太陽の光
我々には、光は害を成す。
我々は、闇の住民。
そして、我々が住まうのは、地底。
核の冬が訪れた地上。
一発の間違いから起こった核戦争は、月に住んでいる人類以外のほぼ全てを死滅するのに十分だった。
ただ、生き延びた人類は、地下へと潜った。
古書に曰く、夜が昼へと瞬時に変わり、世界は再び闇の世界となった。
核爆発による火球が、まるで太陽のように見えたことだろう。
人類が逃げのびた先の地底も、いつまで生き延びれるかは分からない。
その前に、できるだけ多くの人たちとつながっておかなければならない。
そう考えた人々は、最初は近隣の人々と、共に生活を送るようになった。
それがいつしか村となり、国となり、そして運命共同体ともいうべき国家となった。
これからの長い間、地表に出ることはないだろう。
我々は光を恐れ、この闇の世界に生きていくしかないのだから。