ。
★★★★★★★★★★
「ここが上層部か……」
マティアの羽のおかげで簡単に上層部に来たアメリアは王城の上層部に辿り着くと窓の近くで隠密に行動していた。
上層部の外やベランダの付近に兵士はいる様子もなく、外からは中の様子も平気で確認することができた。
「アメリアさん。女王の部屋はきっとこっちですよ」
「おう。わかった」
うちは腰を低くして隠れつつ、屋根やベランダを通り、先を行くマティアを追いかける。
マティアは王城の構造を知っているのか迷うことなく進んでいた。
来たことがあるのか……。
一体、何者なんやら。
と思っていると、ある部屋の窓の前で止まっているマティアに追いついていた。
「ここにきっと女王がいるわ。あ、ほら」
「ん??」
うちは見つからないようにそーっと顔を出す。
その部屋には豪勢な作りで中央に真っすぐレッドカーペットが敷かれてあり、その先には玉座があった。
そこに座るのは女性の妖精。
凛とした表情で大臣らしきおっさんに命令しているようだった。
部屋にいるのはなぜか2人だけ。
他の侍女や宰相もいない。
警戒心がなさすぎはしないか??
うちは玉座のあたりを十分に確認した後、もう一度女王を見た。
あの顔をどこかで見たことがあるんだよな……。
どこだっけな……。
思い出せない……。
「確か……」
うちはあまりない前世の記憶を思い返し始めた。
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