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 お久しぶりです。


 なんとタイトルをつければ良いかわからない上に、書き終わってから書く必要あったのか微妙な話なので、初めてのタイトルなしです。

「ふぅ……すすっ。もしかして、運転苦手なのかしら?」

「なんか、すいません」

 出発して数分で肩を強張らせている俺を見て、助手席にいる結衣の母親はクスクスと小さく笑っていた。

 何かを堪えるように小さく控えめに笑う様子が、結衣に良く似ている。

 小さく華奢で、年齢の割りに若く、可愛らしく見える、というのが俺の彼女に対する印象だったのだが、今日はちょっと違っていた。

 須藤家やずいぶん前に喫茶店で見たときは、ゆったりした服装を好んでいた結衣の母親であったが、今は仕事を早退したところである。スーツ姿でパッチリと化粧がされていて、どことなく大人っぽい……というか、年相応の貫禄というか、美貌というか、そんなものを感じた。


(こんなことなら、午前中に軽トラで少しでも練習しとけばよかった……)


 仕事を終えて実家に帰った俺は、父親の車を借りて結衣の母親・小夜子さんを迎えに行った。

 彼女の現在の職場は須藤家から電車で7駅ほど先にあり、雑居ビルの中にある小さなオフィスらしいのだが、詳しい場所はわからない。

 仕方なく、近くにある何かの記念碑前で待ち合わせ、彼女を乗せたのがつい数分前だ。


 俺は車の運転がとにかく苦手だ。

 原因は大学時代、免許をとってすぐくらいに友人の車の助手席に乗っていて事故にあった事がある。フロント部分がグッシャリと拉げてショックが吸収されたのとエアバッグ等で友人は軽傷どころがピンピンしていたが、俺はどのように体が転がって何に当たったのかわからないが肋骨を数本骨折していた。なんとか車から這い出して身に起きた惨状を見た時『人間が制御していい代物じゃない』と恐怖した。

 仕事などで必要なら嫌々でも運転するし、プライベートで何か運んだりと必要であればハンドルを握るが、できれば運転という行為そのものには関わりたくなかった。


 とはいえ、今日は結衣の通う学校に彼女との婚約について報告をすることになっている。そして、この報告には母親である小夜子さんの同伴が不可欠であった。

 学校への事前の連絡は小夜子さんによって既に済んでおり、今日は結衣の担任と副担任、さらに校長の白石先生と、報告すべき人間全てがそろうことになっている。

 最初は俺のほうで連絡を取り付ける予定だったが、今や俺は卒業生だ。学校に通う生徒の保護者である小夜子さんの方が適任だった。

 そうなると、さすがに俺のほうで何もしないのは申し訳ないので彼女の職場まで車で迎えに行くことにしたのだが……ほんのちょっとだけ後悔している。


 小夜子さんに指摘されたことで俺の運転で不安を与えていないか気が気でなかったが、彼女はいたって余裕というか、いつもの人懐っこい笑顔で話しかけてきた。

「ふすっ……あらあら、昨日はそんなことがあったのね。仲が良いみたいで、安心したわ」

「でも、胃もたれがもうヤバイです」

 話の内容は、白瀬家での結衣の様子についてが殆どだった。母親として当然なのだろうが、娘の嫁入り先の様子が気になるようだ。

 昨夜の一件を風呂場でのことは伏せて話すと、可笑しくてたまらないと言うように彼女は小さく噴き出した。笑い方が努めて控えめなところは、親子揃ってそう変わらないようだ。

 気を使ってくれたのかもしれない。彼女の落ち着いた雰囲気の中でこうして話していると、ちょっとだけ運転中のストレスが緩和された気がする。

「じゃあ、お風呂も一緒に入ったりしたのかしら?」

「ぶはっ!? ななな、な、何を、えっと、あの、その……いや、それはさすがに、あの、えっと……っ!!?」

「ふふっ……冗談よ。冗談」


(まさか…………見透かされてる?)


 それから学校につくまでの間、俺は彼女から結衣の幼少期についてや、須藤家に父親がいたときの変わった慣習について教えられたのだった。

 すっげー微妙なので、すぐに次話を投入します。

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