表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元ヤン王女の研究記録  作者: せんぽー
ファイル5 CからのV
104/136

No.104 ウソだろ……

授業がなかった昼間にルイとともに池で金の鯉を探していたアメリア。

聞いていた噂では夜に現れるとは聞いていなかったので、ルイに言われるまで知らなかったが、教えられた後もうちは木の棒で池の底をかき回し、金の鯉を探していた。

これで目を覚まして出てくるかなと期待していたが、現れる気配もなくいつの間にか夕方になっていた。

それでも粘っていたが、日が沈んだ頃にルイに「さすがに帰ろうよ、姉さん」と甘い声で言われてしまったため、可愛い弟の言うことを聞いてしぶしぶ帰ることにした。

が。

うちはこのまま易々とベッドに行って眠り1日を終える人間ではない。

夜、メイドのティナに気づかれないよう自室の窓から外へ静かに脱出し、散歩ついでに白い毛を持つ巨大犬のサンディを池に連れていく怪物である。


「いるかなぁ……??」


うちは池に来るなり八つ橋の上でサンディを休め、あたりを見渡していた。

幸い、他の生徒がいる様子もなく、池にいるのはうちとサンディだけだった。

夜なので結構暗いが月明かりのおかげである程度のものは見えていた。

うちの左には安心したように眠るサンディ、右には水槽。

手には網。

準備は完璧。

今日のサンディの散歩も完璧。

うちは「よしっ」と意気込むと寒さに耐えながらも靴下と靴を脱ぎ、裸足で池の中に入った。

池の深さは昼間に木の棒で確認しており、意外にも浅かったので安心して足を水の中に入れた。

水は自分の膝上ぐらいまであったが、そこが見えていたので恐怖感は特になかった。

さぁあて、金の鯉はどこかな……??

噂によると金の鯉は黄金で光を放っておりすぐに分かるらしい。

しかし、光が弱いときがあるので光が微弱の時もあり、その時は真っ暗な夜でもなかなか見つけづらい。

だから、うちはすぐに見つけ捕まえれるようにこうして右手に網を持っている。

どのくらいの大きさかは分からないが、この網より大きいときは手で捕まえればいいだろう。

そして、うちは右手に持つ網を水につけ、左手でポケットに入れていたライトを持って金の鯉を捜索し始めた。

興味がないのか、それとも寝ようとしていた時に起こされて眠いのかしらないが、サンディはトロンとした目でこちらを見ていた。

その姿がとても可愛かったのでうちのヤル気を上昇し、歩くスピードを上げた。

水の中は空気よりも温かく、むしろ空気にさらされている上半身の方が寒かったが、そこは耐える。

石の裏や八つ橋の下など池の隅々まで探し回っていると、たまにキラリと光るものがあり、「もしやっ!?」なんて期待しながら近づくとただの鯉だった。

裏切られた気分。

それでも諦めず腰を曲げて探し回っていると、うちの視界に髪のようなものが現れた。

うちの髪??

それにしても長いな……。



……。




うちは顔を上げ、横に顔を振るとうちの長い髪が顔にバシバシと当たった。

あれ??

うちの髪が長い??

しかも、ピンク??

へっ??

もしやと思い、うちはライトを持つ左手を見る。

そこにはいつも肌身離さず小指につけているあの魔法道具の指輪がなかった。


「ウソだろ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ