友達の家で出されたウォルピス・カーターはなぜかとても薄く感じる
「転移魔法の準備できたから戻ってきてーマジでナイスだったよ、本当にあの化け物足止めするとか君結構化け物なんだね!」明るい声でエリザベス・アルベールが言った。
「どうやらお別れのようです」僕とエリザベス・アルベールの下に魔法陣がひかれた。
「そうみたいね、私は教育者ですから若き者という存在を一人残らず愛しています、愛しているとはその人に幸せになってほしい、笑顔になってほしい、誰かを愛していてほしいということだと私は考えます、私は闇落ち眼鏡君のことも愛していますよ、せいぜい闇落ち頑張ってください」シャコガイルは血痕のついた結婚指輪のついた手をゆったりと横に振った。何だ動けんのかよ、とことん甘いなこの人は、僕は逆に笑顔になってしまった。最恐が聞いてあきれるよ全く。
「水属性 第七魔層 クラムノウレッジ発動 対象 闇落ち魔族二人組」エリザベス・アルベールがそういった瞬間体が浮くような感覚とともに僕とエリザベス・アルベールがその場から線香花火みたいに消え転移が始まった。
転移が始まり僕の目の前にまず広がったのは、青い青い海のような真っ青な空間それは藍よりも蒼よりも碧よりも青い。そこに自分とエリザベス・アルベールそして、それを包む魔法陣だけある。右手を先ほどの戦闘で失ったことなどどうでもよくなりそうなくらい心地良い。
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____/ |⊃ |\____
\ 青 / ̄ | | ̄\ 藍 /
\/ リズ~ \/
/\ ((⊂∪⊃)) /\
/ 碧 \____/ 蒼 \
 ̄ ̄ ̄ ̄\. 北 ./ ̄ ̄ ̄ ̄
\/
僕は、このクラムノウレッジという転移魔法は海の上をぷかぷか浮かびそのままどこか知らない島に流されるような感覚に近いと思った。
そして数秒後、自身に足があるということにこの星の地面が気づかせてくれた。そこに広がるのは、うっそうと生い茂る緑であった。その次に木々がそよ風に揺られ囁く音が耳に届く。転移は成功したようだ。
少し視界がぼやける、先ほどの戦闘で自分が魔族として闇落ちをしたとはいえ、右腕を失っている。出血多量というやつだろうか?頭がぼんやりする。そこに、僕のこの世で一番聞きたくない声で、この世で一番見たくない顔で、この世で一番恋をしてしまった人物の生みの親がこの世で一番心惹かれた女性と同じ顔で僕に向かって語り掛ける。
「マジお疲れ、正直今回の試験での君の役割は時間稼ぎではなく、一つの見捨て駒だと思っていたんだけれど思ったよりはやるみたいだね。あのシャコガイルが私に味方をする存在なのにもかかわらず殺さなかった。君本当に強いよ。」淡白な表情でエリザベス・アルベールは言った。
「そうですか、まあ使い捨て程度にしか思ってないことは初めからわかっていましたよ、でも強いのは僕じゃない、彼女が実力至上主義かつ優しかったから生き残っただけです。」僕はぼうっとした頭で言った。
「実力至上主義の奴だから残したのだとしたら君が強いという事実に何ら変わりはないじゃない、訂正する必要ってある?謙虚だね君」相変わらず普段のリズ・アルベールの演技をしていないときのこの人は淡白だな。リズ・アルベールという少女に僕は少なからず好意を抱いていたはずなのに、同じ顔のこの人のことを見ても全く何も思わない。表情なのか言論なのかはたまたこの人が魔族だからなのか、この人と話していても匂いもしない感触も紙のようにしわしわな造花を見ているのと一緒だ。この人はどこまで行っても造花だな。
「必要不必要でしか物事を判断できない大人にはなりたくないものだ、感覚が効率的過ぎるまるで魔族じゃないか」あーふらふらする、気持ち悪いな。お腹もすいた。妹のルリが作ったカヌレが食べたい。
「何を言っているんだい君は魔族だろ。」
「そうでしっ」先ほど僕に足があることを気づかせてくれた地球が僕の眼前にすばやく体当たりをしてくる。もう止められない。「バタん」そう音を立て僕の前から光が消えた。
ここはどこだろう、夢の中だろうか。自身の感覚という感覚が友達の家にある原液を薄めて作る、ウォルピスのように薄くなっているのを感じる。目の前にはなぜかエリザベス・アルベールと出会ったときと同じような花屋があった。
「いらっしゃい」店内には女の店員がいる。二人だけ。その二人が声をハモらせて僕にそういった。
一人はリズと同じくらいの年の少女だ。その少女が紫色の花を抱えてどうですかとでも言わんばかりに見つめてくる。
もう一人は、妹のルリと同じくらいの年の少女、その女の子は青い小さな花をもって助けてと言わんばかりに見つめてくる。
「お値段はいくらですか?」僕は特に夢なのだから理由もないのだろう、その場の流れに流される水のような質問をした。
僕の右手には銀貨が一枚だけ握りしめられていた。銅貨で言うなら1000枚分だ。
少女が答える
「銅貨334枚です」私がお金なんてとって申し訳ないとでも言いたげな顔でこちらを見つめる。
リズくらいの年の女性が答える。
「銀貨一枚です」私がこんな値段なんて安すぎるでしょ、とでも言わんばかりにどこか自身気な表情だ。
「青いお花を一個だけもらってもいいですか?」僕は聞いた。
「お買い上げありがとうございます」二人は声をハモらせた。青い花を持った少女がお釣りである666枚の銅貨とともに青い花を僕に手渡した、小さくて守りたくなるでもひそかな情熱を感じる不思議な手だ。一方リズのような少女のほうはどこか不満気だこいつはやっぱり客商売とか向いてなさそうだな夢の中ではあるが改めて僕は思った。
リズのような少女が店を出ていこうとする僕に話しかけた。
「おつりとして帰ってきた銅貨666枚は悪魔かもしれません、どうかその銅貨には気を付けてください6は悪魔の数字といいますから」
紫色の花がある、その横には青い色の花がある。僕じゃなかったらどちらを選んだのだろう。おつりがこんな人生なら神様は倹約家というものが相当嫌いらしい。




