第4話 スペランカー
カイコ「今回はチョコの担当ね。遊ぶゲームはコレ、スペランカーよ~!」
チョコ「くっ……前回の仕返しかっ!?」
カイコ「ふふっ。べつに、そういうわけじゃないわよ~?
クソゲーって言われることもあるけど、そうじゃない! って擁護する声も、
結構多いみたいだから~」
ミコ「ですが、最弱の主人公とか言われているゲームですよね?」
カイコ「そうね~。1キャラ分くらいの高さから落ちても死ぬし~。
正確には首の高さくらいらしいけど」
チョコ「やっぱ、クソゲーっぽいぞ?」
カイコ「ふふっ。とりあえず、やってみなさいな。
ちょっとシビアなゲームかもしれないけど~」
ミコ「頑張ってください、チョコ姉様」
チョコ「よっしゃ! やってやるゼ!」
☆☆☆☆☆
チョコ「それじゃあ、カセットを差し込んで……電源オン!
……おや?」
ミコ「いきなりバグってますね」
カイコ「ふふっ、差し込み方が悪かったのよ」
チョコ「これもよく聞く話だな!」
ミコ「端子部分に息を吹きかけるといいってやつですね!」
カイコ「どこまで効果があるかは、謎だけどね~」
チョコ「ま、やっとくか。ふーふー!」
カイコ「チョコの口臭で、カセットがダメになっちゃったりして~」
チョコ「なるか! っていうか、口臭がひどかったりなんてしないから!」
ミコ「ニオイでダメになるカセットなんて、それこそダメダメだと思いますが」
チョコ「ともかく、気を取り直してスタートだ! リフトを下ろして……」
カイコ「……いきなり死んだわよ~?」
チョコ「ジャンプしないと届かないか」
ミコ「それは当たり前だと思います」
チョコ「ま、さくさく行くゼ! ……うっ!」
カイコ「今度はツタから落ちて死んだわね~」
チョコ「こなくそ!」
ミコ「……今度は下り坂でジャンプして死にましたね」
カイコ「ゲームオーバーだわ~」
チョコ「なんだこのゲーム!」
ミコ「ですが、今のって完全にチョコ姉様の操作ミスですよね?」
チョコ「う……まぁ、そうだけど……」
カイコ「しかも、コンティニューできないからね~」
チョコ「裏技とかで存在してないのか?」
ミコ「ないみたいです。諦めてください、チョコ姉様」
チョコ「鬼ゲーか!」
カイコ「まぁまぁ。慣れれば結構いい感じに進めるみたいよ~?
ステージはたったの4つだけだから、頑張ってね~」
☆☆☆☆☆
チョコ「おっ、なんか出てきたぞ?」
カイコ「ゴーストね~。銃で退治できるわよ~」
チョコ「Bボタンか。えいっ! む……銃を撃ったら動けなくなったぞ!?」
ミコ「撃っているあいだ、動けなくなるみたいですね」
カイコ「しかも、撃ったあともゴーストは消えながら迫ってくるわ~。
完全に消える前にぶつかったりしたら死ぬからね~」
チョコ「ある程度離れた位置から撃てってことか」
ミコ「横に向かって撃つグラフィックですが、真上や真下でも効果がありますし、
直線距離が近ければ倒せるみたいですね」
カイコ「ハシゴやツタの昇り降り中には使えないけどね~」
チョコ「おっ、今度はコウモリがいるな」
ミコ「洞窟といったら、コウモリが基本ですよね!」
チョコ「何千羽もいて、龍のように連なって洞窟から空に飛び立っていく映像とか、
テレビで見たことがあるな!」
カイコ「そんなにいたら、大変なことになるけどね~」
チョコ「そうなのか? ん? なにやら変な音が鳴ってるぞ」
カイコ「コウモリがフンをしている音よ~」
ミコ「やけに派手な音を立てながらフンをするんですね……」
カイコ「もちろん、フンに当たっても死ぬわよ~」
チョコ「どれだけ精神力弱いんだよ、主人公!」
ミコ「いえ、きっと皮膚から侵入する猛毒を含んでいるフンなんですよ」
チョコ「なぜコウモリは死なないんだ!?」
カイコ「ふふっ、自分の毒では死なないものよ~。
ともかく、1匹だけだったら大して怖くないわ。さくっと進みましょう~」
チョコ「でも、上手くタイミングを合わせないと、さくっと死ぬけどな」
☆☆☆☆☆
(操作にも慣れてきたようで、結構さくさく進めるように)
カイコ「いい感じね~」
チョコ「ふっふっふ、オレにかかれば楽勝……ぐっ!」
カイコ「あら、ジャンプミスして穴に落ちたわね~」
ミコ「チョコ姉様、油断大敵です」
カイコ「イージーミスを起こさない慎重なプレイも要求されるわね~」
チョコ「くっ! オレには向かない気もするが……頑張ってやる!」
カイコ「ふふっ、ガサツで大雑把だものね~、チョコは」
ミコ「それがチョコ姉様のいいところでもあるんですよ」
チョコ「ミコ……無理なフォローはいらないゼ……」
カイコ「あっ、ほら、あそこ! 鍵があるわよ~」
チョコ「そうだな。でも、罠っぽさがプンプンしやがる」
カイコ「手前の地面の下に、大きな穴が開いてるものね~」
チョコ「きっと床が抜ける……とすると、こうだな!」
ミコ「おおっ! 手前の床に着地ですね! 上手いです、チョコ姉様!」
チョコ「ふふん、オレにかかれば、ちょちょいのちょいさ!」
カイコ「……そして、ジャンプミスで穴に落ちて死ぬのね~」
チョコ「くっ……イージーミスが多いな……」
ミコ「チョコ姉様、今度は岩がありますよ」
チョコ「爆弾で爆破するんだな! ……む、死んだっ!?」
カイコ「爆風でも死ぬから、離れないとダメなのよね~」
チョコ「爆風なんて見えなかったのに……」
ミコ「心の目で見るんです!」
カイコ「古いゲームを楽しむには、想像力も必要なのかもしれないわね~」
☆☆☆☆☆
チョコ「ま、慎重にゆっくり進めば問題ないだろ」
ミコ「チョコ姉様が悟ってしまいました。つまらないです」
カイコ「だけど、残念ながらそうもいかないのよね~」
ミコ「そうでした。画面上のエネルギーメーターがなくなると、死ぬんですよね」
チョコ「ひでぇ!」
カイコ「途中に落ちてるエネルギーのアイテムを拾えばメーターはMAXになるけど、
上手く進めていく必要があるわね~」
チョコ「どうでもいいけど、エネルギーって、いったいなんだろうな?
この主人公ってロボットなのか?」
カイコ「探検家のはずなのに……変ねぇ……?」
ミコ「まぁ、細かいことは言いっこなしです」
チョコ「次は、トロッコで移動だな。上からなんか出てきてるけど……」
カイコ「毒ガスらしいわよ~。当たったらもちろん……言うまでもないわね~」
ミコ「トロッコなのに、普通に移動できるんですね。つまらないです」
カイコ「アトラクションとかじゃないんだから~」
チョコ「だけど、オレも一気に突っ走るのかと思ったゼ!」
カイコ「そんなことしたら、確実に毒ガスの餌食になるわよ~?」
チョコ「ま、問題なく突破だ! 赤と青の扉を鍵で開けて……」
カイコ「おめでとう~! これで1面クリアよ~!」
ミコ「結構短いですね」
チョコ「大したことないな、スペランカー! これなら楽勝だゼ!」
☆☆☆☆☆
(2面に入っても、順調に進めていくチョコ)
カイコ「順調に進んでるわね~。つまらないわ~」
ミコ「ガスを噴き出す岩とコウモリのフンのコンボも、さくっと抜けましたね」
チョコ「ふっふっふ、楽勝楽勝っ!」
カイコ「次はツタが連続で並んでる場所ね~」
チョコ「ふっ、こんなの問題なしだゼ! ……おや?」
ミコ「……死にましたね」
チョコ「な……なぜだ~!?」
カイコ「ツタをジャンプで伝っていくときに、天井に頭をぶつけると死ぬみたいね~」
チョコ「ひどいな……」
ミコ「ここまで来たのにゲームオーバーになってしまいました」
カイコ「コンティニューできないから、最初からやり直しになるわね~」
チョコ「やっぱり鬼だ、このゲーム!」
カイコ「ふふっ。昔のゲームって、そういうのが多かったみたいよ~」
☆☆☆☆☆
チョコ「ようやく3面まで来たぞ!」
カイコ「お疲れ様~。同じことを繰り返すのって、大変よね~」
ミコ「1度通り抜けている場所で、さくっと死んだりもしましたけどね」
チョコ「うるさい!」
ミコ「あっ、水に浮かんでいる壷がありますよ」
チョコ「なんだか、アトラクション的な展開の予感!」
カイコ「でも、そういう展開にはならないのよね~」
チョコ「トロッコと同じかよ!」
ミコ「つまらないです。壷に乗って水の上を流れていく大冒険を思い描きましたのに」
カイコ「まぁまぁ。次は間欠泉の上にボートが乗っかっている感じね~」
チョコ「勝手に床が上下してるだけってことだろ。楽勝だゼ!」
ミコ「油断しないほうが……」
チョコ「うあっ、下りで乗ろうとしたら死んだ!?」
カイコ「予想どおりだけど、落下扱いになっちゃうみたいね~」
チョコ「くそ~。待つのも面倒だけど、上りのときに乗るしかないか」
ミコ「下りでもタイミングを上手く合わせれば乗れるみたいですけどね」
チョコ「ま、難なく突破!」
カイコ「難なくだったかは、ちょっと疑問だけど~」
チョコ「うるさいっての! ともかく、4面まで来たぞ!」
カイコ「とりあえず、最終面ね~」
チョコ「……とりあえず……?」
カイコ「ふふっ、ノーコメントで~」
ミコ「なんか、怖いですね……」
チョコ「なんとなく、予想がついてしまうんだが……」
カイコ「気にしないで先に進みなさいな」
チョコ「わかってるよ! 操作に慣れたからか、かなり楽に進めるようになったな~」
ミコ「ランダムアイテムで1UPがいくつか出てましたから、
残り人数も随分と増えてますね」
チョコ「ステージクリアごとに1人増えるってのもあったしな!」
カイコ「つまらないわ~。ファミコン本体に振動を与えようかしら~」
チョコ「ちょっ、やめてくれ~! ここで止まったら、さすがに嫌だ!」
☆☆☆☆☆
ミコ「鍵の上から、コウモリがフンを落としてきてますね」
チョコ「ふっ。こんなの問題ないゼ!」
(上手くタイミングを見計らってジャンプ、
鍵を取ってすぐジャンプでハシゴに戻る)
カイコ・ミコ「おお~!」
チョコ「ほんとに、楽勝になってきたゼ!」
カイコ「フラッシュで倒すって手もあったんだけどね~」
チョコ「倒したあとに落下してくる死骸に当たってもミスになるなら、
力技で抜けたって変わりないゼ!」
(さらに先まで進み……)
チョコ「どうやら、すぐそこでゴールみたいだな!」
カイコ「そうね~」
チョコ「ただ、なんかハシゴの位置と床の位置が微妙な感じだな……。
まあ、ジャンプ! ……くっ、失敗か!」
カイコ「残念でした~」
ミコ「落下してしまいましたね」
チョコ「ま、もう1度! ……今度は成功!」
ミコ「扉を開けて、中に侵入ですね」
チョコ「おっ! これは……宝の山か?」
カイコ「ふふっ、無事クリア、おめでとう~!」
チョコ「やったゼ! 結構長かったけど、確かに慣れれば問題ないな!」
カイコ「ちなみに、2周目以降もあるけどね~」
チョコ「くっ……! さすがにそれは、やめてくれ!」
ミコ「どうしてですか。ミコはグラディウスを6周クリアまでやらされたんですから、
チョコ姉様だってもっと先まで――」
カイコ「ふふっ、仕方がないから、ここまでで許してあげるわよ~。
本当は2周目以降だと鍵の取り方なんかも変わってきて、
いろいろと楽しくなってくるみたいだけどね~」
チョコ「これ以上続けたら、神経がおかしくなってくるゼ……」
カイコ「あら、慣れたから問題なかったんじゃないの~?」
ミコ「……ミコとしては少々納得がいきませんが……」
チョコ「ミコよりもオレのほうが、カイコ姉に愛されてるってことだな!」
カイコ「そんなことないわよ~?
チョコなんかより、ミコのほうがよっぽど可愛くて愛してるわ~。
だからこその、愛のムチだったって感じかしら~」
ミコ「そ……そんな愛、ほしくないです!」
チョコ「オレ、カイコ姉に愛されてないのか……」
カイコ「……そんなことでチョコがいじけるとは思わなかったわ~。
意外と寂しがり屋なのね、チョコって。
もちろん、チョコだって愛してるわよ~?」
チョコ「カイコ姉……」
カイコ「というわけだから、今日は愛情がいっぱいつまった私の創作料理を、
たっぷりとご堪能あれ~!」
ミコ「ちょ……っ!? カイコ姉様、創作料理とは名ばかりの実験料理は――」
カイコ「具材とか調味料とか、いっさい秘密だから、お楽しみに~♪
ふふっ、どれくらい痺れてくれるかしら……」(ぼそっ)
チョコ「今、痺れるとか言ったか!? なにを食わせる気だ!」
カイコ「うふふっ、楽しい食卓になるわね~♪ 私は普通の食事を食べるけど~。
ふたりはしっかり、私の愛を受け取ってね~!」
チョコ・ミコ「断固拒否する(します)!」
☆☆☆☆☆
今日はスペランカーで遊んだのか。
1周目だけとはいえ、よくもまぁ、クリアまで行ったものだな。
俺は当時、せっかくお小遣いを貯めて買ったというのに、早々に諦めてしまったっけな。
慎重に進むなんて、俺の性格では無理だっただけなのだが。
チョコも成長しているんだな。
カイコは意地悪さが成長していそうな気もするが……。
実際、カイコはしっかりと創作料理を作り始めているし……。
もっとも、さっきの言葉とは違って、自分も一緒に食べるつもりのようだが。
さすがに痺れるような料理を作るというのは、冗談だったみたいだな。
……どうやったら、痺れる料理が作れるのかは謎だが。
☆☆☆☆☆
【ゲーム解説】
「スペランカー」
対応ハード:ファミコン 発売元:アイレム 発売日:1985年12月7日
サイドビューのアクションゲーム。探検家を操作して、洞窟の奥を目指す。
元は海外のゲームで、それをアイレムがライセンスを受けて発売した。
どうやら元のゲームではファミコン版ほどひ弱な主人公ではなかった模様。
本編で書いていない要素としては、ジャンプで出現する隠しアイテムや、
爆弾で出現するダイヤモンドなどもある。