友人と飲む甘ったるいココアの記憶、
「じゃれつくな、君が記憶に残る。」カイバ真悠は差し出された花束ごと記憶の花屋を蹴りはらおうとする。しかし、その蹴りを撃ったカイバの足には空を切ったような感触しか残らなかった。カイバの目には確かに花束に自身の足が当たったように見える。後ろには花屋が張った結界を必死に破ろうと魔術を行使する元第五大陸魔王童なのに帝の姿があった。その姿はなんだか本当の童みたいで少しほほえましい、やはり彼は真面目だ。そんな彼を見てカイバは少しやる気が出てきた。
「私は記憶の花屋ですよ、花屋は花を売るのが仕事でしょう、私は記憶の花束を売るのが仕事なんです、何かそれって素敵でしょう?」続いて記憶の花屋は、けりを放ってきたカイバの足を上半身の動きだけでかわし先ほどのダイヤモンドブリザードとの一戦で失った左手側を狙って花束のような幻影を消し拳を突き出す。
掌打を受けたカイバはすこし後ろ側にノックバックする。しかし目立った外傷はない。外傷は、、、
カイバは戦闘中にもかかわらず夢を見ているような感覚に陥った。とても幸せな夢だ、、思い出したくもない幸せな夢。おそらく記憶の花屋の魔術によって強制的に見せられている幻覚だろう。本当にいやらしい魔術師だな彼女はとカイバ真悠は思った。
カイバには恩師がいた。その恩師とカイバの同級生であるその恩師の生徒たちと、あまりおいしくもないカフェのあまりに甘ったるいココアをのんでいる映像だ。その恩師はカイバに言った。
「あなたは何になりたいの?」恩師がその生徒にかける言葉としては、あまりにありきたりな一場面。でもカイバその時の会話をネバーランドの掃除人となった今もしっかりと覚えている。
「何にもなりたくない、しいて言うならばサラリーマンになりたい。」カイバはこんなことも答えられない自分が何者になりたいかなどくだらないと管がないと自分自身に大して落第の烙印を押していた。
「サラリーマンって何?あなたが昔いた世界の話なのかな?じゃあ私が決めてもいいかな?真悠が何になるか、」この先は聞きたくないなと今でも思う。しかしその記憶の花束はさんさんとまだ僕に夢を見せてくる。別に悪夢ってわけじゃないのがいやらしいな、とカイバは感じた。
「教師になってみてよ、私を超えるような偉大な教師にさ」先生が言ったその言葉にはいつものような明るい雰囲気はあまり感じなかった。でも先生が笑顔ではあったのは覚えている。不思議とそんなことは出来ないだとか、勝手に決めるなよとか、くだらないだとかいう言葉をそれに対して言えなかったのは覚えている。そうか僕はあの人みたいな先生になりたかったのか、自分自身の感情に記憶の花屋が見せた夢によって少し客観的に思考できるようにはなった気がする。




