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一握の砂
数年前に書こうと思って挫折したエッセイを新たに描いてます。
初めて書きますので遅筆で至らないものかと思いますがよろしくお願いします。
掌からこぼれ落ちていく砂のように何処かへ消えていく私の記憶。
どこかに仕舞ったのか、泡のように消えてしまったのか、そもそも「記憶を忘れた」事すらわからない。
そんな歪で穴だらけで今にも崩れそうなジェンガのような私の記憶。
今こうやって執筆してる事すら何時かは忘れてしまうのだろう。
書きたかった事や決して忘れたくないこともいつの間にかきえてしまう、心に刻んだはずの想いや言葉が失くなってしまう。これは恐怖以外の何物でもない。
私自身がボロボロと崩れていくような、緩やかに死んでいくようなそんな気持ちにすらなる。
それでも私はこの手を握りしめる。 砂のように残ったわずかな記憶を震える指先で拾い上げ、 紙の上に並べていこう。
白い忘却の中に、私を残すために。
…そして儚くも美しく、非情で汚泥のような橡墨染の世界で確かに生きている貴方や貴女の心にナニカを残せたら、と想いつつ今日も私は記憶と踊る。