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37 体調不良

 今年も書き納めです。

「みんな、ちょっと休憩にしよう。白瀬君、お茶淹れてくれないか」

「あ、はい。冷たいのならウーロン茶しかないですけど、良いですか?」

「ああ。じゃあ、それを頼む」

「ワシはホットのコーヒーをブラックで頼む。主任、ちょっと冷房効きすぎじゃないかね?」

「俺もコーヒーで、砂糖とミルクな」

「俺は冷たいの頼む」

「俺は緑茶な」

「ブラックにしてくれ」

「ちょっ……すいません。もう一回、一人ずつお願いします」

 俺はベルトに取り付けたポーチからメモ帳とペンを取り出し、一人一人の注文を筆記していく。

 大学時代からよく思うのだが、ハンカチ、ティッシュは社会人の携行品として当たり前だとして、筆記具も普段から持ち歩くべきだと思う。今日みたいなバラバラな注文を受ける場合のほか、急な電話でメモが必要になったり、書置きを残したり、紙とペンは日常の色々なシーンで必要になる。

 メモを取る習慣は時に「書かなきゃ覚えらんないの?」と急ぎの時に相手を苛立たせることもあるが、俺はむしろ「書かさんで良いの?」と言いたい。筆記させて、さらに復唱させれば、多少の手間はかかっても確実な情報伝達に繋がるはずだ。伝達ミスやトラブルが起きても、筆記と復唱の事実は自分の潔白を証明するキチンとした証拠にもなる。

 カバンに入れっぱなしになったり、机に置きっぱなしになったりしないように、俺は普段から手帳とは別でメモ帳を、ベルトに専用のポーチをつけて持ち歩いている。

 チョークバッグを進められたこともあるが、カラビナで吊るタイプは動くと揺れて面倒くさいので、ホームセンターで買ったカメラ収納用の革製ポーチを愛用している。

 メモ帳のほかにも携帯電話の非常充電用バッテリー、薄暗い倉庫内の点検に便利な小型の懐中電灯、頭痛薬を入れたピルケースや目薬、絆創膏、さらに予備のハンドタオルやティッシュといったものを左右1つずつあるポーチに分けて入れて常備している。ちなみに、色々規制がうるさくなったので十得ナイフは持たなくなった。

 大学時代はポーチを大量に付けたモールベストに色々入れていたのだが……クソミソに貶されて以来やめた。ミリタリーサークルに借りたアサルトモールベスト、あれカバン要らなくて便利なんだぞ。ダンプポーチなんかアレコレ突っ込めて良かったよなぁ。


「了解しました……っと?」


 主任の言葉ですっかり研究室全体が休憩ムードになり、指示通りお茶の用意をするため椅子から立ち上がった瞬間、ズシリ……とした体の重さを感じた気がした。

 まるで首から下が、鉄アレイを繋げて造ったマリオネットになってしまったような感覚だ。

 それでも動く。なんら問題なく、普段通りに体は動く。

 ただ“重たい”と感じるだけだ。

 眩暈も頭痛もない。眠気とは少し違うような……とにかく身体が重いのだ。


(クソッ……どうなってんだ?)


 とりあえず、疲労が溜まっていることには間違いないのだろう。

 最近になって朝は寝起きがすごく悪い。寝たりなくて二度寝が頻繁になり、出勤のバスの時間ギリギリで自宅を出ている始末だ。睡眠時間は十分に摂っているはずなのだが、何故だろう?

 出来る限り動きたくない、と思ってしまうくらいにダルい。リミットカットがなければ、立ち上がることすら億劫になっていただろう。

 給湯室でお湯を沸かし、氷を準備し、カップを出したりといった一挙手一投足ですら精神力を削がれてしまう。階段を上っても息が上がることはないので、体力には影響がないみたいだが。

 とはいえ、俺は仕事をする。誰にでも出来るこの程度の雑務で音を上げていいほど、助手の立場は偉くない。


「ありがとう」

「熱つつ……うん、美味い」


 主任たちが美味そうにお茶を飲んでくれるのを見るとホッとする。

『ありがとう』や『美味しい』が嬉しい。

 俺の所属する第1研究室は他の4つの研究室と違って、給茶機もコーヒーメーカーも置いていない。この研究室のお茶は、注文を受ければ俺自らが一杯一杯を淹れることにしている。


 俺は食べ物にはズボラだが、飲み物にはこだわっている。

 給湯室の冷蔵庫には毎週種類を変えて専門店で挽いてもらった自家焙煎コーヒーが保管されていて、戸棚には同じく専門店で買った緑茶の茶筒がある。使用する道具には俺が持ち込んだコーヒー用のドリッパーや細口ケトルがあり、お茶を淹れるための急須があり、麦茶やウーロン茶を煮出すための鍋があり、用途に合わせた茶器があり、といった具合で研究所の給湯室には残業や泊り込みの多い俺の私物がかなりある。

 俺は飲み物で贅沢をするタイプだ。とくにコーヒーは店で淹れてもらえば、一杯500円以上とってもいいくらいのものを淹れている自信がある。飲み物が美味いと食べ物が質素でもなんとも思わないが、食べ物が豪華なのに飲み物がショボいと虚しくなるのだ。

 大吟醸の肴に味噌や塩を舐めるのはなかなかオツでどこか絵になるが、回らない寿司屋の大トロを肴に安い発泡酒やリキュールを飲むなんて台無しだ……と言えば、理解していただけるだろうか?


 研究室の隅のソファに腰掛けてそれぞれにお茶を楽しみつつ、ミーティングが始まる。

「来週の予定だが……」

「それだと、専門は4研になるんじゃ……調整しますか?」

「でも先生には学会の予定が……」

 最近はいつになく平和だ。

 所長のミスが片付いてから、俺は普段どおりに業務をこなしている。

 普段どおり……後輩がいないので、一人で二役だ。


(疲れが溜まるのも、当然かもな)


 給湯室で茶器を片付けながら、お湯を沸かしつつ、保温用のタンブラーを準備する。

 こまめに気分転換が出来るように、熱いコーヒーを机の隅に常備することにした。

 紙製の無漂白フィルターをドリッパーにセットし、タンブラーに載せ、きっちりと量った量の粉を入れて左右にゆすって表面を平らにする。

 沸いたお湯を粉の中央にゆっくりと細く注げば、ハンバーグ状の泡がプックリと粉の表面に膨れていく。お湯を止めて十秒と少しだけ蒸らし、お湯を中央からゆっくりと細く慎重に肘の高さを維持して肩を回しながら注いでいく。

 言い香りだ。毎週400g(約40杯分)で1000~3000円は高額だが、普段から質素にやっているのだから、このぐらいの贅沢なら罰は当たるまい。


「おおい、白瀬」


 すっかりと中身が満たされたタンブラーの蓋を閉めて、給湯室から研究室に戻る途中で所長と出くわした。

「お疲れ様です。見積書、間に合って良かったですね」

「ああ、本当だ。いや、お前には助けられたよ。早速、今日にでも行くか?」

「?」

「ほら、寿司だよ。知り合いの店に聞いたら、今日は鰹の良いのが入ったってさ。酒は酔鯨ってやつの吟醸があるんだそうだが、どうだ? 約束通り、俺の奢りでな」

 所長は一難去った喜びからか機嫌が良さそうにニコニコしている。

(そういえば、そんな話してたな)

 寿司なんていつ以来だろう? 3ヶ月ぶりか? 回らない寿司なら1年ぶりくらいかな? 去年も所長と行ったんだっけ?


「いや、本当にすいません。ちょっと体調が悪いので……また、今度にしてもらっても良いですか?」


 いつもの俺なら所長の誘いはまず断ることがないのだが、今日は……否、ここ最近はとにかく体調が悪い。身体が重くて、出来る限り動きたくない。仕事が終わったら、さっさと横になりたい。

「そうか……そりゃ、残念だ。しかし、大丈夫なのか? 有給、使ってもいいんだから、疲れてるなら遠慮なく休めよ」

 所長は残念そうに、そして心配そうに俺を見ている。

「ほんと、いろいろと気を使わせてしまってすいません。また、今度お願いします」

 俺はそう言って一礼し、その場を去ろうとしたが、


「なあ、白瀬。その体調不良だが……何かあったのか?」


所長の怪訝そうな声に足を止めた。

(最近、そればっかりだな)

 所長は最近、顔を合わせると俺の身辺で何か変わったことがないかとよく聞いてくる。

 何か俺の身近で良からぬ噂でもたっているのだろうか?

「ただの疲労だと思います。そうですね……来週くらい、有給とってもいいですか?」

「ああ、そうしろ。お前んとこの主任には、俺が言っておくよ」

 所長とそんな言葉を交わして、俺はノソノソと重たい身体を研究室まで歩かせた。



 ▼ ▼ ▼ ▼



 不思議なことにこの“重さ”は、午後の半ばを過ぎたくらいから徐々に退いていく。

 いつも就業時間の終わる夕方には嘘みたいに身体は軽くなっていて、代わりにそれまでの精神的な負荷に耐えてきた分だけ頭痛が始まる。

 あの正体不明の重さの中でもなんとか仕事をこなしているが、その効率は悪く、結局日中の遅れを残業で取り戻すことになる。

 今やらなければならない急ぎの仕事はないが、今やっておいた方が良い作業はいくらでもある。

 身体が本調子でないとはいえ、こうして時間の余裕があるうちに、余裕のないときに備えた方が良い。

 俺はピルケースの中の頭痛薬を飲むと、俺一人しかいない研究室の隅で再びパソコンと書類の山に向き直った。

(くそっ……なんでだよ?)

 いつもなら服用から30分も経てば効いてくる薬が、一向に効かない。どこかボーっとして集中も乱れてくる。

 この頭痛薬を服用し始めて10年近く経つが、こんなことは初めてだ。薬に耐性でも出来たのだろうか?

 頭が痛い。まるで剥き出しの脳味噌をヤスリでゆっくりザリザリと擦られているようで、頭蓋骨を額から手回しドリルでゴリゴリと穴をあけられているようで、

(こうなったら、もう一錠……)

ピルケースの蓋を開けて……閉めてすぐにしまった。

 たとえ市販薬でもオーバードーズがいかに危険かを、三田教授の講義を受けた俺は知っている。


「帰るか」


 これ以上は無理だと判断して、俺は帰り支度を始めるのだった。



 ▼ ▼ ▼ ▼



 帰りのバスは苦痛でしかなかった。

 つい先日、バスの中で眠ってしまったら終点で運転手に起こされてタクシーで帰ったことがあった。どうも最近の俺は、一度眠ってしまうとなかなか起きられなくなっている。なんとか起きても、あの“重さ”に襲われる。

 それ以来気づいたことだが、この身体の“重さ”は、寝て起きることによって発症するようだ。

 以来、帰宅中は常にリミットカットで『寝たら死ぬぞ』とばかりに気を張ったままだ。

(これはもう病気だな……否、単に歳なのかもしれない)

 もう少しすれば、俺は29歳だ。三十路も手前で、リミットカットに身体が追いつかないのかもしれない。

 自宅に戻ると、途中の弁当屋で買った割引の安い弁当とインスタントの味噌汁で晩飯を済ませる。

 食欲は十分にあったが、食事を作るほどの気力が沸かない。

 冷蔵庫の中に賞味期限の近い豆腐があったような……捨てるのが勿体ないので、ポン酢だけかけて食べる。

(そういえば……揚げ出し、うまかったなぁ)

 唯が俺に姿を見せることなく自宅に通ってくれていて、夕食を準備していた頃を思い出してしまう。

 プラスチックの弁当箱をゴミ箱に捨てて、少ない食器を流しに入れる。

 流しの中のタライの中には、ここ数日使った食器が洗わずに放置されている。

(本当に俺はどうしちまったんだ?)

 洗濯バケツは既にいっぱいで、使える着替えも残り僅か。アイロンのあたったシャツも残り少ない。靴は埃や泥を落とすだけで、ろくに手入れしていない。買い物もなかなか行けず、冷蔵庫の中は心許なくなっている。部屋の隅の埃が僅かだが気になるが、掃除が出来ない。

(なんという堕落! いくら疲れてるからって、唯のサポートがなくなった瞬間こうなるのか!? 何が自己管理と自己完結だ! 馬鹿野郎!)

 情けなくて涙が出そうだ。自分が持つ知識と拙い技能だけで仕事と家事を両立出来ることが、独りでもキチンと生活出来てることが、俺の誇りだったのに……なんでこうなるんだ?

(畜生……どこまで不器用なんだ俺は)

 このところ、俺は家事がまったく出来なくなっている。

 朝は寝足りないようなダルさにろくな朝食もとらず出勤し、日中は正体不明の重量感、夜は残業して疲労と薬でも収まらない頭痛……とても家事どころではない。

(とにかく、週末にしっかり休んで……まとめてやるしかないのか)

 シャワーを浴びて、歯を磨き、ベッドに横になる。

 ただ瞼を閉じるだけで、ジワジワと布団が底なし沼になって自分が沈んでいくように感じて、意識は真っ暗闇から……何も感じない無の世界に落ちていった。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 彼の様子がおかしい。

 ただの疲労だと言っているが、あそこまでヤツレるものだろうか?

 つい先日まで俺が付き合わせた仕事に比べれば、大したことはないはずだ。

 否、むしろあの時の方がまだ血色が良かった。

 ようやく俺の仕事から解放されたくらいから、彼の動きは鈍くなり、動く度に顔をしかめ、日に日にその頬は痩けて、夕方には辛そうに額に手を当てるようになった。


 確かに今年度で彼が置かれている状況には、辛いものがある。

 そしてつい先日まで、俺がワザと仕事をミスして巻き込んで、無理をさせた自覚はある。

 だが彼は、その後でおかしくなってしまったんだ。


 俺はただ、約束の日まで彼を残業させただけだ。

 もし倒れそうなら、休ませても良いという約束だった。彼が休むと言えば、休ませる約束だった。

 俺が言われた通りにすれば、誰にも危害は加えない、誰も陥れない、誰も消さないと約束してくれた。これはゲームだと言っていた。

 そして今は、とくに何かをしろとは言われてないし、断じて俺は何もしていない。連絡がくれば、近況を報告しているだけだ。

 彼が今追い込まれているのは、俺のせいじゃない。


 俺のせいじゃない。俺は悪くない。俺のせいじゃない。俺は悪くない。俺のせいじゃない。俺は悪くない。俺のせいじゃない。俺は悪くない。俺のせいじゃない。俺は悪くない。俺のせいじゃない。俺は悪くない。俺のせいじゃない。俺は悪くない。俺はもう、何もしていない!

 俺のせいじゃ……、きっとあの女のせいだ。


 白瀬はきっと、知らぬ間に何かをされているんだ!

 あの体調不良は、もしかしたら毒でも盛られているのではないか?


 いったい何のために!?


 頼む、白瀬。

 明日にでも休暇を申請してくれ。

 ゆっくり寝てくれ。

 そんでもって、何か美味いものでも食おう。

 元気になってから出勤してくれ。


(……無理だよな)


『こんな誰にでも出来る仕事を勝手に休んで、俺にできない研究やってる研究室のみんなになんかさせられませんよ。

 これが俺の仕事ですから。

 落ち着いてから、ゆっくり休ませてもらいます』


 あいつはそう言って立てなくなるか、一段落するまで止まらない。

 そのうち休むと言いながら、結局最後まで付きあう。

 自宅で寝てるかと思えば、仕事部屋なんぞに籠もってるか、ろくに遊びもせずに家事なんぞしている。

 そんで毎朝、不自然で下手な笑顔で「大丈夫ですよ」って、馬鹿野郎!!


 ああもう、早く家庭持てよ! 誰か嫁に来て彼をサポートしてくれ! 引き止めて休ませろ! あいつを守ってくれ!


 なんて融通の利かない奴なんだ。

 今までいろんな奴を面倒みてきたが、こんな部下……否、仕事馬鹿を見たことがない。

 どんだけ理想高いくせに不器用なんだよ?

 お前こそ能力弁えろよ!


「っ!?」


 突然、ポケットの中で、マナーモードにしていた携帯電話が震えた。

 着信は“非通知”だ。

 すぐに俺は通話ボタンを押した。

「おい! お前はあいつに何をしたんだ!? あいつをどうする気だ!?」


『ニヒヒ…』


 電話の向こうから、不気味で、まるで悪戯好きな子供を演じているような含み笑いが聞こえる。

 最初はガキの悪戯かと思ったが、多分こいつは声を変えて演技しているのだ。

『何もしていませんよ。それに、誰にも悪いようにはしませんから』

「嘘つけ! あいつは、白瀬は追い込まれてるぞ!」

『あはは、そっかぁ……苦しんでるんだ。でもそれは勘違いですよ。誰のせいでもなくて、自分で無理して追い込んでるんだよ♪ でもそれも、もうすぐ終わりだから』

「終わるって……何が、どうなるんだ?」

『白瀬 裕一は、幸せになるんだよ』

(何を言ってるんだ、この女は?)

『なーんにも心配いりませんよ。誰にも危害は加えません。私の言うとおりにしていただけるなら、約束は守りますから。あ! そうだ……今日も良い写真が撮れたので送りますね、“お父さん”』

 彼女はそう言って電話を切った。


 そして数分後、俺の携帯電話が一件のメールを受信する。

 画面には小学6年生になる俺の娘の、更衣室かどこかで着替えをしているような写真が送付されている。

 こんな写真が、ネットでばらまかれでもしたらどうなるのだろう? 今のネット社会は、俺の世代では底知れないほど恐ろしいものだ……となんかの週刊誌で騒がれていた。娘が嫁にいけなくなったりでもしたら……。

 昨日は部屋で友達と宿題をしている写真だった。一昨日は教室にいて給食時間の食事風景だった。ずいぶん前には、所属するバスケクラブでの練習試合の際どい……。

 こんな写真、いったいどうやって撮っているんだ? 写真の中の娘の表情は、何も知らない無防備なそれだった。撮られていることに気がついていない。

 誰がこんな写真を撮ってるんだ? 学校の職員か? バスケクラブの関係者か? 父兄の誰かか? 隠しカメラか? 後をつけてるストーカーでもいるのか?

 娘にそれとなく確認したいが、最近ささいなことで嫌われてしまい口もきいてくれない。

 写真はほぼ毎日、送られてくる。

 こちらから彼女に連絡は出来ず、いつも向こうからの電話待ちだ。いったい、彼女は何者なんだ!?

 メールアドレスは毎回違うが、メッセージはいつもと変わっていなかった。



『私は常に、娘さんに手が届く位置にいます。

 この意味、わかりますか? 変な気を起こしたら、容赦しません。私もできれば、手を出したくありません。

 これからも私の言うとおりに、白瀬 裕一を管理してくださいね』






 すまない、白瀬。

 俺は娘を守りたいんだ。

 部下よりも我が子が大事。

 衰弱しながらも己の意志で休むことなく役目に徹する融通の利かない部下の姿に、所長も追い込まれて……。




 今年一年、皆様にはいろいろとお世話になりました。

 年明けは仕事が忙しく執筆が滞りがちになる日々があるかもしれませんが、どうかご容赦いただけますと幸いですm(_ _)m

 それでは皆様、良いお年を(^∀^)ノ

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