リズさんの筋トレ中毒 二人目の友達ができた 第九魔術学習施設シャコガイル到着
そういうとバウアーは右手を差し出してきた。
これはもしや握手というやつなのでは。
私もそれにこたえるべく右手を出して硬くバウアーの手を握った。
「よろしくお願いいたします。」やった一人目の友達ができた。うれしい。リズさんとも友達になりたい。
「リズさん私と尊い尊い青い春を過ごすことを前提におともだちになってください!」私はリズさんに向かって深く深くお辞儀をしながら、さっきバウアーさんがやったように右手を差し出した。
「もちろんです、と言いたいところなのですが、その前に少しだけ待ってもらってよろしいですか?」リズさんは右手につけた腕時計で時間確認しながらそう言った。
次の瞬間、黒いローブの中から取り出した謎の白い液体を飲み始めたその液体をすごい勢いで飲み終えると、四つん這いになり、つま先と頭で体を支え、腰をまっすぐにした状態にして、胸が床につく直前まで肘を曲げて体を下ろし、床を押して元の位置に戻す動作を繰り返し始めた。
「何をやっているのですか?リズ様」私は恐る恐る聞いた。バウアーさんは少し引き釣った顔をしていた。
「98、99、100見てわかりませんか?これは、、」
「これは?」私はオウム返しをした。
「腕立て伏せです!」
「ウデタテフセ?」
「そうです。腕立て伏せとは胸・腕・肩などの上半身の筋肉強化だけでなく、体幹の安定と姿勢の改善、基礎代謝の向上、そして全身の血行促進による疲労軽減など多岐にわたる最高の筋肉トレーニングなのです。
あなたのようなかわいい少女と友達になれるのは光栄です!先ほどは無礼な態度をとって申し訳ない、わたくし三時間に一回は筋肉トレーニングをしないと生きていけない体なもので。」
そういうと口をぽかんと開けながら、宙にぶらつかせている私の右手をリズさんはがっしりと握った。
握ったときのリズさんの手は、すごく硬くたくましいものだった。
「さっき飲んでいた、謎の白い液体は何だ?まさか魔力増強剤かなんかか?」バウアーさんが呆れながら聞いた。
「いいえ違います。」
「じゃあ何だってんだ?」
「プロテインです」
「プロテイン?おまえ魔法使いがプロテイン飲んだって何の意味もねえだろ馬鹿か?」笑いをこらえながらバウアーさんは言った。
「私はバカではありません、筋肉馬鹿です」
「馬鹿じゃねえか!はあ、、、どうやらバカはお前だけじゃなかったらしい、仲間ができてよかったな」バウアーさんはあきれながらでも少し顔に微笑みを浮かべていった。
なんやかんやあったが、リズさんとも友達になることができた。うれしい。
私たち三人ははそれから10キロメートルの距離を三時間ほどで歩き第九魔術学習施設シャコガイルについた。
第九魔術学習施設シャコガイルは森の中に2キロメートル四方ほどの平地がありそこに建てられていた。
とても荘厳な雰囲気で黒いゴシック風のレンガで作られた高さ100mほどの塔が右に一つ、左に同じく100mくらいのサイズの白いレンガで作られた塔が一つあり、真ん中には同じくゴシック風のあまり妖精界では見ない灰色の素材で作られた城のような建物が強い威圧感を放ちながら建てられている。建物がグラデーションのようになっておりとてもきれいだと思った。ここが私の学び舎になる場所かと感動して見入ってしまっていた。二キロメートル四方ほどの面積のほとんどを占める校庭には、受験生や試験管、教員などいろいろな立場の人間が入り乱れガヤガヤしていた。
「これが第九魔術学習施設シャコガイルかやっぱすげえな校庭を含めない城のでかさだけでも相当だぜこれは!」バウアーさんは感動しているようだ。
「本当にすごいですね、ダイヤモンドブリザード様もここに来るのは初めてですか?」リズさんが私に会話を振ってくれた、うれしい。
「はい!前から存在は知っていたのですが来るのは、初めてなのです!」私は初々しく答えた。
「おい確か第一次試験会場はあっちの右側の黒い塔だよな?」
「はい!そのはずです」
「そういえば一次試験の内容ってなんでしたっけ?」私は青春がしたいという理由だけでここまで来たので詳しいことは全く調べていなかった。
「一次試験は例年ですと、筆記試験が主ですね。だいたい受験生100万人の内百分の一が私たちが通ってきた、魔獣の森で命を落とし、その中で生き残った猛者であってもその十分の一がこの筆記試験で落とされると言います。」リズさんが丁寧に説明してくれた。
「実質的にこの試験は二次試験みたいなもんなんだ。ほとんどの受験者はあの魔獣の森で仏さんになっちまうからな。だが真に恐ろしいのはこの次に控えている実技試験だ」バウアーさんも話に乗っかってきた。
「どんな試験内容なのですか?」
「わからねえ」
「わからないんですかい!」私は思わず突っ込んでしまった。
「二次試験である、実技試験は毎年内容が変更されるんだ。どうやらここの学長の気まぐれらしい。」
「そうなんだ!」そんなことを話していると後ろから、後ろから私たちをあざけるような声が聞こえてきた。




