人を好きになりたくない。
恋愛は価値観の押し付けであり。好きになった方は、その価値観に従う。
価値観のズレは不満に繋がり、やがて終局を迎える。誰もが思うだろう。面倒くさいと。
きっと誰も好きにならなければ凄く楽なんだろうね。
人を好きになることはとても素敵なことです。
しかし、好きになることで耐えがたい苦痛を伴うことがある。
ならば、人なんて好きにならなければいい。
僕は、
誰も好きにならない。
僕は、田中将斗(27) 住宅メーカーの営業をしている。性格は明るく誰とでも上手くやれる
しかし決してお調子者ではなく、大人の男だ
彼女はいない。出来ない訳ではなく、要らないのだ。
僕は、見切ってしまったんだ。女という生き物を。
最初は誰でも優しく、綺麗でこんないい女は居ないと思うんだ。しかし徐々にメッキが剥がれる様に素顔が見えてくる。
それが普通だと友人は言うが僕には理解出来ない。だって騙してるんだ。騙されてるんだ
所詮、男と女なんて騙しあっているんだね。
僕は恋愛に正直に生きたいだけなんだ。
友人は、ならば一人で生きれば良いと言う。
言われなくともそのつもりだ。
「おはようございます!」
後ろから明るい声がする。
去年入社した木村紗江だ。23歳スレンダー美人で男性社員は皆狙っている。
「田中さん。おはようございます」
彼女は僕の前に立つとペコリと頭を下げると
ニコリと微笑んだ。
大抵の男ならこれでやられてしまう。
しかし僕は、これも彼女のテクニックなんだと思うと、逆に退いてしまう。
僕も愛想良くおはようと返しニコリとする。