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山籠りおっさんのやりすぎスローライフ~拠点に遊びにくる友人たちを全力でもてなしていたら、知らない間に世界に激震を走らせていました~  作者: AteRa


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第26話 歪んでしまったベリアル君

 レイナたちがうちに来てから小一時間ほど。好奇心に取り憑かれたアンナに揉みくちゃにされたロシュはヘトヘトになっていた。


「うう……もうお嫁に行けないのじゃ……」


 悲壮感溢れるロシュを横目にレイナとサーラは二人で対決をしている。もちろんゲームでだ。


「これで15勝15敗ですね。レイナさんはなかなかお強い」

「いえいえ、そちらこそ。でももう負けるつもりはありません」

「言いますね。こちらだって負けるつもりはありませんよ」


 穏やかな口調なんだが、どことなく闘争心に溢れているというか。言葉の裏にはもう絶対に負けないという強い意志を感じさせる。そんな二人に混ざりたそうにベリアル君は後方から眺めているが、勇気が出ないのか情けなさそうにトキを膝の上に乗せてモフモフしていた。


「トキ……楽しそうだな、あれ」

「わん!」

「俺も、混ざってもいいのかな?」

「わん!」

「いやでも、俺が混ざってもどうせ負けるだけだし……。てか二人とも強すぎでしょ」


 確かにレイナの成長は著しい。まあまだ初めて一ヶ月でそのレイナに追いつけるほど上手いサーラも十分おかしいのだが。しかしこのままだとロシュとベリアル君が可哀想だ。なので、新作のゲームならみんなで出来ると思い提案してみることにした。


「なあ、みんな。今七人いるからさ、新作のゲームを体験してみてよ」

「新作ですか?」


 俺が言うと目を輝かせたレイナが振り返ってきてそう尋ねる。俺は頷いてカセットを取り出した。


「ああ。ロシュとサーラには前に一回プレイしてもらったんだが、これなら八人同時プレイが出来る。CPUを二人交えてやればみんなで遊べるぞ」

「おお、それはいいですね。ぜひみんなでやりましょう!」


 その会話を聞いていたサーラは、思い出したように頷く。


「ああ、前にやらせてもらったあれですか。いいですね、あれも楽しかったです」

「わ、妾もゲームをしたいのじゃ!」


 アンナの方を見ると彼女もロシュとの触れ合いに満足したのか頷いた。よし、みんな賛成っぽいし決まりだな。え? ベリアル君? もちろん強制参加だよ。


 そして俺はカセットを入れ替え新作ゲームをスタートさせる。ゲーム内容を伝えると早速プレイ開始だ。


「あっ、これ全然当たらないですね!」

「難しいな〜、このゲーム。前のと違って前後だけではなく、全方向に動くのが難しいぞ〜」

「何で当たらないのじゃ! てかサーラ、妾を執拗に狙ってないか!?」

「ロシュ様、そんなんじゃ私には当たりませんよ。……これでロシュ様を撃破です」

「あー、酔うな、これ……。うっぷ、気持ち悪い……」


 みんな楽しそうにプレイしている。敵味方はランダムで振り分けたから、今回はベリアル君、俺、サーラと、ロシュ、アンナ、レイナのチームになった。そこに一人ずつCPUを加えた形だ。


「って、ベリアルさん! 私の隣で吐かないでくださいね!」

「も、もちろんだとも……。こんなところでこの俺が吐くわけ……うっぷ!」

「うわっ! 危ないですよ! 本当に気をつけてください!」


 ベリアル君はどうやら3D酔いをしてしまったみたいだ。彼の隣にはレイナが座っているので、ベリアル君が吐いたらレイナが被害を被ることになる。ということで、ベリアル君はみんなの総意で離れたところに座らされた。


「……何か寂しいな。なあ、そう思うよな、トキ」

「わん」


 そう膝に抱いていたトキに同意を求めるベリアル君だったが、トキも吐かれるのは嫌だったのか離れて行ってしまった。流石に可哀想だったから、俺は隣に座ることに。まあ前世の会社の飲み会でいくらでも上司の世話をしてたからな。リバースには慣れたものだし。


「……タケルさん。貴方は優しいな」


 目を潤ませてそう言うベリアル君の肩を優しく叩く。それから俺たちはなぜか同じチームになることが多くなり気がついたら心を許した仲になっていたのだった。



+++



 そしてその日の夜、みんなが寝静まった頃。俺の寝室に一人の来客が来ていた。ベリアル君だ。


「どうしたんだ、こんな夜更けに」

「あ、いや……ちょっと話したいことがあってな」


 畏まった風に言うベリアル君。まあ彼も思春期だし悩んでいることなんていくらでもあるだろう。ここは大人としてしっかりと悩みを聞いてあげよう。そう思い俺は優しい口調で尋ねる。


「何でも言ってごらん。このおじさんが聞いてやろう」

「本当か? 何でもか?」

「ああ、何でもだ」

「言っても絶対に引かないって約束してくれるか? 約束してくれるなら話すが」


 そんなドン引きする話なのだろうか? しかし俺だって大人で、色々な話を聞いてきた。別に今更ドン引きすることなんてないだろう。俺はしっかりと頷くと言った。


「もちろん。ドン引きしないから打ち明けてみな」

「ああ。分かった」


 覚悟の決まった表情でベリアル君は頷くと話し始めた。


「さっきさ。アンナとロシュが戯れていただろ」

「ああ、ゲームをする前の話か。うん、戯れていたな」


 戯れていたと言っても一方的だったが。……って、待てよ? この話の流れ、もしかして。


 ふと嫌な予感がして俺は制止をかけようとするが、その前にベリアル君はその新たな性癖を打ち明けてしまった。


「なあ……ロリっていいな。特にロリ同士の戯れとか、辱めを受けているロリっていいな」

「あ、ああ。そうだな。うん、いいと思う」


 ドン引きしないと言った手前、俺は何とか口元を引き攣らせないように気をつけながらそう頷いた。すると彼に同意したと捉えられ、小一時間、ずっとその良さについて語られ続けるのだった。

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