友として命を懸ける「魔鏡反響」。西の方向から聞こえる獅子の咆哮の死の芳香を消すために、
国立魔法学院 第九魔術学習施設 シャコガイルへ受験を受けに来たダイヤモンドブリザード、ラキオレヴィオン、バウアー・ボウダンロウ、リズ・アルベール四名は無事一次試験を突破した。
第二次試験である、「友情と青春の鬼ごっこ」が始まり鬼である水上第九院シャコガイルから逃げるため学舎本館からの距離をとろうと魔獣の森奥地へと向かうリズアルベール。
そこに半径25mほどの木々が開けた場所を発見する。そこには切り株に腰を据え読書をたしなむ一人の男性がいた。その人物は、国立魔法学院 第九魔術学習施設 シャコガイルの特級特別顧問であり、この試験の終了条件の一人でもある静謐の啓きカイバ・真悠であった。カイバは終始薄ら笑いを浮かべるばかりであったが、リズ・アルベールの受験動機を聞き態度を一変させる。
「先に進むか、そんなことを言うのは僕を倒してからにしてね!とかかっこつけてもいいかな?」そういうと彼は読んでいた本を腰かけていた切り株にゆったりと置き。ジーパンのポケットから当たり前の日常みたいに拳銃を取り出す。その拳銃の銃口を自身のこめかみに添える、引き金に手をかけた彼は笑った。 今日出会って一番の笑顔で笑った。
「バン」響く重低音、撃鉄が下ろされた証が森林に鳴り響く。だがなぜか、頭から飛び出る血はない、依然としてセーターに描かれた赤いマリメッコ以外の血は彼に一滴も流れない。
「やっぱりね!わかっていた事だったんだ、、、僕はいつだってついてる」彼は両の手を翼のように大きく広げ諦念の混ざった声で言った。「だって僕最凶だもん」そういいながら彼は次上を指さす。見ると彼が先ほど指でなぞったあたりの曇天の空に星空が生まれていた。
目を凝らすと無数の魔法陣が広がっているのが分かった。
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彼は胸元につけたかけた星形の飾りをこちらに向ける。
∧
___/ .〉 血ゥr―ァ
\ 神? i ノ /
\ 殺す? .{  ̄
/ / < ̄|
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「面白い開戦の合図だっただろ、友のためとかさ、自分が死にたいからだとかさ、全部ぜーんぶ、ネガティブで暗い。ネガティブじゃなくてポジティブに行こうよ、ネガティブをポジティブに移行それが、魔歴創生以降うまれた魔術というものだろ。それこそが人生の醍醐味だ。それができない魔術師はただの粗大ごみさ!戦争特需っていう言葉の響きは悪魔的だけれどそこに救いを求める人間味がちゃんと残っている、」
「あなたを倒せば、私の最低な理由も正当化されますか?」
「最低?どこが立派すぎて最高すぎて気持ち良すぎて気持ち悪いだけだよ君の理由は」
彼は次に銃口を上に向ける。
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そして放つ。其の銃弾は「バン」とローエンドな音とともに放たれた。「パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパパッパン」と16度何かにあたるハイピッチな音を立てて、最後「ぐしゃり」と肉を引きさくアウトロを終止符とし一つの楽曲とを作り上げた。つまり、空中に無数に広がる魔法陣を反射して私の太ももを貫いた。空中にマバユク星々のように光る魔法陣を使った跳弾か。戦いの始まりを告げるチューン/ナンバーは銃弾の痛みとともにあたしに刻まれた。
「今のは16反射のサソリ。サソリって食べたことある?どんな味なんだろうね?あんたのレスを聞かせてくれよ」
「意味わからん、殺す」私には本当に意味が分からなかった。
「いいねえ!」
もう後戻りは出来ない、こいつを戦闘不能にして、ラキオレヴィオンを探す。
「第4魔層 火属性 魔層装着 斬撃 瞬」そう私が言うと、私の真ん前に魔法陣が現れ、その魔法陣が和風な鎧と刀へと姿を変える。それが私に装着される。これが私だけのオリジナル。自身に魔法陣を装備させ身体能力や魔術としての完成度を飛躍的に上げる。これを人に使うのは初めてだ。
魔層装着の効果は単純な身体能力増強や魔力強化のみではない、感覚も研ぎ澄まされる。反射神経や動体視力も例外ではない。私は魔層装着を使った瞬間いつも自分が速くなったのではなく世界が急激にスピードを落としていくような感覚に陥る。これならば彼の銃撃にも対応可能なはずだ。とはいえ、この魔術は体への負担が大きい、できれば短期決戦が望ましい。
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魔層装着により顕現させた、緋色に煌めく刀が炎をほとばしらせる。
「今の私ならば、あなたの拳銃の銃弾など親指と人差し指つまり二本の指で対処は事足りる。ですが特別サービスです。見せてあげましょう。友を思う。朱く燃え滾る私の覚悟というものを」
「いいじゃん!いいじゃん!ジャンジャン見せてくれよ赤く燃えたぎる君の覚悟を僕に確認させてくれ」
私は勢いよく剣を振り上げる。が、なぜか体がどんどん右斜めに倒れていく、何だこれは。その体を支えようと右足を横に踏ん張るように出す、何とか転ばずに踏みとどまったものの体全体が震えている。これは毒か、確かさっきサソリがどうとかカイバは言っていた。もしや跳弾の反射に使っていた魔法陣に何らかの魔術効果が付与されているのかもしれない。
魔層装着を使った私は単純な視力も魔術的視力も上がっている。さっきは単純な曇天に浮かぶ星々のようにしか見えなかった空も今見れば魔法陣の詳細までわかるかもしれない。私は上に目を凝らす。
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星空のような膨大な数の魔法陣がマバユキ光を燦燦と発している。それに魔力探知をかける。
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「僕のマバユキ星々に魔力探知をかけているのかい」私のことを見透かしたように彼は言う。
「そうだ、あなたは先ほど16反射のサソリという言葉を使った。あなたが跳弾に使った魔法陣に毒でも仕掛けられているのではないかと思ってな」
「結果はどうだった?」答えを知っているということを包み隠さず嫌味のない嫌味を彼は言った。
「わからない何の変哲もないただの反射魔術だ、銃弾に毒でも塗り込んでたのか?」これは本心だ。
「まあそういう反応だろうね。僕は一応教師だからね、しかもとっても優しいナイスガイだから、答え合わせをしてあげる。君星座って知ってる?」
「知らないな、というかどうでもいい。ポエムなら後にしてくれ、もしくは毒が回るまでの時間稼ぎか?世間話に付き合っている暇はないぞ」
「まあ付き合えよ。男の話を黙って聞ける女の子ってのが一番モテルんだぜ。ただただそこにいればいい簡単なことだがそれはとても難しい。それは、まるで星空みたいだと思わないかい?」私はこれにあきれた顔を返した
「まあいいや、本題に戻ろう。さそり座っていうのは15の星々からできた星座なんだ。尻尾が丸まっているのが特徴的でね。一発の弾丸でその形をたどろうとすると16回反射させる必要がある。」
「まさかあなた?」私は驚愕した。
「そう、キミノソーゾードーリダヨ」とても棒読みで彼は言った。
「16回反射させた跳弾でサソリの形をかたどれれば、神経毒の魔術効果が得られる。ほかの星座も同様だ。星座の形を跳弾を使って表すことができれば魔術効果が顕現する。本当は頭を狙うつもりだったんだけれど、今の星空だと使える星座がさそり座しかなくてね。角度的に足しか狙らえなかったんだ。ごめんね一発で楽にさせてあげられなくて。これからは先は天文学の授業だ。いっぱい覚えて逝ってね!」当たり前のように当たり前ではないことを特級魔術顧問 静謐の啓きカイバ・マバユキは言った。
確かに星々の体系をかたどった魔法陣に銃弾を反射させて星座を描くことを制約とした、限定的特異魔術ならば魔法陣自体に効果はなくても魔術効果を持たせることは可能なのかもしれない。だとしても、だとしてもだ!戦場でなんつう、曲芸披露してやがんだこいつ!
私なんかより何倍も戦場のことをなめ腐っている。命というものを戦いというものを魔術というものを私という存在も含めて目の前にいる男は総てをなめ腐りきっている。
「続いてご覧いただきますは、北緯35度、東経135度における4月の空、つまり春の星々になります。西の空をご覧ください。」
目の前の男は指をオーケストラの指揮者のように振りながら言った。指を振ることによって星々のような魔法陣が一斉に水平線へと降り注ぎまた水平線から星々のような魔法陣が上り新たな配置へとスライドされていく。
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「お客様の中に猛獣の飼育資格をお持ちの方はいませんでしょうか?これよりとても危険な獣が現れるやもしれません例えば、」彼は大きく息を吸った。
「怖ーい怖いライオンさんとかね!」
「星間魔術 第三魔層 星龍の記憶 18反射 春獅子の咆哮 隕 発動」そういうと彼はまた銃口を上に向け発射する、
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「バーーン」という重低音がまた鳴り響く。そして、魔法陣を介した跳弾で紡ぐプラネタリウムが開演される。私の動体視力や聴力は魔層装着によって格段に上がっており、先ほどまでは視認できなかった銃弾も今はしっかり目で捉えることができる。現にさっきより銃弾が発射されたときの音もしっかりとゆっくり聞こえた。大丈夫どんな魔術効果を付与されていようと当たらなければどうということはない。どの角度からくるかしっかり集中しなければ。
「パーンパーンパーーンパーンパーンパーーーーーーーーーーンパーーーーーンパーーーーーンパーーーーーーーーーーンパーーンパーーンパーーンパーーンパーーンパーーーーーーーーーーンパーンパーンパーン」
あたしに向かって来る。大丈夫しっかり跳弾は視認できている。視認できているはずなのに心臓の鼓動がどんどん速くなり息が絶え絶えになる。視認できているのになんだこの胸のざわめきは。私は銃弾が私に近づくことでやっと気づいた。いや根本から違うんだ。視認できているのではない、視認できすぎている、銃弾がさっきより明らかにでかい。
「隕石ってさ、実は小さいものは毎日のように降っているんだって、だけど大体が大気圏という上空の地球の大気の層で燃え尽きてしまうそうだ。大きいものだったらどうなるんだろうね?」彼は地球が終わる日は何をするかという定番の質問を、友達に聞く時のような何気ない日常的な言い方で言った。
大きさそれは単純な暴力である、小さいものより大きいもののほうが強いこれは不変の事実だ。速さこれも暴力である遅いものより早いもののほうが強いこれも不変の事実である。ならばそれら二つが掛け合わさったらどうだろう?それは、、、
地面が揺れる木々が泣きわめく。それ以上に自分の心臓の音がうるさい。それをかき消すように、獅子のような咆哮を響かせ隕石のような銃弾が森の命という命を奪いながら私の眼前へと降り立った。半径20mはある、銃弾が発する熱で意識が消し飛びそうになるのをこらえ、その銃弾に向かって私の全力の斬撃を浴びせる。その化け物があたしに衝突する。この世界に轟音を轟かせる、私の刀が今にも息絶えそうな「キーーーッン」という悲痛な叫びをあげる。
「ぐあああああああああ!」これまでに出したこともないようなはしたない大きな咆哮を私も放つ。
それに呼応するように獅子の咆哮は西の方向から死の芳香を漂わせながら、私に食って掛かる。
負けられない私は負けるわけにはいかないのだ。私はやる、私はやる!私はやる!
これまで一度も成功させたことはない、「魔鏡反響」という技術ぶっつけ本番だがやるしかない。魔鏡反響を簡単に言うならば、魔法陣が破壊もしくはブレイクされたとき用の事前に仕掛けておく保険のようなものだ。今回は魔層装着をした「斬撃 瞬」の刀にあらかじめ戦闘によって破壊されるであろう魔法陣を仕込んでおいた形である。
対象の魔法陣が破壊されたときにその破壊行為に使われた魔術が魔鏡反響でなかった場合のみ発動し超高速で展開される高等魔術。一つの利点は展開速度その魔法陣がブレイクされたその瞬間超高速で発動する。そして最大の利点はその魔法陣の破壊やブレイク以外に条件つまり制約をつければ、自身の普段の魔力では到底扱うことのできない魔術も使用できるという点だ。




