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ラキオ・レヴィオンの記憶 ラキオにできた初めての友達リズ 迅雷の章

「別にお構いなく、」僕は笑顔で言った。

「その本、なに読んでいるの?」リズ・アルベールが聞いた

 、、iヽ、

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           ̄


「四年生の魔術化学の教科書です。」僕は淡々と答えた。僕は彼女より三年先にいた。

「す、すごいね!終業式の日も未来のために勉強するなんて、私なんかただ理由もなく、一学期の成績が思い通りならなくて、ふてくされてさぼっていただけだっていうのに、、」彼女は今にも泣きそうな顔をしている。さっき僕が死んだ両親の話をしたから、気を使っているのだろうか?別にどうでもいい。だとしたら単純な人だなと感じた。

「お褒めにあずかり光栄です!でも褒めてもらうためにやっているわけではないので、本当にお気になさらないでください。もうあなたと会うことも無いでしょうから。」僕はあえて、突き放すような言い方をした。気許せる友達も、思い出も、ぬくもりも僕にはもういらないから。

「違うの、許してもらいたくて言っているのではないの、、」じゃあ何だというんだ、と言おうとしたがさすがに気が引けた。

「さっき、かっこいいって思ったの、素直に君のこと尊敬できるって!この魔法学習塾に来て初めて思えたの!」俯きながら少し照れ臭そうにそれでもはっきりと彼女は言った。

「かっこいい?どこがですか?僕もあなたと同じで終業式なんて意味がないと思ったから、さぼるついでに読書をしていただけの不良生徒ですよ。」僕はかっこいいと言われて内心少し動揺したが、できるだけ笑顔は崩さないように言った。

「さっき、君は大切な人を守りたいって言っていたじゃない、それがすごくすごくかっこいいって思った。私にはそんなこと思える余裕なかったから。」彼女は頬を熟したリンゴのように赤く腫らしながら言った。そうか、もしかして君も。とは言えなかった。

僕が黙っていると彼女は言葉をつづけた。

「お願いします、ラキオ私と友達になってくれませんか?」彼女が右手を差し出す。僕がここまで動揺したのは、両親が死んだという知らせを受けた時以来かもしれない。心臓が鳴る音が彼女に聞こえていないか心配になるほど、自分の中でドクドクと脈打つのが聞こえる。僕って生きているんだな、そう思ったのは久しぶりの感覚だった。何だろう目が少しだけぼやける。

何も言わず差し出された手を握っていた。

「え、泣いてる?」彼女がそういった。

「べ、別に、泣いてません。あなたこそさっきまで泣きそうだったじゃないですか?」僕の肌が赤くなるのを感じる。

「僕はそろそろ帰ります、妹が保育所から帰ってくる時間なので、それでは。」僕は足早にその場を立ち去ろうとした。それを言い終わった瞬間、アルベールにすごい力で腕をつかまれた、

「もしかしてさっき言っていた大切な人って?」彼女がのぞき込むようにして僕の顔を眺める。

「いいえ別に、、」

「本当に?」

「いいえ、まあ、はい、、そうとも言うかもしれません。」僕はあいまいに答えた。

「いいえまあ、はいって変な言葉だね。」彼女が突っ込んだ。まあ確かにそうかもしれない。


僕は妹のいる保育所の近くまで迎えに来た。すると、前方からすごい勢いで見慣れたプリチーな生命体がタックルしてきた。

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!おかえり?かただいま~♪」妹のルリまだ五歳だ。純真無垢な笑顔が両親を失った僕にとっての最後の希望だった。

「ただいまだよ、ルリ今度はちゃんと言えるようになろうな!」妹の少し青みがかった柔らかい髪質の頭をなでる。

「ねーねーお兄ちゃんに隣にいる人ってさー!もしかしてこれ!」妹が少しだけいやらしい顔で小指を立てた。どこで覚えるんだこんなこと。てか

「ていうか!なんでついてくるんですか?目障りです。」僕は隣にいるアルベール家長女に文句を言った。

「そんなことより、そんなことよりだよこれは!」興奮した様子でアルベールが言った。

「語彙力なくなってますし、何ですか?」

「ぐはああああ」アルベールが裾を噛みながら悶えている。なんか気持ち悪いなこの人と僕は思った。

「ずるい、これはずりいよ、私もこんな妹ほしかった!こりゃ守りたい人がいるんです!とかいうくさいセリフも言えちゃうよ、だってだって、、」さりげなく罵倒された気がするがまあいい。

「だってなんです?」

「かわいいもん!」そうだ僕の妹は世界一かわいいんだと心の中でだけつぶやく。


僕とリズはその後もつかず離れずな関係を続けそれから、五年がたった。

僕とリズは六年生つまり魔法学習塾アイテールの最高学年になった。それまで一度もリズとクラスが同じになったことはなかったのだが。六年生になって初めてリズと同じクラスになった。六年生になって初めての魔法技術の授業がこれから始まる。僕はあれから一度も実技の成績が一番になったことはなかった。学年では実技はリズが、学習科目つまり座学では僕が一番だった。自慢ではないがアイテールでは座学のほうが成績への配分が大きいので総合成績では毎回僕が一番だった。基本的に魔術演習つまり実技的な技術を学ぶ授業はクラスごとで行われる。だから、リズの魔法を間近かで見るのはこれが初めてだった。


 授業の議題は雷属性の魔法を扱うものだった。いつも通り僕はそれなりにうまくこなした。

基本的に魔術には魔層と呼ばれる、魔術の規模を示す指針があり、大体僕らくらいの年ならば、第三魔層くらいまで扱えればかなりの資質があると評価される。ちなみに僕の雷魔法は第四魔層といったところだ。

リズが魔術を披露する番になった、だがリズがその授業で見せたのは、ただの魔術ではなかった。

リズが披露したそれは、正確には魔術ではある、魔術でもあり体術でもあり純粋な破壊行為でもある。

彼女の才能(オリジナル)だった。

大きく息を吸い込み、それが放たれた。

「第三魔術武装 紫電雷光 開放」そういうと、リズの周りの空間がゆがみ紫色の雷がリズが展開した魔法陣に纏われる。その魔法陣がひとりでに動き出し、リズの体に和風の甲冑のような形となって吸いつく、そして次の瞬間、

「獅子首狩り」リズが宙に舞いバク宙をしながらの踵落としを放った。するとそこに雷のような紫色の衝撃が広がった。校庭の大地が周囲20mほど削れた。遅れてそこに雷音(ライオン)がとどろく。

僕はこの時はっきりと分かった。

世の中には努力だけではどうにもならないものがあると、自分がどれだけ努力しても到達できない領域があると、僕は人生のほとんどをこれにつぎ込んだ。それが百パーセント自分の技術や知見、つまり強さとして帰ってきていたのを知っていた。だがこの世には努力をすれば強さとして、二百パーセント帰ってくる人間がいるのだと、迅雷のように響く音ともに突き付けられた。

そしてあろうことか、そんな授業の次の時間の席替えで隣になったのはリズだった。

「ラキオじゃん、よかったー、隣に知ってる人いて。お久!」右手でグッドボタンを作りながら笑顔で言った。リズはこの五年間でとても大人になったように思える。何より社交性が増した。他人を見下すようなそぶりも周りには見せなくなった。悪く言えば嘘がうまくなった。

「久しぶりです、先ほどの一撃すさまじいですね。僕のような平民には絶対にまねできませんよ、さすが名家のお嬢様!」僕は必死に冗談を言った、じゃないと昔彼女に言った言葉が今すぐにでも帰ってきそうな気がして、死にたくたくなるからだ。

「変わんないな、その減らず口。でもさ、なんかさ少し疲れてる?ちょっと顔色悪そうな気がするんだけど?」

「別に何もないですよ」意外と勘が鋭いなと感じた。


一学期で初めての期末テストの時期を迎えた、シャコガイルへの推薦はアイテールには一つしかない。

リズと僕はそれを取り合う関係なわけだが、ここのテストで僕が100点をとってもリズが100点取れば実技の成績の関係上、リズが推薦をもらうことになる。つまりここが真剣にリズと競い合える最後の場ということだ。

テストが配られる。答案用紙を回したときに前の席にいるリズと自然と目が合った。彼女は笑っていた。

テストは特にトラブルも自分自身のミスもなく順調に終わった。

全五十問一問二点で四択の形式のテストを何回も見直しをした、おそらくは大丈夫なはずだ。

テストが終わるとリズがいつものように話しかけてきた。「やばい何回も確認したのに一個だけ書き間違えてミスしちゃった!」よくこんな大事なところでミスをして笑えるものだと、僕は少しあきれてしまった。

結果が返ってきた僕は予想通り満点だった。

リズが回答用紙を見せてきながら言った。

「おめでと、ラキオ」

そこに書かれていたのは96という数字だった。最初はうれしかったこんな僕にもリズと勝負できる要素があることが誇らしかった。だが次にわいてきた感情は違和感だった。リズはケアレスミスを一門だけしてしまった。とテスト終わりに言っていた。しかし、それはおかしいこれは、()()()()()()()()形式のテストなのだ、リズは二問間違えているはずだ。

にもかかわらず「やばい何回も確認したのに一個だけ書き間違えてミスしちゃった!」と言ったのだ。

いや別に、リズがたまたまもう一つのケアレスミスを見逃した可能性もありそれが絶対にあり得ない話ではない。だが僕の頭の中にもう一つの可能性がよぎった。

リズは意図的に一つミスをしている。今回のテスト僕が百点だった場合、リズが百点をとったら、リズが推薦をもらい。リズが96点以下の場合は僕が推薦をもらえる。98点の場合僕とリズは成績が同率一位となる。この場合、、例年ではどちらも推薦をもらえる。

僕はこの時96という数字が脳裏を何回も駆け巡った。96という数字で黒く(96く)僕の脳内が染められた。

その日学校から帰るまでの時間が永遠にも感じられた。今思えば、この時に問い詰めるべきだったのかもしれない。いや最初から僕たち二人があの日あのブランコで出会わなければよかったのかもしれない。

僕は96という数字がずっと脳裏に焼き付いたまま帰路をたどった。するとある花屋が目に留まった、別に何の変哲もない、ただの花屋だ。だが一つだけおかしなところがあった。その花屋の店先にリズがいた、いや正確にはリズではない、リズが少し大人ぽくなった姿といったところだろうか?

僕は吸い寄せられるようにその花屋に入った。店内も何ら変わったことはなく、店員は制服と緑色の帽子をかぶったリズによく似た女性だけだ。

「何かお好みの花はありましたか?」リズによく似た店員が話しかけてきた。

「この青い花とかいいですね」僕は特に理由もなく、目の前にあった、花を持ち上げながら言った。

「いいですね、恋人用とかですか?」その女性はからかうように言った。

「いいえ、友達にあげようかと思って。」

「その花の名はルリの花、花言葉は、同情という意味だそうです。」ゆっくりとその女性は言った。

「そうですか?あなた何者ですか?」

「やはり来たのね。こんにちは、、、何時もリズと仲良くしてくれてありがとうね」その女性は優しい声で馴れ馴れしく言った。

「私リズの母親なの。」その女性は何のためらいもなく答えた。リズの母親は行方不明になって10年以上たっていると本人の口から聞いたことがある。

「嘘ですね十年以上前に魔族に連れ去られて行方不明になったと本人から聞きました。」

「そうあなたの言う通り私は10年前にリズの元から離れた。でも少しだけそれは間違いなの、魔族に連れ去られたのではなく魔族になるためにリズの元から離れた。」何を言っているんだこいつは作り話にしては趣味が悪すぎる。

「あたしまたリズが欲しくなってしまったのよ。彼女強いじゃない?」

「本当に何を言っているんですか、魔族を騙るのはこの国では重罪です。何なら僕が今すぐ通報したっていい」僕はいろいろなことが積み重なり、いらいらしていた。

「私他者の記憶を読むことのできる魔術を持っているの、」

「また狂言ですか?それはあり得ない、精神解析魔法はとても高度な魔術だ一介の花屋が使える魔術ではない。」

「あなたの妹さんルリっていうんでしょ、淡い青い色の髪の毛がとても素敵なかわいい子ね?」僕は無言だった。

「少しは私の話を聞いてくれる気になったかしら、これは、あなたにもメリットがあるのよ、実は私個人としてはリズ以上にあなたに期待しているの、あなたも魔族になりなさい。あなたには才能がある、あなたが魔族となればリズに匹敵する可能性すらある。」ぼくは首を横に振ることができなかった。

僕はその日から学校をやめた。リズの下駄箱に一通の手紙と青い花を残して。

 

拝啓リズ・アルベール様

宣戦布告だ。僕が君を殺す。僕はもう青を選んだ。

ラキオより


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