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第18章 5年ぶりの対峙

第18章 5年ぶりの対峙



熾烈な初日の試合を終え、2日目の朝が静かに訪れた。


会場の観客席では、昨夜の熱狂的な人々がほとんど帰り、ホテルで休息を取っていた。しかし、熱心なファンたちは観客席でキャンプを張り、色とりどりのテントが点在していた。毛布にくるまり、インスタントラーメンを食べながら、昨夜の試合のリプレイを見返し、今夜の対決を心待ちにしていた。


小卒隊のアパート内はめちゃくちゃだった。


昨夜の激戦で体力を使い果たしたメンバーは、本来なら休息を取るべきだったが…願いは叶わなかった。


ウェイドが最初にソファから目を覚まし、眉をひそめ、頭痛に悩まされた。


「う…」


額を押さえ、苦しそうに起き上がると、眠そうな目を開けた彼の視界には、ぐちゃぐちゃに寝ているチームメイトたちが映った。


ディランとデビッドは別のソファで寄り添って寝ており、デビッドはディランの肩を抱き、寝言でつぶやいていた。


「隊長…俺はお前のために戦うよ…」


アンディはかなり大げさに、ダイニングテーブルに寝そべり、口元にタバコの吸い殻をくわえ、カウボーイハットで顔を覆っていた。レオナは奇妙な姿勢で椅子に倒れ込んでいて、起きたら全身筋肉痛になりそうだった。


ウェイドは言った。


「…俺たち、試合しに来たのか、パーティーしに来たのか?」


さらにひどいことに、テーブルには食べ残しのピザが山積みだった。


ピザの箱が小山のように積まれ、潰れたものもあり、空の酒瓶が床に転がり、いつこぼれたのかわからない液体でテーブルがベタベタだった。


「なんてこった…酒まで飲んでたのか…」


ウェイドは思い出すのも嫌だった。昨夜、試合後に公式から食事が配られ、勝利を祝って飲みすぎ、結果…全員泥酔してしまった。


ウェイドは額を押さえ、悔やんだ。


「今夜も試合なのに、これでいいのか…」


ため息をつき、彼は諦めて立ち上がり、頭を冷やす準備をした。


「…まあ、飲んじまったものは仕方ない」


こめかみを揉みながら、彼は独り言をつぶやいた。


「史上初の二日酔いで試合に出るチームにならないよな…?」




ウェイドは階段を軽い足取りで上り、2階へ向かった。


部屋のドアに着き、中を覗くと——


クンナとアニーが抱き合って寝ていた。


部屋の明かりは消え、窓から差し込む朝の光が二人の輪郭を柔らかく照らしていた。いつも冷たいアニーが、クンナをぎゅっと抱きしめ、依存するような子供の表情を見せていた。


このギャップにウェイドは思わず軽く笑い、低くつぶやいた。


「…子供は子供だな」


彼はそっと近づき、ベッドサイドの毛布を手に取り、慎重に二人に掛けた。


その時、ウェイドは初めてクンナの寝顔を間近で見た。


普段の自由奔放で小悪魔的な姿とは違い、今のクンナはまるで眠れる森の美女のようで、口元がわずかに上がり、穏やかな表情で夢を見ているようだった。柔らかな金髪が枕に散らばり、頬に軽く貼りついていた。


彼女…本当に美しい。


男の本能で、ウェイドの心が少し揺れた。


彼は指を少し上げ、クンナの耳元の髪を払おうとした——


だが、手が止まった。


この瞬間、彼の脳裏に今回の目的が閃いた。


彼はここに来たのは、心を動かすためでも、恋愛のためでもない。母と弟を救うためだ。


この道で、彼は気を散らす資格も、すべきでもない。


ウェイドの目は一瞬で冷たくなり、黙って手を引っ込め、心の中で自分に警告した。


「ダメだ、ウェイド、考えるな」


唇を軽く噛み、胸の高鳴りを抑え、そっと後退し、複雑な思いを抱えて部屋を後にした。




ウェイドはアパートの屋上に上がり、朝の光が競技場の隙間を通り、金属とガラスに反射し、冷暖の光紋を映し出した。


周囲を見渡すと、100棟のアパートがチェス盤のように整然と並び、遠くの観客席は雑多なテントで埋まっていた。まるで二つの世界が衝突しているようだった。


ここに立っても、ウェイドはこの魔幻ゲームが夢か、精巧に仕組まれた陰謀かわからないと感じていた。


朝の光と冷たい空気に浸っていると、遠くから奇妙な影がゆっくり近づいてきた。


「何だあの変なものは?」


眉をひそめ、不明な飛行物体を凝視した。近づくと、それは浮遊カメラだった!


カメラは彼の前に正確に止まり、レンズが自動で焦点を合わせ、赤い点が点滅。次の瞬間、ウェイドの顔が競技場の巨大スクリーンに映し出された。


「…めっちゃ大げさだな…これ、試合なのか、リアリティショーなのか…?」


ウェイドが呆れながらつぶやくと、突然、冷たい気配を感じた。


誰かが彼を見ている、しかも極めて冷ややかな視線で。


眉をひそめ、ゆっくり振り返ると——


案の定、遠くの対角線上のアパート屋上で、ジャスティン・クロスがポケットに手を突っ込み、冷たく彼を睨んでいた。


二人は空を隔てて対峙し、言葉のない戦火がすでに燃え上がっていた。誰も口を開かなかったが、空気は凍りついていた。


ジャスティンは軽く眉を上げ、ただの視線で、淡々と示した。


余計な動作も言葉もなく、だが明確なメッセージが伝わった——


ウェイドは一瞬の迷いもなく、口元を軽く上げ、淡く笑った。


そして、彼とジャスティンは同時に振り返り、それぞれのアパート屋上を離れ、チェス盤アパートの中央に向かった。




アパートチェス盤の通りで、一方はジャスティン、もう一方はウェイド。互いをじっと見つめ、宿敵のように大股で進み、ついに中央で対面した。


ジャスティンがウェイドを見る目は、傲慢で冷酷そのものだった。彼は復讐だけを望んでいた。一方、ウェイドの目は複雑だった。彼にとってジャスティンは、かつて指導できず、何年も彼を抑圧してきた生徒だった。


二人の目は長い間語り合い、ついにジャスティンが口元を歪め、軽蔑を込めて最初の一言を吐いた。


「久しぶりだな…正義のヒーロー、ウェイド先生」


(完)



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