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短編集

眠れ

  胸焼けするような朝っぱらから漂うはゲロ。

 いただけない、気持ちの悪さは漂うカーテンレール取り付け作業が待っている。

 答えの出ない壁に立ち止まったとき、行うはなんだろう。

 休むことだろうか。

 まだ何もしていない気がするのに休むのだろうか。


  未だに一歩も引けをとらないのでしょうか。

 一歩も歩めてるのか、暗闇で憶測しかねるのでしょう。

 霧を掻き消すダストを照らすは光、差し示す日照時間は経過の遍路を辿る。

 それは黒い霧ではなく、ただの灰色の霧である。


  雨風ともに鳴るのは、雑居ビルと共振する露。

 隣合わせの数々が何を示す訳でも無く、泣いている。

 雑踏を掻き消すように風音は酷く恒常性を保ち続けながら通過する。

 勿論、右から左へと通過するのですが。

 

  纏わりついている、数々の機械仕掛けは粒子の弧を描いては一斉に消えた。

 日を跨ぐようなざわめきが、火のように燃える胸騒ぎを過ぎ去っていく雨風に残る。

 

  空に影を落とし込むように、鷹は滑空速度を落として低空飛行を続けた。

 火を灯して暖を取り繕い、暗闇は終幕を下ろすカーテンレールのように背景を包み込んでいく。

 幻影に見えるのは誰なのだろう。

 見えているようで見えていなかったのは、トンネルを突き抜ける一筋の閃光の先に。


  足先に残るのは湿った残り香。

 手先の冷える、白みを帯びる、淡い吐く息は常にゲロ。

 自身を写す幻影達に白みを浴びさせるは木枯しに。

 色彩越しに映えるは、またも幻想。

 落ちきった木々達に、降りかからなくもなくはない、雪化粧。


  寂しさは冷たさと共にやってくるのでしょう。

 温度は気持ちと比例してやってきて、相反法則の元に忘れ去そうとしていた。

 生じ、生きてる心地という冷徹な終わりを迎えて夜は加速している。

 

  答えの出ない壁に揉み消すように冷徹な朝を迎える頃に消える。

 眠りの中で眼の宿す先には空飛ぶ絨毯が空を飛ばずに、ただ、飛ばされていただけ。

 限りなく遠い眼。

 

 眠れ、眠れ。 

  

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