表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

制服盗難事件

王立パラテス魔法学園____この学園は生徒総勢約1000人の一流高校だ。この学園では生徒は魔法の実技の順位によってⅠ~Ⅴ組振り分けられる。


火照った体を冷ましながら教室に向かう。今日の体育はいつもより疲れた。担当の教師が病気で寝込み、代理の教師が授業を担当したからだ。

「ついてないなぁ…」

そんな独り言を呟きながら教室に向かう。

「ん、どうしたんだ?」

Ⅴ組の前に人だかりができている。

なにかあったのだろうか?

「誰が盗ったのか早く白状しなさいよ!」

怒号が廊下にまで響いている。教室に入ってみると、泣いている1人の女子。その周りには女の子を慰める複数の女子たち。その中の1人ステラの親友であるユウ=クバームはものすごい剣幕で周囲をにらみつけ、罵詈雑言を浴びせている。泣いている女の子というのはこの学校で知らない者はいない。この5組のアイドル的存在だ。名前はステラ=カントル。

「私探偵部呼んでくる!」

そう言うと勢いよく教室からユウが飛び出していった。

探偵部とは学園の問題を解決する部活動で現在の部員は3名。少ないと思うかもしれないがⅠ組のエリート3人がいるとなれば納得だ。

開けっ放しにされていた扉から堂々たる姿で探偵部が登場してくる。

「探偵部よ!みんな勝手に物に触れないように」

誰もが知っているエリート中のエリート部長のカレン=ケンドリックだ。

「僕がこんな下々の事件に携わらなければならないなんて...」

この見下してる奴もいい所の坊ちゃんだ。クライヴ=テンペスト。親が軍事の業界に携わっているらしい。

「まぁ、そう言わないでくださいクライヴさん」

このお淑やかなお嬢様も有名なアレキウス財閥の御令嬢様アリス=アレキウスだ。

「それでなにがあったのか教えてくれる?」

泣いてる本人はとても説明できそうにないから代わりに隣にいたユウが説明する。

「私達が体育から帰ってきたらステラの制服が無くなっていたの」

「なるほどね...」

カレンは顎に手を当て悩む動作を見せる。そしてドヤ顔をして言う。

「犯人は男子の生徒ね!!」

なぜそうなったのかは分からないがそうらしい。

「一人一人アリバイを言いなさい」

少しクラスがざわつく。

「授業の途中で抜け出したのってマッセだけじゃ...」

「俺!?」

一瞬静けさが場を走ってから女子達が一気に罵倒を始める。

「最低!」

「死んじゃえばいいのに!」

「待て!俺じゃない!」

必死に証明しようとしてるのに誰も信じない。

「あなたが犯人なのね、それじゃあ校長室まで一緒に行きましょうか」

「待ってくれ!せめて現場検証だけやってくれないか?」

カレンが軽いため息をつく。

「それでなにが分かるっていうの?」

「俺の潔白を証明してみせる」

「へぇ~」

カレンがニヤリと笑い怖いくらいの目付きでこっちを睨んでくる。なぜか固唾を呑む。

「アリスお願い」

「はぁーい」

そう言うとアリスは魔法式を展開してから地面に魔法式を組み込む、その瞬間魔法が教室全体に行き渡り一部から光が漏れる。

「ステラさんの机から魔法反応がみられます。

転移系アイテムを用いて飛ばした模様」

転移アイテムとは物を転送する為に使う物でお札のようなものを転送する物と転送する場所に貼り魔法式を展開することで転送を行うアイテムだ。

カレンがこっちを向く。

「で、これでなにが分かるっていうの?」

マッセは肩を落としながら言う。

「俺、転移アイテムを使う程の魔力体にないんだ」

「え?」

「だからこの犯行は俺には無理だ」

全体が静寂を宿す。次に聞こえたのはクライヴの大きな笑い声であった。

「なら、誰がやったっていうの?」

「俺以外体育で外に出た人がいないとなれば女子はどうなんだ?」

「誰もいなかったよね?」

全員が首を縦に振る。どうやら本当らしい。

「こうなったら一人一人ボディーチェックよ。転送元にアイテムがないってことはまだ持っている可能性が高いわ」

女子は別室で男子はⅤ組でボディーチェックが行われる。

「どうだった?」

「男子は誰もいなかったぞ」

「こっちもよ」

「なぁ、ちょっといいか?」

「なによ!!」

気を荒くしている...行き詰まってしまって怒っているのだろう。

「出て行ってもおかしくないタイミングで出て行ったんじゃないか?」

みんなが首を傾げる。少しわかりにくかったか。

「だからさ、みんなが出て行くタイミングがあるだろ?」

「もしかして...授業終了時?」

「そう。犯人はいち早くⅤ組に入り転送をしたんだ」

「たしかに...別にわかってたけどね、で、1番に入った人は誰なの?」

みんなの目が一点に向く。その視線の先にいたのはユウだった。

「待ってよ。他のクラスの犯行ってこともあるでしょ?」

「無くはないが他のクラスに入ったところをⅤ組の生徒に見られたらその時点でアウトだ」

「でも、入った時に転送したって言うならアイテムはどこにやったのよ」

「ユウが探偵部を呼びに行ってる途中で消したんだ」

「どこでやったっていうの?休み時間中だったのだから魔法を使ったのなら誰か見てるはずよ」

「うっ」

確かにそうなんだが、状況的にユウしか考えられない。探偵部を呼びに行ってる時間からしてそんな遠くでもないはずだ。どこだ、どこだ。

「あっそうか!」

「なにか分かったんなら早く言いなさい」

「うん、恐らく消したのはエレベーターの中だ、人がいても1番角に行き後ろの手でアイテムを持ち自分の体で隠しながら魔法を使えばまずバレない」

「エレベーターの魔法痕跡を調べてアリス」

なぜか時間がとても長く感じる。たった数分の事なのに。扉から入ってきたアリスが口を開けて声を放つまでが全てスローモーションに見える感覚だ。

「エレベーターに魔法痕跡見つかりました。消滅魔法を使った模様」

「認めるわね」

「はい...」


数日が過ぎユウはステラが庇ったおかげで1週間の謹慎で済んだ。本来は退学レベルらしい。

犯行に及んだ理由は嫉妬かららしい。女子の仲は良く分からないものだ。

また凡人生活に身を置くとするか。

教室の扉が勢い良く開く。

カレンが俺の眼の前にやってくる。

「あなた!探偵部入りなさい!」

「はぁ?」

俺の平凡な日常はどこへ行くのやら。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ