第2話 グラディウス
カイコ「それじゃあ、今回はコレ。グラディウスよ~!」
チョコ「また、ベタだな!」
ミコ「また、ベタですね」
カイコ「ベタでもいいのよ~。さっさと始めなさいな。今回の担当はミコよ~」
ミコ「わかってます、カイコ姉様」
☆☆☆☆☆
ミコ「それでは、ゲームスタートです」
チョコ「敵は、バクテリアンっていうみたいだな」
カイコ「なんか……いや~な名前ね~」
ミコ「ですが、出てくる敵、全然バクテリアっぽくないですけど」
チョコ「ま、ここら辺はな。
先に進めば、ねちょねちょでぐちょぐちょのが襲いかかってくるゼ!」
ミコ「おおっ、それは楽しみです!」
カイコ「……楽しみなんだ……」
チョコ「ま……まぁ、ミコの趣味は置いておくとして。
ほら、パワーカプセルが出たぞ! それを取ってパワーアップしていけ!」
ミコ「はい。カプセルを取るたびに光るゲージが移動して、
欲しいパワーアップのときにAボタンを押せばいいんですよね」
カイコ「そうよ~。カプセルを取っるたびに毎回Aボタンを押してたら、
凄まじくスピードアップしちゃうから注意してね~」
チョコ「それはそれで面白そうだな!」
ミコ「……嫌ですよ。クリアを目指すんですから」
カイコ「そうそう。ファミコンのグラディウスには、
アルキメンデスバージョンっていうのがあるのよ~」
ミコ「あ……あるきめんです……?」
カイコ「当時大塚食品から発売されていたカップ麺の名前よ~。
カップ麺っていっても、お湯が不要で、あんをかけて食べる感じだったみたい。
食べたことなんてないけど~」
チョコ「オレらが生まれる前の商品だし! 食べたことあったらおかしい!」
カイコ「2年くらいで製造中止になったみたいね~。
味が不評だったらしいから、ミコに食べさせたかったわ~」
ミコ「ちょ……っ!? カイコ姉様、ひどいです!」
カイコ「ふふっ、冗談よ~」
チョコ「いや、絶対本気だった」
カイコ「ふふふっ、ノーコメントで」
ミコ「……この家にいると、ミコはそのうち姉様たちから、
とてもひどい仕打ちを受けてしまいそうな予感がします……」
チョコ「姉様『たち』ってどういうことさ、『たち』って!?」
ミコ「……ノーコメントです」
カイコ「まぁまぁ。それで、そのアルキメンデスバージョンってのはね、
パワーカプセルがアルキメンデスの形になってるのよ~」
チョコ「ほほう。それで? 取ったらなにか普通とは違った特典があったりとか?」
カイコ「ないわよ~。グラフィックが変わってるだけ」
ミコ「え? それだけですか?」
カイコ「ええ。他には、エンディングのメッセージが変わっているみたいだけど、
基本的にはそれだけの違いよ~」
チョコ「なんだか、解せんな……」
カイコ「まぁ、キャンペーンのプレゼントだったみたいだから、
そんなもんじゃないかしら~。
ゲームソフト1本もらえるって考えたら、結構なものじゃない?」
ミコ「でも、せっかくですから、もっと変わっててほしかったですね」
カイコ「それはそうね~。
プレミア価格で取引されてるし、そんな値段で買ったら泣けそう~」
☆☆☆☆☆
(楽しくお喋りしつつも、ゲームは進んでいく)
ミコ「オプション2つ目装備です」
チョコ「おっ! やっぱオプションだよな、このゲームは!」
ミコ「オプションが2つまでっていうのは、ちょっと寂しいですね」
カイコ「ゲームセンターとかにあったゲームだと、4つまでつくものね~」
チョコ「ま、ファミコンの性能じゃ、仕方がなかったってことだな!」
カイコ「そうそう。オプション1つで攻撃力倍増だものね~。2つあれば3倍よ~!」
チョコ「しかもオプション側は無敵ってのがいいよな!
単純に2倍の攻撃力ってだけじゃなくて、戦略性もあって!」
カイコ「チョコは頭使うの苦手なくせに~」
チョコ「ぐっ……!
カイコ姉だって、トロいからシューティングなんてできないくせに……!」
カイコ「トロいんじゃなくて、おしとやかなのよ~」
ミコ「……とすると、ミコは暴れん坊な子ってことになるんですか?」
カイコ「ミコは元気いっぱいな子ってことよ~!」
ミコ「……それならいいです」
チョコ「単純な子でもあるな」(ぼそっ)
カイコ「そんな元気いっぱいなミコに朗報~!」
ミコ「えっ?」
カイコ「スタートボタンで画面を止めて、2コンのマイクで『おっぷしょん!』って
大声で叫べば、なんとオプションが6つになるのよ!」
ミコ「ええっ!? ほんとですか!?」
チョコ「…………」
カイコ「ふふっ、やってみなさいな」
ミコ「はい! ……おっぷしょん! ……カイコ姉様、変わりませんよ?」
カイコ「タイミングが重要なのよ~! もっと魂を込めて~!」
ミコ「わかりました! おっぷしょん!」
カイコ「もっと大きく!」
ミコ「おっぷしょん!!」
カイコ「もっと激しく!」
ミコ「おっぷしょん!!!」
カイコ「もっといやらしく!」
ミコ「いやら……? お……おっぷしょぉ~ん(ハート)」
チョコ「カイコ姉、それ、ウソだろ……?」
カイコ「もちろんよ♪ あぁ~ん、楽しかったわ~」
ミコ「ちょ……っ!? カイコ姉様~!」
カイコ「ふふっ、ミコは素直でいい子ね~」
(ミコの頭を撫で撫でするカイコ)
ミコ「……ま、まぁ、いいですけどね……」
チョコ「やっぱ、単純な子だな」(ぼそっ)
☆☆☆☆☆
(順調に進み、ステージ3へ)
チョコ「おっ、3面だな!」
カイコ「ふふっ、あのステージね」
ミコ「……出ました、モアイ像です!」
チョコ「しかも……」
ミコ「わわっ、なにやら輪っかを吐き出してきましたよ!?」
カイコ「イオンリングよ~」
ミコ「父様が昔、タバコで作ってくれた輪っかと同じでしょうか」
チョコ「同じわけあるか! イオンリングを吐く父親がどこにいる!?」
ミコ「冗談だったのに……」
カイコ「ふふっ。あ、そうそう。
ミコ、モアイ像はイースター島にあるってのは、知ってるわよね~?」
ミコ「はい、知ってます」
カイコ「だったら、実際にイオンリングを吐くってのも、知ってるわよね~?」
ミコ「えっ? そうなんですか!?」
カイコ「そうよ~。イースター島っていうのはね、当時、文明の中心だったの。
宇宙人からの侵略から町を守るため、モアイ像は作られたのよ~」
ミコ「そ、そうなんですか!? それに、宇宙人からの侵略……!?」
チョコ「そうそう。当時は激しかったらしいな」
カイコ「ええ。今でこそ随分と落ち着いたけど、それでもまだ安全とは言えないのよ~」
ミコ「えええっ!?」
カイコ「ちょっと考えてみなさいな。
モアイ像……なにか似た響きのもの、思いつかない?」
ミコ「…………あっ、もしかして、モヤイ像ですか!?」
カイコ「当たり~! 渋谷駅にあるのが有名だけど、
伊豆諸島の新島にあるのが日本では元になっているらしいわね~」
チョコ「蒲田駅にもあるんだよな!」
カイコ「そしてもちろん、宇宙人の侵略に対抗するために作られた像なのよ~」
ミコ「し……知りませんでした。
ですが、渋谷のモヤイ像って、待ち合わせ場所にもなってますよね?
人がたくさん集まる場所にあるなんて、危険じゃないんですか!?」
カイコ「ふふっ。モヤイ像が狙っているのはね、実は人間のほうなのよ~」
ミコ「えっ!?」
カイコ「今どきの宇宙人ってね、巧妙に地球人に成りすまして紛れ込むものなの。
だからそれを見抜いて、イオンリングで撃ち抜くのが目的なのよ。
あっ、でも、人体には影響がないから、安心していいわよ~」
ミコ「イオンリングで撃ち抜かれた宇宙人は、どうなるんですか!?」
チョコ「モヤイ像に食われる」
ミコ「た……食べられるんですか!?」
チョコ「ひと口でペロリだゼ!」
ミコ「恐ろしいです、モヤイ像……」
カイコ「たまに神隠しみたいに人がいなくなるのは、モヤイ像が地球人を誤認して、
食べてしまったから、とも言われてるわね~。
ミコも外出するときには、宇宙人に間違われないように注意してね~」
ミコ「ど……どう注意すればいいんですか!?」
チョコ「ぷっ……あっははは! ミコ、素直すぎ!」
カイコ「ちょっと、チョコ! ふふふふっ!」
ミコ「あ~~っ! 騙しましたね!?」
カイコ「ごめんなさいね~。大丈夫よ、日本の技術力はすごいんだから。
誤認で食べられたりなんてしないわ~」
ミコ「……イオンリングは否定しないんですね……」
☆☆☆☆☆
(そんなバカ話をしながらも、ステージ3はクリア)
ミコ「あれ? なんですかコレ!? モアイがくるくる回転してますよ!?」
チョコ「おっ、ワープしたな!」
カイコ「ステージ4を飛ばして、ステージ5へ突入ね~」
チョコ「もったいないな! ステージ4のBGMがいいのに!」
ミコ「むう。そう聞くと、なんだかとっても残念になってきます」
チョコ「だったらモアイにぶつかればOKだ! 死んでステージ4が始まるゼ!」
ミコ「それはさすがに嫌です」
チョコ「ちっ!」
カイコ「無事、ステージ5に来たわね~」
チョコ「触手ステージだな!」
ミコ「ようやく、バクテリアンって名前に相応しい敵が出てきましたね」
カイコ「まぁ、ここは、それしか出ないけどな」
ミコ「むう。ある意味潔いとは思いますが……。
ただ、いまいちグロテスク感が足りませんね……残念です」
カイコ「ミコはなにを期待してるのよ……」
チョコ「ま、さくさく進めろ!」
ミコ「合点承知です!」
(そのまま順調にステージ6へ)
ミコ「アメーバです! いいですね、単細胞生物!」
チョコ「いや、戦闘機と同じくらいの大きさなんだから、
単細胞生物ってことはないんじゃないか?」
ミコ「ですが、やっぱりグロテスク感が足りません」
カイコ「ファミコンのグラフィックス性能でそこまで求めちゃダメよ~」
チョコ「それ以前に、グロテスク感を求める小学生ってのが、オレとしては嫌だゼ……」
☆☆☆☆☆
ミコ「あっ、なんだか要塞みたいなところに入っていきますね」
カイコ「最終面よ~。ミコ、頑張って~」
ミコ「バクテリアンっぽさが、またなくなりました。残念すぎます」
チョコ「グロフェチ発言はもういいから。さくっとクリアしちゃえよ!」
ミコ「わかってますよ! ……あっ、シャッターが閉まっていきます!」
カイコ「閉じる前に通り抜けてね~」
ミコ「もちろんです! ……さて、いよいよラスボスですね! わくわくします!」
チョコ「期待に添った見た目と言えるかもだな」
ミコ「おおっ! 脳みそです! じゅるり」
チョコ「なぜヨダレを拭く!? ミコって、やっぱ変わってるな……」
ミコ「姉様方には負けます」
カイコ「私まで巻き込まれたわ~。まぁ、それはいいとして……ラスボスだけど」
ミコ「あれ? なんか画面が変わりました」
カイコ「おめでと~! クリアよ~!」
ミコ「はい? ラスボスと戦ってませんよ?」
チョコ「あの脳みそ、攻撃もしてこないし、時間が経てばクリアになるんだ!」
ミコ「う~~~。なんだか不完全燃焼です~!」
カイコ「ふふっ、そんなミコに朗報よ~!」
ミコ「……悪い予感しかしませんが……」
チョコ「エンディングで、アルファベットのメッセージが表示されたな!」
カイコ「ええ。それ、1周クリアごとに違う文字になっていて、
6周目までのメッセージの頭文字をつなげると、ある単語になるのよ~!
……というわけで、ミコ、頑張って6周クリアしてね~!」
ミコ「マジですか!?」
カイコ「マジよ~。2周目は1周目と比べると難しくなってるから、
不完全燃焼は解消されるはずよ~。よかったわね~」
チョコ「6周目にまで進むと、すごく難しくなりそうだな!」
カイコ「……いいえ、3周目以降は2周目と変わらないわ~」
ミコ「え……そうなんですか? だったらせめて2周目までで――」
カイコ「6周クリアがノルマよ! 終わるまで夕飯食べさせないからね~」
ミコ「お……鬼がいます……」
チョコ「ははは、ま、頑張れ、ミコ!」
カイコ「もちろん、チョコも食べられないからね~?」
チョコ「鬼ババァ~!」
カイコ「……死にたい?」
チョコ「いえ……」
カイコ「それじゃあ、夕飯の準備してくるわね~。
あっ、ちゃんとクリア画面を確認しに来るから、ズルは無しだからね~♪」
ミコ・チョコ「悪魔(です)……」
☆☆☆☆☆
…………。
カイコは少々、Sっ気があるみたいだな。
おとなしそうな顔をしているというのに……。
だが、料理をしている姿は可愛らしいと言えるのかもしれない。
笑みを浮かべているのは、妹たちが喜ぶ姿を思い描いているからかな?
……あの煮物、ジャガイモをモアイ像っぽくカットしてあるな。
一緒に煮ているのは、イカリング……?
なるほど、ミコをからかうネタにしようって魂胆なわけか。
ま、それはそれで、姉妹のいいコミュニケーションになるだろう。
どうせ俺には、なにも言う資格はない……いや、なにも言うことはできないのだが。
ただ、できれば、ひと言だけ。
「ミコ、頑張れ」と言ってやりたいな……。
☆☆☆☆☆
【ゲーム解説】
「グラディウス」
対応ハード:ファミコン 発売元:コナミ 発売日:1986年4月25日
これも解説の必要はないと思われる。その後、ずっと続いているシリーズ。
ファミコン版は、1985年に登場したアーケード版からの移植。
ハード性能的に完全移植はできず、オプションが2つまで、レーザーが短いなど、様々な違いがある。
また、ボーナス5000点、1UPといった隠し要素、ワープ、上上下下左右左右BAのコナミコマンドなど、追加要素も多数用意されている。