No.43 さっちゃん
「アメリア様、私のことを忘れたのですか?」
うちは彼女のことを知っていた。
普段と違い過ぎて全然分からなかったが、声をよくきくと分かった。
アメリアは突然現れた彼女を見つめる。
「ゾフィー……」
以前、エリカの頭上に植木鉢を落とそうとした悪役王女の犬だったゾフィーがなぜか忍びのような格好をしていた。
女の正体が分かったアメリアはゾフィーに近づく。
「なぜ……お前、そんな格好をしてるんだ?」
その服装はまるで……〇魂のさっちゃんじゃねーか。
色違いだけどな。
てか、それどーなってんだ。
『ぎんさぁ~ん♡』とかいうのかっ??
懐いな!!
「私はアメリア様のおかげでテウタ様とお会いすることができました」
「お、おう」
「また、無事私の家はうまくいっております」
「よかったな」
「そして、私はあのぶさいくな婚約者から離れることができました」
お前もトマスのことぶさいくと思ってたんかい。
確かにアイツはぶさいくだな、うん。
「私の自由のためにアメリア様がしてくださったことは感謝しても感謝しきれません」
ん?
「だから、私はアメリア様のスパイとなります!!」
あ?
ゾフィーの突然の宣言に唖然とする。
堂々としているゾフィーはうちの前で跪き、見上げる。
「ダメでしょうか?」
「……ダメも何もうちにスパイなどいらんがな」
さっちゃんコスプレの忍など尚更いらんがな。
「多分、アゼリア様が何かしらしてくると思うので、必要になってくるかと思います!!」
「まぁ、確かにな。でも、最近アイツ何もしねーしな、うん、必要ない。てか、お前アゼリアとはどうした?? お前、授業も受けてないよな??」
「アゼリア様とは会わないようにしました!! アメリア様を守るため授業は受けておりません!!」
「堂々と言うな。てか、お前令嬢だろ。忍とかやってたら……」
「親の許可は下りております」
なんでだよ。
「てか、下ろさせました」
コイツ、親に媚を売ったか親を脅したな。
「とりあえず、うちに忍びはいらん。お前は自由に暮らせって。じゃあな」
アメリアはゾフィーの肩をポンと叩き、図書館の方へと歩く。
しかし、アメリアは腕を掴まれ、足が止まる。
振り向くと腕にはゾフィーの手があった。
「なんだ……」
「私はスパイにずっとなりたかったのです」
「……」
「主と思える人のスパイに」
「主ってうちのことか??」
ゾフィーは軽く笑う。
「ええ。だから、私がしたいことはアメリア様のスパイになることです。どうか、やらせていただけませんか??」
スパイなんてマジで必要ないんだよな、アゼリアとか他の奴らが仕掛けてくるわけでもないし。
でも……。
アメリアはゾフィーの手を払い、また図書館へと歩き出す。
「仕事もないから、授業には出ろよ」
アメリアが廊下から去ったあと、取り残されたゾフィーはガッツポーズをしていた。
★★★★★★★★★★
なんだこれは……??
地面に座り込むアメリアは黒い霧の中であたりを見渡していた。
風が吹くと、徐々に霧が消えていく。
しかし、まだ黒い霧が残っている場所があった。
え……。
黒い霧の場所には彼女がいた。
「エリカ?」
黒い霧の真ん中に立つエリカはアメリアの目の前に立つ人を睨んでいるようだった。
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