トーザーハント2
「今日はスクランブルエッグとポテトだ」
「うれしい、お兄様の料理はいつも最高です」
ティエリアに喜んでもらえるのならば、それでいい。
地獄の底にいても、天使はいる。そう希望を抱いてもいいと思えるようになった。
こんな日々が続いていくと思っていたのだ。それが幻想だということを思い知らされることになる。
魔法師育成のカルナ・イージー・ファへ手紙を送った。
数日しても返事がないのでやけ酒を飲もうと思えば、ドアからノックの音が聞こえた。
「はい」
「ハント家のティエリア様とお見受けします。この度は魔法師育成機関カルナ・イージー・ファにご入学おめでとうございます。つきましては、推薦状をご確認させていただいてもよろしいですか?」
どうやら俺にも運が回ってきたようだ。
妹の希望をかなえることができた。よかったよかった。
「ハント家から推薦状をお受け取りしております」
一枚の紙を取り出した。それをみて俺は唖然とした。
「お兄様どうかいたしましたか?」
推薦状という紙は白紙であったのだ。
書類がそろったらまた来るとのことだ。
しかし、どうにも俺は頭に血が上ったらしい。
急いで家を出て、カルナ・イージー・ファの事務所に向かった。
そこにいたのは青年だった。きれいな銀髪だった。彼はにこやかにこういったのだ。
君は誰だねと。俺が名乗ると彼はこういったのだった。
詐欺師ですよ、ハントさん。とんでもない大噓つきさ。この魔法師育成機関カルナ・イージー・ファにそんな書類はありません。
俺は何をやっていたんだ。もうだめだとそう思った。
「お金はお支払いします。どうか書類を偽造してください」
彼はにこやかにこういったのだった。
「わかりましたよ、ハントさん」
それからしばらく、彼が事務所に戻るまで俺は待ったのだった。
それは奇妙な依頼だ。
金をやるから推薦状を用意しろというものだから、適当に噓八百の書類を作ったのだ。
本当は別にカルナ・イージー・ファなんていう魔法師
「あの、ハントさん」
「なんでしょうか?」
カルナ・イージー・ファの青年は困っていた。
「書類を偽造するのってけっこう大変なんですよ」
「依頼をキャンセルします。お時間を割いていただきありがとうございました」
「ちょっと待ってください」
カルナさんは俺を引き留める。なにかまだあるのだろうかと疑問に思った。
「とりあえず書類は用意しますから、落ち着いてください」
そんな時にだ、ドアが開く音がする。どうやら別の人物が戻ってきたようだ。
白髪の男だ。鋭い目つきで俺を見ている。
なんだこいつは? そう俺は思ったのだった。
カルナさんが言うには、彼の名前はブリッツ・アーラ・スヴァルトさんだそうだ。
彼は魔法師育成機関の所長であり、カルナさんの上司であるとのことだ。
俺はこのブリッツさんにこういわれた。
ハント家の人間は信用できないから、書類を偽造するつもりはないとのことだ。
しかしそれは困るのだ。




