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山籠りおっさんのやりすぎスローライフ~拠点に遊びにくる友人たちを全力でもてなしていたら、知らない間に世界に激震を走らせていました~  作者: AteRa


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第17話 ドラゴン肉を入手しよう!

 よし、ドラゴンを狩りに行こう。トキの誕生日パーティー自体は精霊世界でやったのだが、プレゼントを用意したいと思ったため、ドラゴンの肉を入手しようと思ったのだ。


 前にストレージに入っていた防具や剣などを装備していざ出発。意気揚々と森の中を散策し始める。


 転生直後に出会ったドラゴン以来、いまだ他のドラゴンには出会っていない。あれだけお肉が美味しかったってことは、やはりドラゴン自体が稀な存在なのだろう。


 ということで『全知全能』でドラゴンが出やすい場所をあらかじめ調べてある。ここから北に少し行ったところにあるアルポンス山の頂上に巣を作りやすいと書いてあった。


 アルポンス山はこのカイアナ山脈の中でも一番背の高い山で、標高は五千メートルをも超える。寒さや気圧の変化、空気の薄さなど、普通の人間にとっては過酷な環境なのだとか。


 しかし俺は自分の周囲だけ環境を保ち続ける結界というものがあることを知り、それを持続的に張り続けることによってそれらを解決していた。流石、魔法である。


 そして歩くこと四時間、俺はアルポンス山の麓まで来ていた。


「よ、よぉし。いざ行きますよ!」


 横には何故か拳を握りしめ震える声で活を入れているエルフの少女が一人。


「なあ、あんた。本当についてくるのか?」

「あんたじゃありません! 私にはエルンって名前があるんですから!」


 俺の言葉にプンプンと頬を膨らませて怒るエルフの少女エルン。う~ん、彼女がこれからの登山についてこられると思えないんだがなぁ。


 エルンとはつい先ほどバッタリと遭遇した。何故か人食い花に頭からかじられていたので、そこを俺が救ったのだ。そしたら凄く懐かれて、一緒についてくると言い出したのだった。


「てか何で山頂に行こうって思うんだ?」

「え? いや、楽しそうだからですよ!」

「……楽しいもんじゃないと思うけど」


 戦闘狂なのか? でも人食い花に食われていたけどなぁ……。よく分からない人だ。


「逆にタケルさんはなんで山頂に行くんですか?」

「ああ、飼ってるペットのためにドラゴンの肉を取ってきてあげようと思って」

「……ドラゴンの肉ってそう簡単に手に入るものでもないし、しかもペットのためって」


 今度は俺が呆れられた表情を向けられる番だった。そんな変なことは言ってないつもりなんだが。


「でも面白そうなのには変わりないですね! ついていきますよ!」

「いや、来なくていいが」

「何でですかぁ! 私も行きたい! 行きたいったら行きたいんですぅ!」


 俺が冷たく突っぱねると、エルンは泣き縋るように俺に抱き着きながらそう叫んだ。なんだか駄々こねる子供みたいだ。本当についてきて大丈夫なのか心配になる。


「何と言われようとも、私は絶対についていきますからね!」

「……はあ、分かったよ。もう勝手にしてくれ」


 俺がため息とともに諦めたように言うと、彼女は勝ち誇った表情で意気揚々と歩き出した。しかし次の瞬間――。


「モゴモゴ! モゴモゴモゴ!!」


 突然現れた人食い花に頭からかじられていた。


「……本当に大丈夫なのか?」


 俺は不安になりながらもエルンを助ける。

 助けると彼女は視線を合わせようともせず、必死の言い訳をしてきた。


「わっ、私は本当に運がないんです! ただ運がないだけなんです! 信じてください!」

「運がない人を連れて行くのも損でしかない気がするんだけど……」

「そ、それは気のせいです! 私はそもそも運なんて、そんな不確定なもの信じてませんから!」


 おいおい、言ってることが違うじゃないか。エルンに呆れたような表情を向けるが、彼女はそれを見なかったふりをすると、ズンズンと山頂に向けて歩き出すのだった。

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