表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元ヤン王女の研究記録  作者: せんぽー
ファイル4 逃走中からの再会の王女
87/136

No.87 女王様と感動の再会??

「おいっ!! ルースっ!! どこにいるんだっ!!」




うちは必死に顔を檻に寄せて他の部屋を目で探る。




「アメリアの隣。僕も捕まってる」




ルースの声は意外と近く、マティアとは反対側の部屋から声が聞こえた。

ルースは眠たそうな声で話す。




「ル、ルース。お前、裏切ったんじゃなかったのか??」


「なんで僕があんたを裏切らなきゃならないんだよ」




で、でも……。


確かにルースは背中から忍びよりうちに注射器を刺してきた。

記憶は曖昧だが、あのおっさん妖精から礼を受けていたはず。

なのに裏切ってないって。




「んなっ!! お前、うちに注射器を打ってきたじゃねーか」




うちは混乱のあまり静かな牢獄の中1人声を荒げる。

それに対して寝起きなのかルースは冷静。




「僕はきっと操られていたんだよ」


「操られていた……??」



操られていた……??

あのルースの行動は操られていたっていうのか??

一体誰に……??




「アイツらがやってきた時、僕は意識があった。でも、マティアがあのおじさん騎士と戦い始めて僕が様子見をしているうちに意識が遠のいていた。確か意識がぼやっとし始めたのはあのおじさん騎士と目を合わせてからだったと思う。真っ暗な世界で1人、マティアの戦いを見ていて、アメリアに注射をしているのも遠くの方で……。気づけば、女王様の前で腕を縛られ跪いてた」




なるほど……。


ルースの話からするに妖精兵士がやってきたあの時、隠れてルースの意識操作をするものはおらず、あのごつい妖精のおっさんがルースを操ったのか……。

意識操作の魔法なんて聞いたことがないから、きっとあのおっさんは妖精魔法でも使ったのだろう……。


妖精魔法すごいなっ!!


うちは妖精魔法を心の中で感心する一方、ルースの話を聞いていて疑問に思ったことがあった。




「なぁ、女王ってなんだ……??」


「反人間派の女王様だよ。そして、僕の従伯叔母(いとこおば)


「感動の再会じゃねーか。どうだった叔母さんは??」




うちがそう言うと隣の部屋からはぁーというため息が聞こえてくる。


えっ??

うち、なにかした??


うちが首を傾げていると、ルースが感動の再会について話してくれた。

いや、感動じゃないか……。




「あのね、僕、叔母さんと会うの今回が初めてなんだよ。感動もなにもないよ。ただ、『お前がルースか……』と冷たい声で言われて返事して終わり。あの人の圧、怖いったらないね」




おばちゃん口調のルースは怖かったのか怖くなかったのかよく分からないが、ともかく女王が人間のことを良く見ていないのは分かった。


血のつながったルースを現に牢屋に入れているのだから。


ルースは半分人間で4分の1はヴァンパイアだが、それでも残りの4分の1は妖精の血だ。

それでも冷たい対応をするとはよっぽど人間が嫌いなんだな。


うちが妖精の女王を勝手に想像していると、廊下から兵士がやってきた。

なんともない顔でうちの前を通り過ぎ、隣のルースの場所で足音が止まった。


なんだ??


なにかカチャカチャ金属のこすり合う音が聞こえると、キィーと檻の扉が開いたような音がした。

そして、足音がまたし始め、ルースの「なにすんだよ」という声が聞こえる。




「おい、立て」




兵士の冷酷な声が聞こえる。




「嫌だ」




何をされたのか分からないが、その兵士の命令にルースは反抗する。

その後すぐにパンっという音が聞こえ、「いてぇ……」という弱々しい声が隣からした。




「ルースっ!!」




ルースが暴力を振られているっ!?


すると、「わかったよ……」と観念したようなルースの声が聞こえ、2人分の足音が響く。


キィーという檻が閉まる音がすると、うちの前を兵士と腕を縛られたルースが歩く。




「ルースっ!!」




うちがそう叫ぶと、兵士から「黙れ」と叱られた。

檻に顔を摺り寄せ、ルースの背中を目で追いかける。


おい。

アイツ、一体何されるっていうんだ??


嫌な予感がしたうちは頭をフルで動かす。

うちは檻とは反対側の窓が一切ない壁に手を当てる。


この壁……。



























もろそうだな……。


うちは拳を握り、壁を前に構える。

精神を集中させ、右の拳に全ての力を集める。


多分、行ける。

行けるはずっ!!!




「おりゃあぁっーーーーー!!!!」




男らしい掛け声と同時にうちの右手の拳は壁に重く当たり、当たった部分を中心にピキピキとひびが入っていく。


これはいける。

もう一発!!!


壁から右手を離し、また構え直す。

右手はそれほど痛くなく、むしろかすり傷に思えた。




「おりゃあぁーーー!!!」




うちはもう一回右手を壁にぶつける。

すると、手が当たった場所から外に壁が崩れていき、外の景色が見える。





















うちは目の前に突然現れた景色に唖然として、口をポカーンと開けていた。




「なんだこれ??」

ブックマークをしてくれると喜びます

あと、よければ、下記にある勝手にランキングのところを押して投票してもらえるとさらに喜びます。


@Senpo1229 私のTwitterです。更新時報告や予告報告します。よければフォローお願いします!



88話は11/19を予定しておりますが、少々遅れる場合もございます。更新はTwitterでご確認くださいませ


誤字脱字、話のつじつまが合ってない所があればご報告ください。

ご報告していただいた方、本当にありがとうございました。


頑張りますので、応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ