「序章」
これから少しずつアップしていく予定です。
昔作った話を書き直したら、大分違う話に展開していっているので時間かかりそうかもしれませんが、おつきあい頂けると幸いです。
序章からこの展開というところで、早く本編をアップしていけると良いなと思います。
1・序章
白亜の皇王宮に、静かに問う声が聞こえる。
「謀反を起こしたのは、真実か?」
と…。
それに応えたとて、真実を信じる程あなたは私の事を見ない。
あなたの言葉にただ沈黙で応えるしか、今の私には方法がないのだ…。
父である皇王・ラナザールは玉座から私を見下ろし、わずかに言葉を待っていた。そして言葉がないことを知ると、玉座から衣を引きずり、跪く私の目の前に立つ。
「立て…」
頭上からの光りと共に、父の影に覆われる。
床に視線を落としたままゆっくりと立ち上がり父と対峙すれば、私にはもう諦めしか残っていなかった。
「応えぬということは…認めるのだな?」
「…私が何を申し上げようと、何も真実とはならないでしょう…」
「さあな…だが…」
微かな金属音を放って、父の帯剣が銀の煌めきを辺りに散らす。一瞬にしてその光りが描く光景を目の端にしながら、私はただ父を見ている。
「っ!」
起きた衝撃に、自分でも情けないほどの苦悶の表情を浮かべているだろう。それでも父は尚、冷たい眼で私を見下ろして、その剣先を更に沈ませるのだ。
こうなることはわかっていた。いや、これが始まりでなければならない。私の血をもって、この呪いは解かれるのだから。
言葉にならない唇から、あなたを呼ぶ。あなたが覚醒されれば、私の役目は…終わるのだ。