プロローグ-閉鎖された生活-
ここは天上病院303号室
一番奥の窓側のベットで横たわっている少年がいる。
俺の名前は霧島長生17歳
その名の通り長生きしてほしいという願いで付けられた名だ。
身長は、低くもないが高くもなく並び順でいえば真ん中の方だ。
見た目はいたって普通で性格は目立つ方ではないが両親共に営業職に勤めており
それを譲り受けたのかコミュ力が高く、学校のヤンキーや、真面目系、おたく色んなジャンルの人から親しまれ彼女もいて楽しい青春を送っていた。
しかし、神様は悪戯好きのようで
16才の時に病を患いそのまま即入院となり
2年の余命宣告され現在は17才
余命は残り一年もない。
余命の通り日々病気は悪化しており
辛い日々を送っている。
「う....うぅ...」
ま、また、痛みの前兆が....
ここ最近調子良かったのに...
痛みは身体全身に激痛が走り
俺はそれに日々恐怖を感じている
例え痛みがない時でもまた来るんじゃないか?という負のスパイラルに陥るからだ。
そう恐怖を感じているとコツコツと足音を立て
ベットへ向かう人の気配を感じた。
そして"シャー"とカーテンが開くと
見上げるとそこには1人の少年が立っていた。
「おさむーっっ!!見舞いにきたよっ!!」
「なんだよ?なおとかよ...」
こいつは神崎直人
幼稚園からの仲で小、中、高と同じ学校に行き
いわゆる幼馴染ってやつだ。
見た目は、身長低めでたまに女の子と見間違えられるほどかわいい顔をしている。
男の娘?って言葉がふさわしい顔立ちで
学校では女子の中でファンクラブを作られてるくらいだ。
「なんだよ?って酷いなぁ...」
声質もまるで声変わりしてないのか?って思うほど高めで
口調も男っぽくなく優しめ
だから女と間違われるってのもあるんだよなぁ...
「ははっ!うそうそ!冗談だよ」
なおとは1週間に一度は必ず見舞いに来てくれる...
昔から本当に優しい奴だ。
「はいっ!いつもの差し入れ」
「...いつもありがとな...」
いつも週刊誌の雑誌を差し入れで持ってきてくれる
俺が数年前から推している漫画があるのを知っているからだ。
「おさむ...!?調子はどう??」
「変わらずだな...」
「そっか...そういえばさぁ〜今日学校で...」
なおとはいつも学校の面白いネタを出して笑わせてくれる。
監獄のような閉鎖された入院生活を送っている俺にとって
なおととの時間は息抜きで唯一病気を忘れて元気になれる
ある意味特効薬だ。
「あっ!?やばいぃ塾に行かないと!!!!また来るねー!!」
「おぅ!!またな...」
いつも帰る時は手を振り満面の笑みを浮かべ帰っていく...
俺はそんななおとに日々感謝している。
うっ...!!
痛みがきた...今回痛みが酷いなぁ...?
な、ナースコール
ナースコールを押すとマイクから気が強そうな女性の声が響いた。
「どうされました?」
「い、痛みがまた...」
「わかりました!!すぐ行きます。」
看護師さんは1分もしない内にすぐ駆けつけてくれる
入院生活は辛いが安心はできる。
「痛み止めしますね。」
「は、はいおねがいします。」
痛み止めを打つとすぐ眠気が来て眠りに付く
起きた頃には痛みを忘れて平常に戻っている。
どの痛み止めを試しても効かなかったから安心させる為に
痛み止めと言いつつ睡眠薬とか麻酔なのでは?と思うほど効き目があるんだよな......
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チュンチュンと元気にスズメが鳴いている。
目を開けると窓から目を刺すような日差しが入り
気づくと痛みは無くなり朝になっていた。
「朝か?ふぁーーーっ!!」
大きなあくびをし
何事もなかったかの様にいつものサイクルの病室から少し遠めの廊下を歩き右手にある洗面所に入り顔を洗い歯を磨く
この時だけは痛みも無く健康なんじゃないか?!と錯覚する。
健康な時からの行動だからだ。
少し気持ちが楽になった所でまた病室に戻りベットに入り横になる。
ここからは本当に辛い
一気に患者モードに入るからだ。
外出もできないので
何も変わらない風景、音、匂い
現実を突きつけられる。
「そうだ!!なおとから差し入れの漫画見るか!!」
週刊誌だが俺はいつも同じ漫画しか見ない...
最初は他の漫画も見ていたが
最近はやたらと転生系の漫画が流行りなようでそればかりだ。
新連載の漫画があればチラ見するが結局転生...
転生したら上手くいったそんなストーリーばかりだ。
今の俺には転生とか生まれ変わりとかそうゆう言葉は嫌気が差す
こんな状態だったら普通は生まれ変わりとゆう希望を持ちたいはずだが
俺の名は長生とゆう名前なのにこの若さで余命宣告をされ死を待つ状態だしテレビをつければ残酷なニュースばかり。
そんな世界に神なんているわけがないからだ。
もし本当にいるのなら俺はこんな絶望を与えた神に殺意が芽生えてしまうだろう...!!
「おっ?また新連載の漫画か?まぁ...どうせ転生だろ?」
いつものように偏見を持ちながらペラペラと音を立ててページを捲り新連載のページに辿り着くが
内容は...やはり転生物の漫画だった
「また転生....?でもなんだこれ?すごい引き込まれるぞ?!」
そう思った時漫画に釘付けになり
俺は時間を忘れまるで時間が止まったかのようにその漫画を見入っていた。
「おさむ?!おさむ!!!!」
「えっ?!」
気付くと目の前にはなおとがいた。
時計を見ると16時12分すでに学校も終わってる時間になっていた。
朝から読み始めたはずだから
数時間は経ってる?でも週刊誌だよな?
全部読んでも数百ページなはず...
「何度呼んでも漫画読んだまま返事しないから看護師さん呼ぶ所だったんだよ?!」
「あ、あぁ....ごめん...」
な、なんなんだ?あの本??
嫌いな転生系漫画なのにすごく引き込まれる...
まるで本の世界に入ったかの様に...
「悪い冗談は辞めてよ...?」
「ご、ごめん...!!」
「まぁいいけど...あのさ...話変わるんだけど...??」
なおとはまるで重い口を動かす様に話を進める...
「冷静に聞いてね??」
「おさむの彼女のりなちゃん......」
「うん?」
「............」
「なんだよ?!」
「......亡くなったみたい」
「えっ?!」
「おさむと同じ病気で...」
その言葉を聞いた瞬間
俺は絶望の淵に立たされた様だった...
何故なら...それは...
そうあれは1年前俺の病気が発症した時だ。
ちょうど一緒にりなと学校から帰る時....
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「おさむ?!大丈夫??」
「うぅ...」
りなは声が震えていてすごく心配していたのがわかった。
だが、俺はうずくまり痛みに耐えきれず
受け答えも出来ずうなされていた。
「だ、誰かぁぁ...!!きゅ、救急...救急車を....」
それから救急車で病院に運ばれて即入院になったそうだが
意識不明により目を覚ましたのは一ヶ月以上経った後だった。
「うぅ....」
目を覚ますと
そこに見覚えのある女性がいた。
母さんだった...
その時の母さんの顔は
何度泣いたのであろう目は赤く腫れあがり顔も痩せたのか?げっそりとしていてまるで別人かのようになっていた。
「お、おさむ....!!?ちょ...ちょ...ちょっと待ってて先生呼んでくる」
母さんは驚き戸惑い慌てて医者を呼びに行き
医者も驚いた様子ですぐ駆けつけた
そして横になったまま
医者から病気の説明を受けた
なんでも原因不明のウィルスに感染しており
身体の状態的にも余命は二年だとここで宣告された。
俺は頭が真っ白でその後の話は覚えていない
そして医者が戻ったあと追い討ちをかけるように母さんが言いづらそうに重い口を開けた
「あ、あのね...なおと...?」
「ん?」
「りなちゃんだけど...」
「な、なんだよ...」
「実は....」
そこで聞かされたのは
俺のウィルスが発症した時の数分が感染の期間だったらしく
その時一緒にいたりなが感染し意識不明の重体との事だった。
今対面ができるのは原因不明だそうだが
救急車で運ばれて検査した時には感染のリスクはないと判定されたらしい。
余命宣告、さらに彼女のりなを感染させてしまった事
まるで胸をマシンガンで何度も撃ち抜かれた様だった
母親は続けてフォローに入ったが
俺は何も聞こえてこなかった。
それから数日間上の空だった
そしてある日の夜...
「うわぁぁあああああああ!!!」
俺は衝動的に大声で叫びながら点滴の注射を引きちぎり病院を出て無意識に走っていた
「バカやろーーーーっ!!!なんで...なんで...こんな事に...」
俺は行先もわからずただ走った。
消えて無くなりたいそう思っていた。
「.......」
俺は...知らぬ間に意識がなくなって道端に倒れていたところ発見されたそうだ
目が覚めたら
知っている天上
知っている匂い
入院先の病院だった。
それから俺は罪悪感と恐怖のあまり
誰にもりなの事が聞けなくなっていた
それが今こんな形で聞かされるとは.........
「....ご、ごめん...なおと...今日は帰ってくれ...」
「え?あ、あぁ....」
なおとは気まずい顔をしながらとぼとぼ重い足取りで病室を出ていった。
「.....」
なんで...なんでだ!!!
「神の、神のバカやろおおおおおおおおおお!!」
俺は無意識に怒りの矛先を信じてもいない神にして叫んでいた。
誰かを的しないとこの怒りが治らないと思ったからだ。
俺だけならまだいいものの...
なぜ、りな命まで...奪うんだ??
だから俺は神なんて信用しない...!!
その瞬間読んでいた雑誌がパラパラ捲れ宙に浮いた。
(神をバカにするものよ!!!こちらへ導き通す!!!このトリガーに触れよ!!!)
地鳴りの様な図太い声が本の中から響いた。
そして俺は無意識に雑誌に触れた。
すると一瞬にして眩いほどの光に辺りは包まれ
反射的に目を閉じていた。