表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ネタ集短編

夢で逢えたなら

 ときには薄暗い家の中で――

 虫の予感を知らせるよりも早く。

 重く軋んだ足音をしっかりと響かせる。

 目当てのものが見つからない、そうくれば階段を登るのは必然で。


 どうしてなんて、疑問に思う必要がない。

 侵入者は私を殺すためだけに、こちらを目指しているのだから。


 部屋の中に鍵のある扉を探さなくてはいけない。

 自らの部屋には鍵がないので、トイレか姉の部屋になる。

 トイレの鍵は頑丈だが、二階から飛び降りるときに難儀しそう。手や足でつかまる箇所が何もないから。そうくればあとは姉の部屋になるだろう。


 なりふりかまっていられない。

 侵入者よりも早く、姉の部屋に移動する。

 相手の速度は鈍かったために、余裕で扉を閉めることができた。


 あとはどう逃げようか。

 天井に穴でも開けて逃げようか。ダメだ、それではこの場から逃げ出せない。隠れても時間の問題だろう。私はいつまでたっても逃げ出せないし、救われない。それなら、ベランダをつたって庭に降りるのがベターじゃないだろうか。

 この日のために、何十回と練習したのだから。

 私が殺されないための唯一の手段は、ぜったいに成功させたい。


 白色のベランダの手すりに足をかけて、ゆっくりと降りる。

 それから、目当ての愛車を見つけた。

 鍵は――あぁ、居間にある扉付近にかけてあった。戻るか、戻るまいか。この危機を乗り越えないと、いつまでたっても逃げ出せない。

 意を決した私は居間に行くために静かに玄関の扉を開けた。侵入者はいない。奴は二階にいるのだろう。愛車のキーを手に持ち、すぐさま家を後にした。

 

 まぬけな殺し屋なんて待ってられない。

 今日も私の勝ち越しだ。

 気分は爽快。

 しかしそこで意識が途切れゆく――悪夢はまだ終わらない。




ホラーチックなお話しです。作者は悪夢をよく見るので小説風に仕上げてみました。よくある夢オチですが、これには終わりがありません(ノД`)・゜・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  葵枝燕と申します。  『夢で逢えたなら』、拝読しました。  何かに追いかけられる夢、確かにこわいなと思いました。しかも、それが明らかに自分の命を奪おうとしているとなればなおさらです。私も昔…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ