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女勇者と魔王討伐〜反転世界の月は嗤う〜

とある世界のとある銀河に、地球と同じような星があった。

その星では、太陽が昇ると陽の気が強まり、月が昇ると陰の気が強まる不思議な世界だった。

そのため明るいうちは平和だが、暗くなると魔王の部下が跋扈(ばっこ)しており、人々はおびえて暮らしていた。


「魔王討伐?気の弱いあなたには無理よ…」


「ぼ、僕だって…一応回復魔法使えるし……父さんや母さんは反対してるけど…」


とある小さな村で、少年少女が親に隠れてこっそりと、馬小屋の中で話していた。


「ほらね…私も反対、あなたが戦うのなんて想像できないもの…」


「だから武道がこの村一番強い、君と一緒なら許すって父さんに言われたんだ!」


「え?」


そしてあれよあれよと言う間に、とある小さな村の、普通の少年少女は、勇者と賢者となった。

少女は初め嫌がっていたが、勇者様!と持て囃されて悪い気はせず、流されるがままに女勇者となったのだった。


そして5年後ーーーーー


「本当にここまで来れるなんて…この扉を開けると魔王がいるのね…」


「うん…いよいよだね。そろそろ暗くなるし、急がないと」


2人は固く閉ざされた大きな鉄の扉を、力いっぱい押し開けた。


「魔王!!来たわよ!!」

「お…おい魔王!!観念しろ!!」


「おやおやおや、君たちが…ね。最近この辺りでも噂になっていたよ。部下も随分やられたようだし、容赦はしないよ」


そして魔王との交戦。これまで幾多の戦いを乗り越えてきた2人だったが、苦戦を強いられていた。


「くっ……なかなかやるようね…」

「僕…もう駄目かも……」


「なんだ、お前たち全く大した事ないじゃないか…これで終わりにしよう」


魔王が勇者の胸ぐらを掴み、禍々しい剣を振りかざしたその時、太陽が沈み、月の光が差し込んできた。


「あっ……」

「!!」


「ハハハハハ!月も私に味方しているようだ!!」


魔王がそう叫ぶと、みるみるその姿が竜に変わっていった。その時、


「うっわ…アタシ爬虫類無理なんだよね、触んないでくれる?」

「僕も無理、てか息クサいよお前、歯磨いてる?」


「えっ…?」


そう、世界が反転すると陰の気が強まる。

勇者と賢者はこの力を利用して、己の内に秘めた邪悪なワードセンスで魔物たちを倒して来たのだった。


「え、ちょ…歯は磨いてるし!!…昨日……」


「うっわ最悪!!クサいキモい近寄るな!!竜かと思ったらミミズ以下のドブ野郎じゃん!」

「旅してる僕だって毎日磨いてるのにキモすぎ〜!てかこの城もウォシュレット付けろよ!予算足りてないのか?」


「………」


勇者と賢者の容赦ない言葉責めを受けて、魔王は押し黙っていた。

さすがに魔王にはこの力も通じないか…とやや不安になる2人の前で、魔王は元の人間に近い姿へ戻っていった。


「……ってくれ」


「は?」

「え?なんて?」


「もっと罵って~〜!!ぼく、こんな気持ち初めて!!もっともっと、口汚く罵って♡♡ほらほら!」


2人は顔を見合わせて、ニヤリと笑った。


「お前ありえねーんだよ!!本当にこの世界を支配してんのか??SMプレイかよ気持ち悪ぃ」

「ていうかお前、全身黒い服だけど、あれなわけ??厨二病ってやつ??いい歳して痛すぎ~〜!!」


「はわ~〜♡♡♡」


一晩中このやり取りは続き、日が昇る頃には、魔王と魔王の城や部下は消え去り、世界には平和が訪れていた。


「…終わった…ね」

「うん、ありがとう勇者様」

「あなたこそ、賢者様」


「ずっと言いたいことがあったんだ…僕と結婚してください!!」

「は?ありえねーから、キモっ」


「あれ?今昼間だよね…?」



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