心理的距離の遠い友人に久しぶりに出会うと背が高くなっているように見えることがある。
「そうでしっ」先ほど僕に足があることを気づかせてくれた地球が僕の眼前にすばやく体当たりをしてくる。もう止められない。「バタん」そう音を立て僕の前から光が消えた。
ここはどこだろう、夢の中だろうか。自身の感覚という感覚が友達の家にある原液を薄めて作る、ウォルピスのように薄くなっているのを感じる。目の前にはなぜかエリザベス・アルベールと出会ったときと同じような花屋があった。
「いらっしゃい」店内には女の店員がいる。二人だけ。その二人が声をハモらせて僕にそういった。
一人はリズと同じくらいの年の女性だ。その少女が紫色の花を抱えてどうですかとでも言わんばかりに見つめてくる。
もう一人は、妹のルリと同じくらいの年の少女、その女の子は青い小さな花をもって助けてと言わんばかりに見つめてくる。
「お値段はいくらですか?」僕は特に夢なのだから理由もないのだろう、その場の流れに流される水のような質問をした。
僕の右手には銀貨が一枚だけ握りしめられていた。銅貨で言うなら1000枚分だ。
少女が答える「銅貨334枚です」私がお金なんてとって申し訳ないとでも言いたげな顔でこちらを見つめる。
リズくらいの年の女性が答える。「銀貨一枚です」私の花がこんな値段なんて安すぎるでしょ、とでも言わんばかりにどこか自身気な表情だ。
「青いお花を一個だけもらってもいいですか?」僕は聞いた。
「お買い上げありがとうございます」二人は声をハモらせた。青い花を持った少女がお釣りである666枚の銅貨とともに青い花を僕に手渡した、
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li:.`i ´ /´`i
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小さくて守りたくなるでもひそかな情熱を感じる不思議な手だ。一方リズのような少女のほうはどこか不満気だこいつはやっぱり客商売とか向いてなさそうだな夢の中ではあるが改めて僕は思った。
リズのような少女が店を出ていこうとする僕に話しかけた。
「おつりとして帰ってきた銅貨666枚は悪魔かもしれません、どうかその銅貨には気を付けてください6は悪魔の数字といいますから」
紫色の花がある、その横には青い色の花がある。僕じゃなかったらどちらを選んだのだろう。おつりがこんな人生なら神様は倹約家というものが相当嫌いらしい。二人の女の子が僕に向かって手を振っている。なんだ涙か?いや心安らぐ夢もどうやらもうすぐ終わるらしい、その女の子二人の輪郭がぼやける続いて、花屋を中心とした夢の世界の色がにじんでいく。それらがゆったりと解けて混ざり合いやがて、僕の瞼が作る黒へと行きつく。この時僕はなぜか全部の色を混ぜ合わせると黒になるという情報を思い出した。別にどうでもいいな。
つづいて、瞼の奥から光を感じた、どうやら夢から覚めたらしい。ふと横を見ると夢で出会った紫色の花を売っていた女性と同じ顔の人物がいた、あの女の子だったらどんなに良かっただろうと思ったのも、つかの間その女が口を開く。
「お疲れとは言ったけどさ、ほんとにダウンしないでよ闇落ち眼鏡君」無味無臭砂をかむように干からびたトーンでその女は言った。これが夢ならばどんなに良かっただろう、Lemonのにおいすらしないこの人はほんとに僕の心を暗闇に落とすのがうまい。
「戦士の休息というやつですよ、昼寝は健康にいいそうです。ナントカという、どこかの偉い学者も言っていました。もうそろそろあなたも健康に気を使わないと皺増えますよ。」眼鏡を少し上にずらしながら僕は言った。
「別に美しさというものにそこまで固執しないよ私は、それに皺が増えたら別の新しい体に乗り換えればいいだけじゃない造花みたいにさ」
「僕が言っているのは外面の話じゃないですよ、心の皺です。あなたの心はしわくちゃだ。見るに堪えない」
「教師みたいなことをつらつらつらつらつらつららと、外面がその人の性質に変化を及ぼす、また外面に内面が少しずつ寄っていくという考え方は、私自身の経験則から眉唾物だと思っていたけれど案外正鵠を得ているのかもしれないわね。」
「で、僕が寝ている間になにかありました?」
「そうだね、すごくワクワクする飛び切り悪いニュースが一つと、あなたにとって只々都合の悪い事実が一つそして、あなたにも私にも不利益な報せが一つあるのだけれどどれから聞きたい?」久しぶりにエリザベス・アルベールの笑顔を見た気がする。いやな笑い方だな。ここまで笑顔一つで人の印象というのは変わるのだな。
「あなたにも僕にも不利益な報せから、お願いします」
「これは、私達だけが不利益ってわけでもないんだけどね、シャコガイルの奴一人で鬼をやるとか啖呵切ったくせに分裂魔法もしくは、分身魔法を使用しているみたいなのよ、だから私の魔術残滓隠匿魔法を使ってもいつかは見つかると思う」不機嫌そうにエリザベス・アルベールは言った。少し気分がいい。
「そうですか」
「なんでこの報せから聞いたの?」
「起きた直後に、自分の好きな絵師の絵画なんかを見たりすると一日の生産性が高まるそうなんです。あなたの不幸な顔を見ていると、それと似た効果が得られるとどこかのナントカという学者が言っていたような気がして、それにショートケーキの上に乗るイチゴは最初に食べるタイプなんです。」
「イチゴが好物なんだ可愛いところあるんだね」
「そこですか?」
「別に君がくずでゴミでカスな闇落ち人生どん底クソ眼鏡っていうことはわかっていたことだよ、で次はどうする?」
「僕にとって都合の悪い事実で」そうするとエリザベス・アルベールは上を指さした。すると太陽が数度ほど傾いていることに気付いた。
「35分」長いよと彼女の目つきが言っていた。
「なるほど、最後よろしくお願いいたします」
「私って上級魔族の割には魔力の範囲的探知って苦手でさ、私の魔力探知の範囲ってだいたい、半径300mほどなんだけれど、、、」
「はい、」嫌な予感がする。
「その中にリズが入ったわ」僕はそれを聞いた瞬間天を仰いだ。来たか。偽物の造花ではなく、本物の造花が。この瞬間を待ち望んでいた、いや一生来ないでほしかった。どっちでもいい、終わらせよう。夢から目覚めた後にこぼれる涙が枯れる前に、




