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元ヤン王女の研究記録  作者: せんぽー
ファイル3 平穏からの海賊登場
51/136

No.51 海の瞳

「ナイル様は裏の仕事に未だ手を出しておりますよ」

『何っ!?』

「えっ?どいうこと?あの人気アイドルナイルが現在進行形で裏の仕事をやってるって。てか、なんでそんなこと知ってるの?」


ナイルのことは世間一般程度に知っていたルースは意外な情報に驚愕していた。

クリスタはパソコン画面から離れ別の机に大量の書類を静かに置く。


「なめないでくださいっていったじゃないですか。まあ、サイネリアの女商人やナイルファンの人、妖精、ヴァンパイアたちと協力し、ナイル様を長年観察してきましたので」

「やっていることが集団ストーカーじゃないか」

「いえ、違いますよぉ。立派な追っかけです」

『コホン』


ルースとクリスタが言いあっていると、画面から咳払いの音が聞こえた。


『盛り上がっている所悪いがナイルについて詳しく教えてくれないか?』

「すみません」

「あ、すみません」


画面前に戻ってきたクリスタはぺこっと頭を下げる。


「えーと、ナイル様がアイドルとしてデビューする前、裏の仕事をやっていて、デビューと同時にお辞めになったことはご存じですよね?」

「ああ」

『うん、その話は有名だからね』

「しかし、実際は手を洗ってなかったんです。私たちが観察した限りでは人を殺めるようなことは行っていませんが、捕らえた者を奴隷にするといったことは行っていますね」


すると、違和感を持ったのか画面のフレイは首を傾げる。


『でも、売れたのになぜナイルはそんなことをしているの?』


確かに……。

デビューし、こんだけ売れているのならば経済的な不安はない。

闇業界に手を出す必要性もないはずだ。

僕が考えていると、クリスタは腰に手を当て説明し始めた。


「よくお考え下さいませ、フレイ様、お兄様。ナイル様はサイネリアの人間ですよ。王子、王女のお気に入り。それもデビュー時から」

「え、まさかサイネリアの王族が関わっているとかないよね?」

「まぁ、可能性があるって感じですね。そこらへんのつながりが私たちにもよく分かっていないところがありますので」

「なるほど、それでフレイさん。なぜナイルのことを……?てか、画面がかなり揺れているのですが」

『うん、ごめんね。今、移動中なんだ。酔いそうだったら音声だけにしてね。で、僕がなぜナイルのことを探っているかというと』


「あ、ナイル様、今海の上じゃないですか。何してんだろ?」


クリスタが自分の魔動式タブレットをつつきながらつぶやく。


「クリスタ、静かに。すみません、フレイさん。僕の妹、ナイルのことになると夢中になって……」

『なんだって?! クリスタっ!? ナイルの居場所がわかるのかっ!?』


迷惑だろうなと思っていたが僕の予想は外れ、フレイはクリスタの話に食いついていた。


「ええ、分かりますが……?? それがどうしたのですか?」


『今すぐ教えてくれっ。アメリアがっ!!』


「王女様がっ!? まさかっ、攫われたのですかっ!?」

「寝込んでいる状態でっ!? えっ?」


フレイは首を横に振る。


「王女じゃない、アメリア嬢だ」

「へぇー、あのアメリア嬢がね……って!!あの子攫われるような子じゃないですよねっ?!バリア主魔法の怪物だっだじゃないですかっ!?」

「え、あのアメリア様が……」


ルースは柄にもなく取り乱す。

クリスタは冷静のように見えて、混乱していた。


『ああ、僕もそう思ったんだ。よく考えると、相手は無効化主魔法だよ』

「でも、それでアメリア様は負けるとは思いませんが……」


深呼吸をし正気を取り戻したクリスタはいつになく真剣な表情だった。


『確かにね。ここからは僕の予測なんだけど、今日本当はアメリア嬢の言うことを聞く日だったんだけど、僕は用事があっていけなかったんだ』


そういや、そんな話があったな。


『でも、エリカは一緒に行ったんだと思うんだよね。もしかしたら、突然現れたナイルにファンのエリカは引き寄せられ気絶、アメリア嬢は人質を取られ動けなかったのかもしれない』

「なるほど」

『要するにエリカはポンコツ』

「フレイさんっ!?」「フレイ様っ!?」

「なんでもないよ」


画面に映るフレイは笑ってごまかす。

なんか最近フレイさんとエリカさん、バチバチなんだよね。気のせい?

やたらと2人で毒を吐きあっているとというか……。


『それで……』

「船はサイネリアの方に向かっていますよ」


クリスタはフレイの考えを読んだのかそう答える。


「アメリア様とナイル様が一緒に乗られているかは分かりませんが少なくともナイル様の場所は特定できますので」

『ルース、君の妹は優秀だね』

「ただのストーカーですよ」


僕がそういうと隣に立つクリスタは笑顔を向けてくるが目が笑っていなかった。


「お兄様、今なんておっしゃいました?」

「いや、なんでもないよ」

『じゃあ、この通話はずっとつないでおくから何か分かったら言ってね』

「了解です」「分かりました」


そいうと、ルースはビデオ通話から通常の電話へ変更し、クリスタは自分のネットワークを使い、ナイルファンに連絡を取り始めた。




★★★★★★★★★★




「マジ?」

「ああ、マジだ」


ナイルは彼の言ったことが信じられなかった。

アメ嬢の記憶を消す?

君とアメ嬢が婚約?

何言ってんだ、あの人は。


「でも、記憶を消すってどうするのさ?まさか、君……」

「ああ、あの魔女に会ってやり方を教えてもらったよ」

「紅の魔女にか……まぁ、確実にはできるけどよく会えたね」


思わず立っていたナイルは倒れた椅子を起こし、座り直す。


「ああ、お前の知り合いだって言ったら了承がもらえた」

「でも、すぐに正体バレたでしょ?」

「ああ、即行だった」


銀髪の少年が舌打ちすると、ナイルは爆笑していた。


「さすがっ!! ぶっ飛んだことをする最強の魔女だ!!」

「おい、あの魔女はお前の……」

「はいはい、そうですよ。で、そろそろ部下たちがやってくるよ」


僕は彼の言葉を塞ぎ、足音が聞こえたので注意した。

で、なんでこんな優雅な時間に部下がくるのか?

まぁ、現在進行形で仕事中だしね。

一仕事をとりあえず終えナイルと銀髪の少年は船の上で優雅にお茶をしていた。

内密にしたいこともあったため一部のベランダに近づかないようにと部下たちに言っていた。

まぁ、重要なことは報告しろって言ったけどね。

ナイルの忠告を聞いた銀髪の少年は左手の人差し指に指輪をする。

すると、少年の髪は銀髪からシアン色の髪に変化していた。

数秒後、案の定、予想していた時間帯に部下はやってきた。

部下でも上位の彼はナイルの隣に立ち、報告する。


「ナイル様っ!! 準備ができました。例のものを捨てますか?」

「うん、よろしく」

「了解しました!! おい、お前らアレをやれ!!」


上位部下は振り返り下の者に指示をし、また、ナイルの方に体を向けた。


「で、あの、そちらの方は……??」


恐る恐る聞いてくる。


「ああ、安心して、敵じゃないから。今日の仕事仲間」

「ああ、なるほど。失礼しました」

「ほら、君からもなんか言ったら?? 彼、優秀だから今後裏の世界で大物になるよっ!!」

「いや、ナイル様……俺はそんな」


シアン色の髪の少年は肘をつきながらも、上位部下に顔を向ける。

彼の瞳は海のように綺麗な青だった。


「俺はカンデラ。どうもよろしく」

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