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山籠りおっさんのやりすぎスローライフ~拠点に遊びにくる友人たちを全力でもてなしていたら、知らない間に世界に激震を走らせていました~  作者: AteRa


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第36話 エルフの国を訪れました

 やってきましたエルフの国。自然と融合した広大な街は壮観だった。巨大な木々の合間を縫うように川が流れていて、その川をゴンドラみたいなのが行き来している。


「タケルさぁん! こっちです!」


 俺が感動してその風景を眺めていると、少し離れたところでエルンが手を振っていた。エルンは先に準備があると言って先にこっちに戻っていた。と言っても、俺はここに繋がっている転移用ペンダントをエルンから借りていたからすぐに来れたんだけど。


 そしてエルンの方に行くと彼女は一つのゴンドラに乗り込んだ。美しいエルフの女性が魔法を使ってゴンドラを先に進めていく。


「今から長老たちのところに行きますが、あまり緊張しなくても良いですよ」

「長老? いきなりそんな人たちと会って良いのか?」

「もちろんです。彼らは温泉の虜になっているので、みんなタケルさんのファンなのですよ」


 そ、そうだったのか……。温泉の魅力、恐るべし。さすがは温泉である。


「てか、そんな簡単に長老にアポ取れるエルンって……?」

「あれ言ってませんでしたっけ? 私はエルフの中でも上位種のハイエルフなのですよ!」


 エルンは言いながら胸を張った。ハイエルフ……?


「これが?」

「これがとか言わないでください! 私にだってハイエルフの矜持があるんですから!」

「あ、ああ。すまんすまん」


 しかしこれがハイエルフかぁ……。なんかもっと落ち着いていて凛としているイメージがあったのに。こんなポンコツっ子がハイエルフだなんて。でも確かに、他のエルフたちに比べて胸は大きいみたいだ。


「むっ……タケルさん、変なところ見ないでください」

「見てないって。ちょっと他のエルフとの違いがないか探してたんだ」

「本当ですかぁ? 疑わしいですが、まあいいです。もう着きますから」


 そしてゴンドラは街の中心にある一番大きな木の前に辿り着いた。おそらくこの木々に埋め込まれた部屋に長老たちがいるのだろう。


「ささ、早く終わらせて映画を撮りますよ」

「そんな急かすなって」


 どうやらエルンは映画に興味津々みたいだ。好奇心が抑えきれないって表情をしている。


 ともかく、俺たちは木々の中にある階段を上がっていく。すると大きな広間にたどり着き、そこに置かれた円卓に七人の老エルフが座っていた。


「エルン、そのお方が……?」


 一番奥に座っている男性の老エルフが重々しくそう聞いてきた。エルンはそれに頷くと答えた。


「ええ、この方こそが……叡智の大賢者タケル様です」


 エルンの言葉にザワザワと騒がしくなるエルフたち。なんか空気が重くて少し怖いな。何されるか分かったもんじゃない。そう思っていたが……。


 老エルフは思い切りバンッと立ち上がって俺の方にズカズカと寄ってくると、いきなり手を取った。


「儂はタケル様の大ファンであります! 長い年月を生きてきて、こんなに嬉しかった思い出はないのです! ああ、叡智の大賢者タケル様! お会いできて光栄です!」


 おおう……なかなか過激なファンみたいだ。少し引いていると、彼に倣って他の長老たちもゾロゾロと集まってきて手を握ってきた。


「温泉とやらを生み出してくれてありがとうございます! 儂ら老体に温泉とやらはとてもよく効くのです!」


 確かに温泉と老人はセットなイメージはあるけど……。ここまで気に入られるとは思っていなかった。チラリとエルンの方を見ると、彼女は我関せずと言った感じでソッポを向いた。


 くそう……覚えていろよ、エルン。そう心の中で思いながらも、俺は愛想笑いを浮かべて老エルフたちの相手を小一時間ほどもさせられるのだった。やっぱり老人の話が長いのはどこ世界でも同じらしい。

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