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元ヤン王女の研究記録  作者: せんぽー
ファイル4 逃走中からの再会の王女
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No.77 見知らぬ島

「あなたはルース・クルスね……」


「ええ、そうですが……」




美人の妖精はルースの名を口にすると、アメリアの方を向いた。

そっと微笑んではいるが、妖精の目からはうちのことを不思議しそうにしているのを感じた。




「あなたは……??」




赤の目を持つ妖精は首を傾げる。


どうもこの妖精はさすがにうちのことは知らないようだ。


ルースは妖精界では有名な方だもんな。

うちのことなんて知るはずがない。




「うちはアメリア。アメリア・ホワードだ」




うちがそう答えると妖精は一瞬真顔になっていたが、すぐに笑顔に戻っていた。




「アメリアさんね。私はマティア、よろしくね」


「ところで、お前は女か?? それとも男か??」




うちがそう質問するとルースが睨みを利かせてきた。


なんだよ……。

気になるじゃねーかよ。


妖精は「うーん」と悩んだ末、ハスキーボイスでうちにこう言った。




「性別ね……、しいて言うならば女かしらね……あ、声の通りSexで言うと男なんだけど」




ああ、彼女はトランスジェンダーなのか。

女よりのXジェンダーと言うのが正しいのかもしれないが。

この世界でもそういう人がいたんだな。




「マティアさん」


「なーに?? ルース君」


「あの、なぜ人間の言葉が分かるんです?? 妖精の方ですよね」




確かに……。




「私はね、ちょっと昔に人間界の言葉を勉強したの。それで今へたくそながらも話すことができるの」


「そうなんですか」


「ええ。それよりもルース君、アメリアさん。妖精さんたちに追われて街からずっと走ってきて疲れたでしょう??」


「なんでそのことを……??」




ルースは驚いたのか声のトーンが上がる。

うちもマティアの言葉に衝撃を受けていた。


なんで妖精に追いかけれたこと、街から走ってきたことを知ってる??

この女、なんなんだ……。


うちが訝し気にマティアを見ていると、マティアは笑みをこちらに向けてくる。

























「私ね、少しだけ未来が見えるの」




え??




★★★★★★★★★★




一方、魔窟に取り残された人たちはと言うと……。




「アメリアが消えた……??」


「姉さんっ!?」


「お兄様もいないです!!」


「……2人とも消えたみたいだね」




僕、フレイは何が起こったか理解が追い付いていなかった。


確か……、あの光輝く大きな石にアメリアが触れた瞬間、アメリアが透明になりシャボン玉のごとく消えた。

ルースもアメリアに触れていたせいか、彼もどこかに消えていった。

一体、どこにいったのやら。




「あ、見てください」




エリカが青い石に指をさす。

その石は先ほどまで美しく青い光を放っていたのだが、その光が徐々に弱くなっていた。

石の近くにいたテウタはそっと触れる。




「……何も起きないな……」




残念ながらさっきのアメリアみたいにはいかず、石は光を失うだけで何も反応を示さなかった。

僕は石の周囲を見ていると、ハオランが妙な行動をしているのが目に入った。

僕はハオランの傍までよって尋ねる。




「ハオラン、何してるの??」


「……近くにあの大きな石と似た小さな物があったから持ち帰って調べようと思って」


「なるほど」


「それに……」


「それに……??」




ハオランはちらりと後ろを見る。

その先には気絶し眠っているドラゴンがいた。




「……あのドラゴンがいつ目覚めるか分からないしね。テウタさんがいるとはいえ、一度ここは撤退した方がいい。アメリア嬢やルースがどこにいるのか分からないし。もしかしたら、魔窟の入り口にいるかもしれないし」




ハオランは拾った青い石を指でつつく。




「それにこの石がアメリア嬢たちの居場所のヒントになってくれるかもしれないから、一旦学園に戻ろう」


「そうだね。おーい、みんな。一旦引き上げよう」




そうして、僕たちは一旦あの魔窟から引き上げた。

戻る際、エリカが「もうちょっとだけ、アメリア様がいる場所が分かりますから……」と必死に訴えていたため、ハオランに説得してもらった。

納得したエリカは小さな青い石をたくさん抱えて帰っていた。

魔窟の入り口にはアメリアの姿もルースの姿もなく、あったのは静かな森だけだった。

僕らは仕方なく学園に戻り、さっそく石について調べるため図書館に来ていた。




「なかなか見つからねぇーな……」


「簡単には見つかりませんね」


テウタは大きな図鑑を目の前にため息をつく。

僕らは図鑑で持って帰ってきた石と同じような物がないか調べていた。

一方、研究が得意なハオランは1つの石を使い成分を調べていた。




「……構成成分の結果が出たよ」


「ありがとう、ハオラン」



さすが、ハオラン。

仕事が早い。


早速僕らはその成分表を使って、関連のある本を片っ端から調べ始めた。

2時間後。

僕がなかなかないなと思っていると、「あ、あった」という声が聞こえた。




「あったのかい??」




僕がその声の方に行くと、狭い本棚の間にルイがしゃがみ込んでいた。




「これですよ。これ」




ルイの開いているページを見ると、そこには青い石の写真が。

よく見ると成分もだいたい同じであり、あの青い石の正体がこの図鑑に書いてるものだと思った。

気づくと、他のみんなも集まっており、図鑑を覗き込んでいた。



「トランスファーマリン??」


「やはり、転送に使われるのですか」


「……原産地はサガ島」


「初めて聞く名前の島ですね」




僕もサガ島なんて聞いたことがない。

少なくともウィンフィールド国付近の島ではないことは確実だ。

みんな悩んでいる中、1人だけ目を見開いて驚いている人がいた。




「どうしたの?? クリスタ??」




すると、クリスタは図鑑に向かって指をさす。































「サガ島は反人間派の妖精の島です」


「「「「「え?!」」」」」




なんだって??

クリスタ、良く聞こえないよ??

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