No.74 ボス戦を終えた後の自動転送
「う゛うぅ」
さっきの光とんでもなく眩しかったんだが……。
宝石から放たれた謎の光にやられたアメリアは目を瞑っていた。
ん??
耳をすませばさっきとは打って変わって異なる音が聞こえる。
小鳥のさえずり。
爽やかな風の音。
瞼の下から感じる心地よい太陽の光。
太陽の光??
洞窟にいたはずだよな??
太陽の光なんてないはずだが??
うちは閉じていた目を開く。
目の前には雲一つない青が綺麗な空。
自分の上には気を失っているルース。
一体何が起きたんだ??
うちはルースが上に乗っているため、首を頑張って動かし、周囲を確認する。
そこには普段見る光景があった。
いつもの森……だよな??
魔窟に行くまで散々見ていた木々が広がっていた。
まさか、魔窟の入り口に戻された??
そんな、どこぞのRPGのボス戦終えた後みたいなことあるのか??
あ、
でも、公式ならやりかねないか。
と思いつつうちは上で寝ているルースを叩く。
「おい、起きろ。重い」
「ううぅん……。何っ??」
ルースは目をこすりながら、少し顔を上げる。
ルースとうちはかなり顔が近く、他の人が見ればルースがうちを押し倒しキスしようとしている態勢になっていた。
うちと目を合わせたルースは状況に気づいたのかよく分からんが、顔を真っ赤にさせている。
うぉ。
さすが、攻略対象者。
かわよいな。
自分にとって死神であるゲームのキャラを久しぶりに愛らしいと思ったうちがじっーと見つめていると、ルースは慌てて起き上がりうちの上から離れた。
「あっ……。ごめん……」
はぁー、意外とちょっと重かった。
そんな表情をしうちは立ちあがる。
足元には所々に苔が生えている薄いベージュの石畳。数歩先からは草が広がっていた。
もう一度うちは周囲を見渡すと、さっき見ていた反対側にはよく分からない文字が書かれている石碑。
自分たちより2メートル高い苔がついた石碑だった。
「ルース……さっき見ていた宝石はどこに行ったんだ??」
同じく隣で神秘的な石碑を見つめるルースに尋ねると、「わからない」の一言。
あー。
役立たず。
うちは今いる場所を確認するため、周辺を歩くことにした。
石碑の正面には道があり、ルースとうちは進む。
うちを囲む木々はいつもと同じなはずなのになんだか違うオーラを感じた。
なんなんだろ??
この違和感。
「え?」
「ふぎゅ」
横ばかりを見ていたうちは前を歩いていたルースが突然止まったため、思いっきりぶつかった。
「おい、急に止まんなよ」
うちはルースの背中にぶつけた顔を離し、1歩後ろに下がった。
ルースに怒るも、うちは立ち止まったルースの視線に沿って前を向く。
ほぇ??
数メートル先にぱっつり切られたような崖。
そして、その先に……いや、その下に広がっている青い海と緑の大陸。
うちはどうなっているんだと思いつつも、ルースの前にでてその崖へと走り出す。
へ??
ギリギリまでやってきたうちは崖の真下を覗き、輝く海と白い雲があることを確認する。
この光景は最近見た。
というか昨日見た。
横を向くと後からやってきたルースも下を覗いている。
「ねぇ、アメリア」
「ああ、なんだ??」
「ここって妖精の島だよね??なんで、僕らこんなところにいるの??」
「……」
ルースよ。
それはうちが知りたいんだ。
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