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元ヤン王女の研究記録  作者: せんぽー
ファイル6 時の扉からの魔女の首輪
130/136

No.130 魔女の命令

第6章開始です。

よろしくお願いいたします。

アメリアたちに家の外に出てもらったナイルとニトはテーブルの上である紙を広げていた。

紙自体それほど大きくはない。

しかし、彼らにとって重要な内容が書かれていた。


「ババアがこれを渡してきた」

「ババアって……君もアメリアと同じように人の母親を」

「お前の母親は世間では化け物だ」

「そうだけど……」


2人は短い文章が書かれた紙を見る。


「これまた……なぜ」

「アイツは人の足で行かせたいんだろ。こんな言い訳書いているけど」


ニトが指さす文章には『私は忙しいから♡』と柄にもなく可愛い文字で書かれている。


「ちょっ、ちょっと待って。ここ見て」

「あぁー??」


ニトが指し示した部分から少し下の方に見逃せないことが書いてあった。

その部分を眺めると、2人は同時に顔を上げ目を合わせる。


「……」

「おい、ナイル。あのババアは何を考えているんだ??」

「分かるわけないでしょ、あの人化け物なんだから」

「……息子のお前が言っていいのかよ」




★★★★★★★★




「アメリアと戦うのって初めてだね」

「確かに……サシでするのは初めてだ」


うちは空に向かって手を伸ばし背伸びをする。

少し離れたところにいるサンディもなまった体をほぐしていた。

Vの意味をサンディから聞いてから話を数分すると、久しぶりに体を動かすことにした。

魔法はちょくちょく使っていたが、戦いは妖精の島以来である。


「サンディはどんな主魔法なんだ??」

「主魔法って言えるほどの魔法は使えないけど、主に火を使ってたよ」

「じゃあ、犬の姿の時と基本変わらねーな」

「そうだね。アメリア、そっちは準備できた?? 僕はできたんだけど……」

「ああ。いつでもかかって来いよ」


腰を下げ、準備ができたうちは構える。

ついでに手を振ってサンディに挑発してやった。


「アメリア、余裕だねっ!!」


サンディはうちに向かってダッシュ。

彼の両手にはオレンジに燃える火が宿っていた。


「おーい!! そこのお前ら!!」

「え??」


紅の魔女の家の方か声がしたので、そちらを向くとニトがうちらを呼んでいた。

サンディに声を掛けようとすると、彼はすでに目の前にいた。


「!!」

「うわっー!!」


ちょっ……。

うちはそのままサンディに押し倒され、地面に寝転ぶ。

幸いサンディの手に宿っていた炎は消えていたので、体には痛みもなんともなかった。

サンディとうちの間には数センチの空間しかなかった。


「……お前、止まれよ」

「いや、だって。アメリアが仕掛けてくるだろうと思ってたからさ……」

「まぁ、いいや。とりあえずお前は起きろ。邪魔だ」


サンディは体を起こすと、うちに手を差し伸べてくる。

その手を取り、サンディに引っ張って貰い起き上がった。

サンディと戦ってみたかったんだけどな。

うちは内心悔しみながらも、サンディと共に2人が待つ紅の魔女の家へ足を運んだ。




★★★★★★★★




「はぁっ??」


うちは思わずナイルの発言におっさんのごとく声を上げる。

ダイニングテーブルを挟みうちの正面に座るナイルは苦笑いをしていた。


「ハハ……やっぱ、無理だよね。この人の考えを理解するってのは」

「何を考えているんだ、紅の魔女は」


ニトに呼び出され、紅の魔女の家に戻ったうちはナイルからある1枚の紙を見せられた。

その紙にはJKらしい丸文字で文章が綴ってあり、いちいちハートマークが描かれてあった。


「紅の魔女?!」


隣で読んでいたサンディがその名を口にしたので、最後まで読むと一番下の方に目を向ける。

そこには確かに「紅の魔女」の名があった。

それで、今その手紙の内容について詳しくナイルたちから説明を受けているのだが……。


「なんで、うちらまで奴隷の国に行かなきゃならないんだ」


そう。

その紅の魔女からの手紙にはうち、サンディ、ナイル、ニトの4人で海を越えた大陸にある国セクエンツィア国に行って王城の地下を探索してこいというものであった。

セクエンツィア国は奴隷の国で知られるであり、トッカータ王国、ウィンフィールド王国が関わりを避けている国であった。

紅の魔女はそんなところの王城に忍び込めという。


「ふざけてんのかよ」

「でも、アメリアは半強制的なんだよね」

「なんでだよ」

「ほら、ここに書いてあるでしょ。『行ってきたら首輪を外してあげる』って」


ナイルに言われた通り、手紙の端の方にちょこっと書かれていた。

その文章にイラつき、つい舌打ちをする。

この前この首輪を外そうと、うちはナイフや自分のバリア魔法で切ろうとしていた。

あの紅の魔女がつけたものであっても、革だから簡単にできると甘い考えでやった。

いくらやっても切れることはなく、逆に外そうとしたら数秒閉まるようになっていた。

危うく息ができなくなるところだった。

アイツ……やっぱ、うちを殺す気か。

そう思いながらも諦めず他の人に外してもらう作戦に変更。

しかし、サンディがやってもやはり同じで、悔しいことにどうにもこうにもできなかった。

そんな首輪が奴隷の国の王城の地下に行けば外れる。

しかし、紅の魔女の命令。

彼女の実験体とされているうちに対し何を仕組んでいるか分からない。


「はぁ……」

「行くしかないようだね、アメリア」

「でも、お前も行かなきゃならないんだな」


サンディは紅の魔女の実験体ではない。

もしかすると、眠っていた間に何かしているかもしれないが、サンディからは異常も特に見られないため、実験体である可能性は低いだろう。


「まぁ、きっとアメリアの護衛として行けって言っているのだろうね」

「そういうことか……」


別にうちには護衛なんていらないのに。

ふてくされていると、ナイルの隣に座っているが、話に入ってこなかったニトが口を開いた。


「アメリア。お前、セクエンツィア国に行ったことがあるのか??」

「ないけど……」

「じゃあ、旅行と思って楽しんだらどうだ??」

「奴隷の国に行くのが、旅行??」


うちはこの世界に来て1度もセクエンツィア国には足を運んだことはないし、もちろん、前世でゲームのプレイ中に行くことはなかった。

セクエンツィア国に関する話や噂をよく耳にしていたが、実際に行ったことはない。

うちがセクエンツィア国のことを考えていると、ニトが話を続けた。


「まぁ、セクエンツィア国はそんないいところではないがな」

「なんなんだよ、お前」

「まぁ、アメリア。睨まないで。コイツはもともとこういう奴だから」


記憶無くす前とは別人じゃないか。

うちはニトを睨んでいたが、サンディに肩を叩かれたので仕方なくやめた。


「じゃあ、みんな行くってことでいいね??」


手紙を折りたたむナイルが尋ねると、全員首を縦に振った。

131話は2/16を予定しておりますが、少々遅れる場合もございます。


誤字脱字、話のつじつまが合ってない所があればご報告ください。

ご報告していただいた方、本当にありがとうございました。

頑張りますので、応援よろしくお願いします!

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