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第11章 開戦前の火薬

第11章 開戦前の火薬




ウェイドの「小卒隊」はチェス盤の端に位置し、ジャスティンの「鋼鉄皇者」はちょうど対角線上、盤の最も遠い距離を隔てて互いを見つめ合っていた。


ジャスティン・クロスはそこに立ち、腕を組み、口元に遊び心のある笑みを浮かべた。


「ふん、ウェイド…やっぱりお前か」


ブーン!


ジャスティンは炎を操り、火雲を巨大な手の形に変形させ、まるで神の手のように五指を広げ、空中でウェイドを指さした。


そして、口元をわずかに上げ、もう片方の手で首をゆっくりとなぞり、喉を切るジェスチャーをした。


その意味は明らかだった——


「死ね!」


競技場の空気が一瞬で張り詰めた。


だが、このあからさまな挑発に対し、ウェイドは一切反応しなかった。


ただそこに立ち、ジャスティンを静かに見つめ、冷淡な目には怒りも恐怖もなかった。


無駄な衝突を避けたかったのか、あるいは…彼はまだ本当の実力を明かしていなかったのか。


「…好きにしろ」


ウェイドは淡々と言い放ち、振り返らずに皆を連れて階下に降りた。


沸き立つ観客の期待の中でも、彼は落ち着きを崩さなかった。


驚くでもなく、恐れるでもなかった。


実際、彼はこの日を待ち望んでいた——何年も前、魔法学校で規則違反によりウェイドに公然と罰せられた屈辱が、ジャスティンの心に焼きついていた。今、ウェイドは落ちぶれ、彼は高等競技魔法学院に進み、実力が驚異的に成長していた。


今こそ、復讐の時だ。


ゴオオ!


突然、ジャスティンが右手を高く掲げ、掌から灼熱の炎が噴き出し、夜空を一瞬で燃やした!


炎は競技場上空で渦巻き、巨大な火雲に凝縮した。観客は驚嘆し、多くの者が興奮で立ち上がり、迫る対決を期待した。


ブーン!


ジャスティンは炎を操り、火雲を巨大な手の形に変形させ、まるで神の手のように五指を広げ、空中でウェイドを指さした。


そして、口元をわずかに上げ、もう片方の手で首をゆっくりとなぞり、喉を切るジェスチャーをした。


その意味は明らかだった——


「死ね!」


競技場の空気が一瞬で張り詰めた。


だが、このあからさまな挑発に対し、ウェイドは一切反応しなかった。


ただそこに立ち、ジャスティンを静かに見つめ、冷淡な目には怒りも恐怖もなかった。


「…好きにしろ」


ウェイドは淡々と言い放ち、振り返らずに皆を連れて階下に降りた。


沸き立つ観客の期待の中でも、彼は落ち着きを崩さなかった。




「さて、どのチームに攻撃を仕掛けるか話し合おう!」


小卒隊のアパート内で、全員がソファに集まり、ウェイドは黒板を持ち出し、初戦の戦略を立て始めた。


彼は素早くチェス盤の配置を黒板に描き、隣接するマスに3つの潜在的な対戦相手の名前を書き込んだ。


「俺たちはここだ」


ウェイドは自分たちの位置に丸をつけ、隣の3チームを指した。


「周囲にはリベットワーカー隊、ストリートローバー隊、ベイビーキラー隊がいる。ただし、対角のストリートローバー隊は俺たちを攻撃できない。だから、対戦相手はリベットワーカー隊かベイビーキラー隊だ」


「その中でも、リベットワーカー隊が最も対処しやすい。彼らはただの労働者で、実戦経験は少ないはず。主導権を握るなら、先制攻撃だ!」


この戦略に、チームの反応は様々だった。特に、競技ゲームで活躍するアンディとレオナは同意しなかった。


アンディは煙草を一服し、手を挙げて言った。


「ちょっと待て。俺の数々の大会経験から言うと、学生が一番弱い。魔法をまだマスターしてない女子学生なんて、初勝利の踏み台に最適だ。だからベイビーキラー隊を狙うべきだろ?みんな、そう思うよな?」


アンディが皆を見ると、レオナが即座に賛同し、普段無関心なアニーまで悠然と同意した。


「私も賛成…」


3票がベイビーキラー隊への攻撃に賛成し、ウェイドの顔が曇った。彼は反対だったが、即座に否定せず、他の意見を求めた。


「他の人はどう思う?リベットワーカー…?それともベイビーキラー?」


まずデビッドが眉をひそめ、腕を組み、葛藤した表情で言った。


「うわ…無垢な女子学生と戦うなんて…もう彼女たちが俺たちにボコられる姿が目に浮かぶよ…」


ディランも心を痛め、後頭部をかきながら躊躇した。


「俺はリベットワーカーに一票…本当に女子たちを相手にするのか?」


その言葉に、アニーが冷たく振り返り、挑発的な口調で言った。「女だからって、相手にできないってこと?」


ディランの言葉に彼女の鋭い視線が刺さり、彼は慌てて手を振った。


「…そういう意味じゃないよ!」


横のアンディはまるで餓えた狼のような目で、軽蔑を込めて言った。


「相手が誰だろうと敵は敵だ。可哀想とか関係なく、勝てばいい」


その直截な言葉には冷酷さが滲み、場の空気が少し張り詰めた。


議論が過熱する中、クンナがタイミングよく口を挟んで雰囲気を和らげた。「これは理想的なシナリオだけど、向こうの2チームが先に俺たちをロックするかもしれない。誰と戦うにせよ、目標は一つ——慎重に戦い、勝利をつかむ!」


クンナの言葉は的確で、議論は収まった。


彼女はウェイドに目を向け、団結を促す視線を送った。


ウェイドは彼女の意を汲み、ぎこちなく掌を差し出した。「小卒隊、初戦勝利を祈る!みんな、頑張ろう!」


その行動に、ディランの目が輝いた。これは彼がずっと夢見てきたチームの雰囲気だった。


彼は迷わず手を重ね、興奮して叫んだ。「小卒隊、頑張れ!」


他のメンバーも一時的に偏見を脇に置き、手を重ねた。意見の相違はあったが、この瞬間、彼らは一つのチームだった。


「小卒隊、初戦勝利!」


初戦が、間もなく始まる。




夜が落ち、魔方城は夜を徹してますます熱を帯びた。この瞬間、城内の観客だけでなく、魔方世界中の人々が——テレビの前、コンピュータ画面、仕事を中断してスマホを手に——息をのんで待っていた。


あと数分で、マジックゲームが正式に開戦する。


戦いのドラムが低く長く響き、観客の耳膜を震わせ、心臓と闘志が共鳴するようだった。


照明が一気に暗転した。


数本の強力なスポットライトが交錯し、場中央のアパート群を照らし出した。


中央のステージがゆっくりと上がり、二つの人影が光と影の中に現れた——セザールとレナ、大会の看板司会者!


拍手が潮のように沸き上がり、二人は自信に満ちた笑顔でステージに進んだ。


セザールが右手を高く掲げ、静寂を求めるジェスチャーをした。


拍手が一瞬で止み、会場は静まり返り、数万の視線が司会コンビに釘付けになり、戦幕が上がるのを待った。


セザールは口元に微笑を浮かべ、遊び心のある低く磁力的な声で言った。


「皆さん——ついにこの瞬間が来た」


「皆の考えていることは分かってる。だから無駄話はしない。伝統に従い、まずこの大会の審査員と解説陣を紹介しよう!」


その時、戦いのドラムが再び響いた!


レナは微笑み、ドラムの音に合わせて試合の審査員陣を発表し始めた…


(完)



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