No.89 戸惑い
一方、フレイ達は唯一の移動手段であるドラゴンにのり、オルム島に向かっていた。
まだ、距離があり、エリカたちがドラゴンに乗るが楽しく騒いる中、僕、フレイはハオランの言葉を必死に考えていた。
『アメリア嬢を心配している所。王女様以外にはそこまで心配することもなかったのに』
そう。
僕は最愛の人、アメリア王女以外深刻に心配することはなかった。
他の人を全然心配しないってわけではなかったけれど、それでもさっきのようにアメリア嬢を心配するようなことはなかった。
特に女性に対しては。
社交辞令のように営業スマイルで対応はするけれど、でも、本気で心配した人はアメリア王女以外にいない。
僕に寄ってくる女の子は外見は良く見せても腹の中は黒いからね。
それにあの後ハオランはこう言ってきた。
『……最近、フレイ、アメリア嬢に優しいよね』
なんてことまで言ってきた。
確かに優しくはしていたかもしれないけれど、僕は他の人と同じように接していたはず。
いつも通り。
そう、いつも通り。
でも、なんで僕はあんなにアメリアの心配をしたのだろう??
「……どうしたの?? フレイ」
隣に座っていたハオランが声を掛けてきた。
僕はこの疑問をハオランに話そうと思ったが、少し考えると話すのはやっぱりやめた。
「なんでもないよ」
僕は笑顔でハオランにそう答える。
聞いてもきっとダメだ。
この答えは多分、僕は知っている。
きっと認めたくないだけ。
アメリア嬢が気になっていることを。
僕はそのことに気が付くと、頬が熱くなる。
まさか……。
そんなバカな……。
そんな自分の気持ちに気づいたフレイを見て、隣に座るハオランは少し笑っていた。
★★★★★★★★★★
牢屋から兵士に連れられて王城の最上階までやってきていた。
連れてこられた部屋は前にも来た謁見の間。
豪勢な作りで下に敷かれているレッドカーペットには1つも誇りが落ちていないぐらい綺麗な物だった。
部屋に入るなり、僕は兵士に跪かされる。
「女王陛下、連れて参りました」
「ご苦労」
僕の血縁者で叔母でもある妖精の女王グローリアナ。
彼女はロープで縛られ跪いていたルースの目の前に立っていた。
女王は僕を冷ややかな瞳でこちらを見る。
その目はまるで僕をさげすんでいる。
本当に嫌いなんだな……。
人間が……。
「お前たち、私とルースの2人きりさせてくれ」
「しかし、女王様。そやつは人間の血が入って……」
「いいから出ていけっ!!」
「はっ!!」
女王が一喝を入れると、メイドや兵士、1人残らず出ていった。
部屋には僕と女王様だけ。
なんなんだよ……。
僕が心底叔母のことにあきれていると女王は話し始めた。
「お前……」
「お前の父は元気にやっているか??」
女王は小さく笑みを見せる。
「えっ??」
そんな女王に対し僕には戸惑い心しかなかった。
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