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元ヤン王女の研究記録  作者: せんぽー
ファイル4 逃走中からの再会の王女
86/136

No.86 牢獄の中で

「やっぱこれで行くしかないんだー」


「まぁ、私たちには空での移動手段がないですからね」




テウタとクリスタは大きなそれを見上げる。

クリスタたちは突如消えたアメリアとルースを探すため、前回訪れたハブ空港的役割を果たしている妖精の島、ノルン島にやってきていた。

親人間派の島としては最も大きいその島は唯一反人間派の島に行けるようになっていた。

その移動手段なのだが……。




「グワオォォ――――――ン」


「ドラゴンさん、元気ですね」


「……そうだね。ん?? フレイ、どうしたの??」




今回の移動手段である人なれしたドラゴンをぺたぺたと触るエリカとハオラン。

2人は人間界ではそう滅多に触れることないドラゴンにワクワクしているが、その2人から少し離れたところにいるフレイは何だが神妙な顔をしていた。

フレイはハオランの呼びかけに反応し、顔を向ける。




「……いや、なんだか……」


「なんだか??」


「嫌な予感がするなって……」




フレイがそう言うと、エリカは彼の前に行き頬を膨らませた顔で指をさす。




「何言ってるんですか?? あのアメリア様が反人間派の妖精にやられることはないですし、生きているはずです。元気にやっているはずです」




と、エリカはきっぱりと言う。

フレイは「そうだけど……」と呟き、話し続ける。




「前にアメリアがやられていたじゃないか」


「まぁ……そうですけど。でも、あの時は私がしくじったからで……」


「しくじった??」




フレイは突然キリッとした冷たい表情になり、エリカを責めるような目で見る。

そのまま、フレイはエリカに詰め寄る。

エリカはそのオーラに圧倒されたのか、1歩後ろに下がった。




「あの……フレイさん?? どうしたんです??」


「つまり、君がしっかりとしていればアメリアはなんとも……」


「そうですが……」




エリカは言葉に詰まり、黙り込んだ。

そこに先ほどまでドラゴンのうろこに夢中になっていたハオランがやってきた。




「……なんだか、フレイらしくないね」


「僕らしくない??」


「そう」


「どこが??」




ハオランは少し微笑みを向け、自分の腕を組む。




「アメリア嬢を心配している所。王女様以外にはそこまで心配することもなかったのに」


「えっ??」




★★★★★★★★★★




「うっ、寒いな……」




うちは寒さのあまり、目を覚ます。

重い瞼を開けてみると目の前には灰色の壁。

よく見ると綺麗に切られた石を積まれた壁で、日があまり入っていないのかその部屋は暗かった。

うちは上体を起こすと、自分のいる場所が大体予測できた。

牢獄。

たぶん、自分がいる場所はここだ。


きっと、妖精の王族にでもとらわれたんだな。


その部屋にはうち1人で、檻の前にも誰もいない。


ここには多分……マティアもいるはず。


裏切ったルースに注射器を刺され、そこからどうなったか自分は覚えていない。

マティアはあのおっさん妖精に殺されかけていたが、死んではいないだろう。

なんせうちが生きている。

あそこでマティアを殺しているなら、人間であるうちも殺しているはず。




「マティアーー!!」




うちは静かな牢獄で試しに叫んでみる。

うちの声は大きかったのか意外と響き、他の捕まっている人? 妖精? から「うるさい」と文句を食らった。


まさか、いないのか……??


うちはマティアが殺されたんじゃないかと心配していると、小さなマティアの声が聞こえてきた。




「アメリアさん。声が大きいですよ」


「あ。隣にいたのか」




マティアの声は隣から聞こえる。


近くにいたんだな。

良かった。

生きてる。


うちはマティアが無事生きていることを確認すると、心の中で安堵する。

しかし、すぐに切り替え、マティア側の壁に近づく。




「マティア。お前、体大丈夫なのか??」


「ええ。あの騎士にはちょっと危険を感じたけれど、こうしてなんとか生きてる。今は体に痛みはないわ」


「意識を取り戻した時にはここにいたか??」




うちは壁にもたれると、音の跳ね返りで聞こえるよう檻の方に向かって小さく声を出す。




「ええ。すでにここに運ばれていたわ」


「じゃあ、あの裏切りルースの行方も分からないのか」



うちは座り込み、裏切ったルースについて考察し始めた。


この様子だとルースは牢獄(ここ)にいそうにない。

やはり、ルースが裏切った。

にわかに信じがたいことだが。


ルースはなんだかんだ心穏やかで、裏切るという行為は今までしたことがなかったはず。

当然ゲーム内でもなかった。

ルースの血が半分妖精だったせいか??


なんでだ……??

































「ねぇ、誰が裏切りだって??」


「えっ??」




ルースの声。


確かにルースの声だ。

アメリアは檻を思いっきり掴み、顔が檻につくまで近寄る。




「おいっ!! ルースっ!! どこにいるんだっ!!」




うちは他の人なんて気にせず必死に叫んだ。

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