No.81 指輪を外す
「で、アメリアさん」
「……なんだよ」
お風呂から出てマティアに用意してもらった服を着たアメリアは目をキラキラさせたマティアに迫られていた。
「アメリアちゃんは王女様とお知り合いって言っていたのよね??」
マティアは満面の笑みでうちに尋ねてくる。
こいつ何を考えているんだ??
うちはマティアの顔を観察するがさっぱり意図が見えない。
それが尚更怪しさを増させるのだが。
「そうだが、それがなんだ??」
「いや。アメリアさんは庶民の出でしょう?? その行動からするに」
「失礼な。これでも公爵令嬢なんだが。まぁ、庶民出身っていうのはあっているが、それが何だというんだ??」
「庶民の子って貴族の子とは関わりが持ちづらいと思っていたものだから、君と王女様が交流を持っているのは不思議でね」
マティアはまたニコリと笑う。
うぅ……。
なんなんだよ、この質問。
つまんないじゃないか。
マティアの言いたいことが分からないうちは話題を変えようと、口を開いた瞬間、マティアに先に言われた。
「あのさ、その指にある指輪を外してみてくれないかしら」
「はぁ??」
指輪……??
自分の左手の小指に付けているなんの変哲もない指輪を見る。
その指輪は魔法道具の1つであり、アメリアの桜色の長い髪を白い短髪に変えていたものであった。
因みになぜ左手の小指に付けているかと言うとうちのメイドティナに付けられたからだ。
「指輪はここにつけるべきですよ。ここに付けるとチャンスがやってくると言いますし……それに……」最後なんて言ったかは分からなかったが熱心に訴えられ半ば強制的につけらされた。
うちはその指輪のことを言ってきたマティアを見る。
「お前、この指輪の魔法を……」
まさか……。
「あなた、アメリア王女様でしょう??」
マティアはまたニコリ。
うちはごくりと息をのむ。
なんで……知ってるんだ。
「私、予知が見えるって言ったでしょう??」
「……ああ」
「それであなたが指輪を外す瞬間が見えて、それで……」
「はっ?! 外すっ!?」
うちは思わず椅子を倒し勢いよく立つ。
「そう。外していたの」
「なんでっ!?」
すると、マティアは小さくフフフと笑う。
その笑いはなんなんだよっ!?
何がおかしいんだっ?!
マティアはうちに口を隠していた手を元に戻し、話し始めた。
「そのうち、教えるわ、王女様。今はダメね」
「何なんだよ。てか、ルースの前ではやめろよ、『王女様』なんて」
「ええ。分かっているわ。隠しているのは理由があるのでしょう??」
「そうだ」
すると、お風呂に入っていたルースが濡れた髪をタオルで拭きながらやってきた。
そのルースはいつもと違ってなんだか色気を感じる。
「なんの話をしてたの??」
お風呂のせいか頬がピンクのルースはきょとんとした表情で尋ねる。
「ああ。大した話はしてないよ」
「そう、王女様の話をねしてただけ」
マティアが変に強調して言ったので、うちは睨んであげた。
お風呂に入ったということで、ルースもうちも疲れていたためマティアが用意してくれていたベッドに行きすぐに眠った。
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