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元ヤン王女の研究記録  作者: せんぽー
ファイル5 CからのV
107/136

No.107 ホラゲーの敵

「聞いてないぞ、あそこがカップルのスポットになったなんて」


「アメリア様、一体なんの話をしているんですか」


「今、池に人が集まっているって言ったじゃないか」




うちがそう言うと、ティナは呆れたような表情を見せた。

そして、ティナはうちに真剣な眼差しを向ける。




「あのですね、池に人が集まったのはカップルのスポットだからではありません」


「じゃあ、何だというんだよ」


「昨日のアメリア様のせいですよ??」


「え??」




ティナが言うには、昨日うちのピンク色の髪の姿を男子生徒に見られてしまったため、そのことを男子生徒が他の人に話しているうちに学園中に広まった。

そして、そのピンク髪の少女をアメリア王女と判断した人たちが一目見ようと池に来ているらしい。

その集団の中にはフレイがいるとか。




「……アメリア王女(・・・・・・)は療養中なんだが」




うちはふぅーとため息をつき、ソファに座り直した。




「でも、ピンク色の髪はトッカータ王国の王族しかいない髪色ですし、この学園には専属騎士のテウタ様がいらっしゃいますし、王女様(・・・)がもともと飼われていたサンディに乗っていたのですからそう判断されていてもおかしくないかと。最近では、姿を現さないあまりアメリア王女は王城以外にいるのではないかという噂があるくらいですからね」


「厄介だな……。このままだと指輪どころじゃなくなるじゃないか」




うちがそう呟くと外から声が聞こえた。

どうやら、多くの生徒が池に向かっているらしい。


これじゃあ、授業できないんじゃないのか??


うちは気になり窓を覗くと、そこには見覚えのあるやつが窓に張り付いていた。

薄紫のセミロングヘア―の少女が目を見開いてこちらをじっと見ていた。

その様子はまさにホラー。

ホラー映画のワンシーンのように見えた。


うちはその少女に反応することはなく、くるりと窓に背を向けた。

すると、次は「あーるーじぃ」と何度も呼ぶ声がした。

その声はかわいくもなく、力強くもなく、ただただ弱々しい老婆のような声だった。


お前はホラゲーに出てくる敵か。


ほっておこうかとも考えたが、永遠に窓近くで呼ばれそうなのでティナに「窓を開けてやれ」と指示した。

ティナがさっと窓を開けるとその女は入ってきた。

そして、ソファに座るうちの前に素早く跪いた。




「あるじ、おはようございます」


「ゾフィー……。なんであんなところにいたんだよ」


「前にしっかり見張っとけと言われましたので」


「確かにそんなことは言ったが……」


「話はかわるのですが、アメリア様。その髪はどうしたのですか??」




ゾフィーは下げていた顔を上げ、こちらの顔をじっと見る。

その表情はもの珍しそうに見ていた。




「これか……、魔法道具のリングを無くして王女時代の姿に戻ってしまったんだよ。そのリングを池に落としたんだが、今、人が集まっていて取りにいけないんだ……」




とうちの本来の姿を知っているゾフィーに説明しているうちにうちはいい案を思いついた。


これなら行ける。

まぁ、リスクはあるが。




「ゾフィー、お前、今暇か??」


「暇もなにも、私が忙しかろうとアメリア様のことが最優先ですよ」




ゾフィーは満面の笑みを見せてそうはっきりと述べた。


ちょっとこの笑顔に少しイラッとするのはうちだけか??


笑みを浮かべるゾフィーにうちも笑顔を見せる。

目が笑っていないと思うが。




「うちが連れ去れたときは違ったじゃないか」


「……まだ根に持ってんですか?? 次はないようにさっきまで窓外で控えていたんじゃないですかぁ??」


「まぁ、いいや」




そんなことはまぁどうでもよかったので話を戻す。




「そんなに暇なお前にしてもらいたいことがあるんだよ」


「……『そんなに暇な』がちょっと、気になりますが……。それで、何をすればいいのですか」


「人払いだ」


「人払い??」


「そうだ。池の人払いだ」




指輪を取りに行くためにはまずは人払いをしなければならい。

しかし、騒がれている張本人のうちが行ったら、騒ぎが拡大する一方。国レベルの騒ぎだ。

髪をできるだけ隠して行ってもルイが居れば見つかるリスクの方が高い。

そこで、

事情を知っているゾフィーに金の鯉やアメリア王女(うち)で話題になっている池よりももっと話題を広めてもらい人払いをする。

人が池から去るのは時間がかかるからうちが池に行けるのは夜になってしまうだろう。


うちは自分の案にうんうんと頷きながらゾフィーに説明していると、ゾフィーが首を傾げた。




「でも、もっと騒がれるような話題ってどうしたらいいですか??」




話題か……。


アメリアはじっーと考えこむと、数分後にやっと口を開いた。




「これはどうだ。お前がピンク髪のかつらをかぶり、サンディの上に乗って学園の屋根を飛び回るんだ。そして、昨日のは自分でしたって宣言するんだ。そしたら、昨日の女がアメリア王女ではないと知ってもらえる」


「そんなのでいいんですか??」


「ああ。いい」




正直言うと別の話題が見つからなかった。

でも、それはゾフィーには黙っておく。


うちは心中でそう思っていると、ゾフィーは服のポケットの中を探り始めた。


















「??」
























うちはその行動の意味が分からず、じっと見ているとポケットの中から今のうちの髪色と同じかつらが出てきた。




「ああ、良かった。最近、取り寄せておいて」


「なんでお前持ってんだよ……」


「いやぁ、アメリア様がアメリア王女だと知って何か役に立つだろうと思いまして……」





うちは溜息をつくと、ゾフィーに「サンディの小屋でかつらを付けろ」と言って窓からゾフィーを追い出すと、ゆったりとした読書の時間に戻った。

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