第2話 家の広さに驚愕
部屋を出た瞬間、目の前の光景に固まった。
「え、なにこの並び……ドラマの撮影?」
廊下にずら~っと並ぶメイドたち。
みんな一斉にぺこりと頭を下げて、揃った声で言う。
「おはようございます、お嬢様!」
えっ、なにこの朝のルーティン!?
何時から待ってるの??
ていうか廊下広!!
目の前には、赤い絨毯がドーン!とまっすぐ敷かれてて、左右には金ピカの柱。
両側の壁には、でっかい肖像画がドヤ顔で並んでて、軽く美術館なんですけど?
しかも、廊下の幅が車2台は余裕で並びそうなレベル。
「廊下」っていうか、もうイベントホール
部屋を一歩出たあたしは、目の前の現実にポカンとしてるしかなかった。
その中から一人、きっちりまとめた髪と完璧な制服姿のメイドが前に出てくる。
肩までのストレートヘア、凛とした顔立ち。これ絶対ヒロインじゃんって感じ。
「おはようございます、お嬢様。お身体の具合はいかがですか?」
「…あれ?確かメイドのマリア?」
「? それ以外に見えますか?」
「うわ~本物だ!!ゲームより綺麗」
「あ⋯ありがとうございます!
では無くお嬢様頭でもぶつけましたか?」
「ウケる、ノリツッコミきた~!」
マリアの長いまつ毛が一瞬ピクッと動いた。
驚き…というより、真剣な“確認”モードに切り替わった感じ。
「お嬢様、本当に大丈夫ですか?頭痛やめまい、吐き気などは……?」
「え~、全然?バリ元気って感じ~!」
「バリ?……それは、よろしゅうございました」
でもその声には、まだちょっとだけ不安がにじんでた。
「とりあえず朝食の準備が出来ました。
ご案内します」
「サンキュ~、お願い!」
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【朝食に向かう途中】
マリアは少し歩いてから、小さくため息をついた。
「執事様に確認いたします。……お嬢様の“ご様子”について、詳しく」
「え、そんなに心配?」
「ええ……以前のあなた様とは、明らかに違う部分がありますので」