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31話 生徒会長がなんで俺に?

 昼休憩となり春人は鞄から弁当を取り出す。


(さてと、今日はどうするか)


 いつも適当に誰かと昼食を取るので谷川でも誘うかと思っていた春人だが――。


「春人君春人君」


 隣の席に座る美玖が話しかけてくる。


「今日一緒に食べようよ」


 弁当箱が入っていると思われる袋を掲げて見せてくる。春人は一瞬逡巡するがすぐに返答する。


「あー、そうだないいぞ食べようか」


 特に断る理由もなかったので美玖の誘いを受け机を寄せる。正面で向かい合うように机を並べ春人は弁当箱を開ける。


「珍しいよな美玖から誘ってくるって」


「うん、最初はどうしようかなって思ったけど春人君寂しそうに一人でいたから誘おうかなって」


「別に寂しいとか思ってないぞ。そいうか香奈はどうしたんだ」


 いつも一緒に食べている香奈がいつまで経っても姿を現さず春人は教室を見渡す。


「香奈今日は生徒会の会議だって。ご飯もその時済ませるって言ってた」


「ほえー、生徒会ってやっぱり大変なんだな」


 春人は感心したように目を丸くする。昼休みまで仕事があるとはやはりブラック生徒会なのではないだろうか。


 美玖も「そうだねー」と相槌を入れながら弁当箱を開け行儀よく手を合わせるとおかずに箸を伸ばす。

 春人はそんなただご飯を食べてる美玖に少し注目して目を向けていた。


(箸の使い方綺麗だな)


 細い指が器用に箸を扱う姿につい見惚れてしまっていた。ただそれだけのことなのに感心してしまう。


 ぼけーっと美玖の食べてる姿を凝視していると当然相手も気づくわけで、美玖が訝し気な視線を向ける。


「どうしたの春人君?」


「えっ、やっ、なんでもないぞ」


 誤魔化すように春人は弁当箱の中身を口の中に掻き込む。

 そんな春人の姿になにかを感じ取ったのか美玖は自分の弁当からおかずを箸でつかみおもむろに春人へと差し出す。


「ほしかった?あげるよ?」


 春人は美玖の突然の行動に身体を硬直させる。差し出された卵焼きを見ながら息を呑み、少し動揺を表に出す。


「あ……えーと、べつに そんなつもりで見てたわけじゃ」


「やっぱり見てたんだ」


「……ッ!」


 思わず自分から自白してしまった。そんな春人の動揺しきった様子が面白かったのか美玖がにひっと口角を上げる。


「見てたんだねー。それで春人君は何んで私のこと見てたのかな?」


「別に変なこと考えてたわけじゃないぞ」


「変なことねー。何を考えてたか聞いただけなんだけどなー。最初に出てきた言葉がそれかー」


「………」


 完全に美玖に飲まれてしまっている。これでは春人が勝手に自爆する未来しか見えてこない。

 頬を引きつらせ春人は苦し紛れに口を開く。


「咄嗟に出てきただけだよ。なんか疑ってるみたいだったからな」


「ふーん、まあいっか。それなら私に教えられるんだよね?」


「………」


「変なことじゃないんだし」


 にこりと満面の笑みを作り美玖が春人に微笑む。その笑顔はとても可愛らしいのだが、今の春人にはとてもじゃないが素直にそんな感想は出てこなかった。


(なんていうか、ここで教えるのは負けた気がしてやだな)


 どうしたものかと春人が悩んでいると美玖がさらに笑みを深める。何かを企んでいるようなそんないたずらっ子のような笑みだ。


「それならさ。素直に白状するか。この卵焼き食べるかどっちか選んで」


「はい?」


 意味不明な選択肢が追加され春人は呆然と口を開けて固まる。


「どうしたよいきなり」


「だって春人君このまま黙ってればどうにかなるとか思ってるでしょ?」


「……ソンナコトナイヨ」


 視線を横に逸らしながら片言の日本語を口にする。そんな春人に美玖は唇を尖らせる。


「ほらね。そんなのはずるいと思うの」


「ずるいと思うからってなぁ……ちなみにその卵焼きは俺が自分で食うのか」


「ううん、私が食べさせる」


「だろうな」


 知ってた、というように春人は苦笑する。


「心配しないでちゃんとおいしいから」


「そんな心配はしてない」


 心配すると言うなら他にある。春人は周囲に視線を送る。幸い春人たちのやり取りに気づいているものはいなさそうである。


(こんなの誰かにバレたら一大事だぞ)


 学校一可愛い女の子と噂される美玖が男子生徒にあーんさせた。こんなの騒がれないはずがない。この噂は一瞬にして学校中に広まりその後起こることと言えば――。


(……男子生徒の特定と糾弾)


 春人は想像しただけで背筋に悪寒が走る。全校生徒男女関係なく様々な目を向けられるだろう。まだ高校に入学して数ヶ月……春人もこんな段階で残りの学校生活を肩身が狭い思いで過ごしたくはない。


 春人の中の天秤が大きく傾いた。


「俺が美玖のこと見てたのはな……」


「あ、言うんだ」


「俺もまだ楽しく生きたいからな」


 なにかを吹っ切れたようなすっきりとした顔を作る春人。そんな春人の言葉に美玖は不思議そうに目を向ける。


 そして春人が続きの言葉を口にしかけたとき教室の扉ががらがらと音を立てて開いた。


「んーとー……あ、いた。おーい春人」


 名前を呼ばれ春人は咄嗟に顔を向ける。


 そこには大きく手を振る香奈の姿があった。香奈はそのまま教室に入ってくると春人たちのそばで立ち止まる。


「よかったー教室にいてくれて」


「よかったって……香奈生徒会の会議じゃなかったのか?」


「うん、そうだったんだけどどうしても春人に会いたいって人がいてさ」


「俺に?」


 思いがけない言葉に春人は首を傾げる。わざわざ自分に会いたいという人物に心当たりがない。困惑していると香奈の後方からよく通る澄んだ声が聞こえてきた。


「君が百瀬春人か」


 名前を呼ばれ春人は反応する。視線の席には息を呑むほどに美しい女性が立っていた。


 サラサラな黒髪を揺らし春人に視線を向けてくる。一目見れば忘れることなどできそうにない美貌とすらりと伸びる手足が彼女の凛とした佇まいと相まってまるで絵画の作品のような感覚に襲われる。


 そして春人はこの人のことを知っていた。


「生徒会長がなんで俺に?」


 香奈が連れてきた人は何を隠そうこの学校の生徒会長だ。春人も何回か全校生徒の前で堂々としている姿を見ているので知っていた。


 そして正体を知ってなお春人が声に出した言葉は当然といってもいい疑問だった。今まで春人と生徒会長の間に接点などない。もしかしたら廊下ですれ違ったことはあるかもしれないが本当にその程度だ。


 困惑している春人に彼女は凛としていた表情を少し崩す。


「すまない、こちらが名乗ってないのに気安く声をかけてしまい、私は喜多村(きたむら)(あおい)、知っての通りこの学校の生徒会長を務めている。突然の訪問許してくれ」


 言葉の端々に育ちの良さを感じる。偉そうなと言えば聞こえが悪いかもしれないが彼女からは不思議と嫌悪感は感じられない。むしろ嫌悪感を感じさせないほど堂々としているからか逆に好感を持ててしまう。それが自然で当たり前とでもいう彼女のカリスマ性がなせることなのか。


 春人だけでなくクラス中の生徒が彼女の一挙手一投足に注目していた。


「えーと、俺は別に気にしてませんが……」


 相手が相手だけあって対応に困る春人。妙に緊張してしまう。

 そんな春人の緊張を察してかはわからないが微笑みを浮かべる葵。


「ありがとう百瀬。あとそんなに緊張しなくていい同じ学校の生徒なのだからな」


「そう言ってもらえるのなら……わかりました」


 春人はまだ慣れないがぎこちなくもしっかりと葵の目を見て返答する。

 それに満足したのか葵は一度頷くと少し顔に力を入れ凛とした雰囲気を醸し出す。空気が変わったことを察した春人も顔が少し強張る。


「早速だが本題に入ろうか。お昼の時間を邪魔しては申し訳ないからな」


「まだ十分時間あるのでお構いなく。それで会長が俺に用があったんですよね?」


「ああ、ただ私だけというわけではないのだがな」


 何か含みのある言い方をすると葵の後ろの方でちょこんと誰かが顔を出した。その人物に春人は目を丸くする。


「あれ、くるみ先輩じゃないですか」


「やーもも君久しぶりぃ」


 久しぶりというほどでもないと思うが、くるみは葵の後ろからゆっくりと出てくる。


「朝はありがとねぇ。先輩助かっちゃったよぉ」


「いえ、放っておくこともできなかったので」


「私からも礼を言うよ。彼女の助けになってくれてありがとう」


「そんな……会長の用事ってもしかしてこれですか?」


「?ああ、そうだが」


 葵はなぜそんなことを聞くのかとでも言わんばかりに不思議そうな顔を作る。だが春人の気持ちもわかる。生徒会長自ら出向いてまで礼を言うこととは思えない。


「春人気づいてないんだね副会長のこと」


「副会長?」


「そう、くるみ先輩生徒会の副会長だから」


「え?そうなの?」


 春人は驚愕し口を大きく開く。全く気付かなかった。


「くるみ先輩が副会長……大丈夫なんですか?」


 感じたことをそのまま口にしてしまう春人。少々失礼だったかと後悔しそうになるが――。


「ふっ、ははは。百瀬、君は面白いやつだな」


 葵がおかしそうに笑い春人の懸念を吹き飛ばしてくれる。


「今の笑うところでしたか?」


「本人を前にして大丈夫なのかと普通は聞かんだろう」


「俺も普通はしませんけどくるみ先輩となると……」


 くるみへ視線を送ると話の内容がわかってないのかくるみはこてっと首を傾げている。


「君の気持ちはわかるぞ。彼女は少し抜けてるところがあるからな」


「少しですか?」


「本当に正直だな君は」


 楽し気に形相を崩す葵。彼女がここまで表情を柔らかくするのは珍しい。教室の端から春人たちの様子を窺っていた女子生徒から黄色い声が飛ぶ。


「しかしよく俺のことわかりましたね。くるみ先輩俺の名前覚えれてなかったと思いますが」


「ああ、それについては彼女のお陰だ」


 葵は香奈へと視線を向ける。


「生徒会室でくるみ先輩が朝のこと話してたの後輩に助けられたって。でも名前聞いても“ももてはーと”とか意味が分からないし」


「だろうな」


 それには春人をはじめ周囲の人間も同意するように頷く。


「それで他になんか特徴なかったのか聞いたんだ。そしたら目立った特徴もなく地味な感じの生徒だったって。それでピンっときたの――これは春人だって」


「おい、ちょっと待て。なんでそれで俺ってなるんだよ」


 あんまりな特定方法のひどさに春人は眉を顰め不服を申し立てる。そんな春人の反応に香奈はおかしそうに声を出し笑う。


「あははっ、冗談だって。ほんとは“ももてはーと”でちょっと引っ掛かってたんだよねー。これ百瀬春人に似てねって」


「驚愕の推理力だな」


「もっと褒めていーよー」


 得意げに胸を張る香奈は確かにすごいのだが春人は素直に褒める気になれなかった。春人特定の話はここまでにして葵に視線を向ける。


「それでもわざわざ会長までお礼に来る必要ありました?」


 話を聞いていても生徒会長まで同行してくることはなかったのではないかと思う。そんな春人の疑問に葵は苦笑して答える。


「彼女の面倒を見る大変さは私もわかっているつもりだからな。君にはとても面倒をかけただろう」


「確かに大変ではありましたね」


 目を瞑ればすぐに思い出せる朝の惨事を……。


「そういうことだ。日ごろから彼女のそばにいる私が身をもって知っているんだ。こうしてお礼を言いに来たくもなるさ」


「くるみ先輩のあれは平常運転なんですね」


 何とも微妙な笑顔を作るとくるみが不満そうに口を開く。


「なんかすごくバカにされてる気がするぅ」


「バカになんてしてないですよ」


「ほんとかなー?」


 くるみはまだ納得できてないみたいで春人にとことこと身体が密着する距離まで近づく。


「え、ちょっ、先輩?」


 動揺する春人の周囲でいくつか声が漏れる。


「もも君はわたしのことちゃんと理解してない」


「理解してるかと言われれば確かにそうですが」


「うむ、ならわからせてあげよぉ」


 くるみは両手をばっと開くとそのまま春人の身体に抱き着く。


「……っ!?」


 まさかの行動に春人は目を大きく開けて驚愕する。そばにいた美玖や香奈も口を開け驚いている。


「え、あの、先輩?これは……」


「うん、心臓の鼓動が早くなってる」


「そ、それはその……こんな状況なら当たり前というか」


「つまりもも君は私の魅力にドキドキだと」


「いや拡大解釈しすぎでは……」


 いまだに何の目的なのかがわからず春人の困惑は増す一方だ。


「はー……なんかこうしてると落ち着くぅ」


「落ち着いてないで離れてもらえませんか?」


「やだよぉ。こんなに心地いいのに離れるなんてもったいないぃ」


 顔をすりすりとこすりつけてくるのでこそばゆい。春人は助けを求めて葵へと視線を向ける。


「あー……くるみいい加減離れてやれ百瀬が困っているぞ」


「えー、もも君困ってるの?」


「困ってるというか。なんか恥ずかしいというか」


「そっかー、ならいいねぇ」


 言うとくるみは両手に力を入れ更に春人に密着する。


「あの流石にこれ以上は……」


 引き剥がそうと両手を上げるがどこに触ったらいいのか躊躇い行く当てのなくなった両手がむなしく動きを止める。


「おう?ドキドキが強くなったぁ。もも君も私の魅力がわかってきたぁ?」


「わかりました!わかったので離れてください!」


 春人の胸元で顔を上げるくるみにやけくそ気味に叫ぶ。


「うんうん、わかってくれてよかったよぉ。先輩の威厳ってのもあるしねぇ」


「のんきに話してないで早く離れてください!」


 するとくるみは最後にぎゅっと両手の力を強めてから春人から離れていく。葵の方に戻りながら「わからせてやったぁ」などと満足そうに口にしているくるみに比べ、春人は精神的に疲弊していた。


(なんなんだ本当にこの人……)


 終始行動の意図がわからなかった。春人が怪訝な顔をし視線を向けているとそれに気づいたくるみが小さくふんっと鼻を鳴らす。得意げにドヤ顔を作ってはいるが春人にはその意味すらもわからない。


「すまなかったな百瀬。彼女も決して悪気があるわけではないのだが」


「その辺は何となくわかってるので大丈夫ですよ」


 何も悪くはない葵に謝罪されては春人も何も言えない。


「それにしても二人は随分と仲がいいんだな。あだ名と名前で呼び合うとは。以前からの知り合いというわけではないだろう」


「知り合ったのは今日の朝ですね。あだ名というかそれは先輩が俺の名前覚えなかっただけです」


 そこで春人は、はっとくるみを見る。「どうしたぁ?」と首を傾げるくるみを見ながら春人は苦笑する。


「そういえば俺先輩の名前しか知りません」


「?うん、教えたからねぇ」


「いや、そうなんですけど」


 教えてもらったことは事実だがその点はどうでもいい。春人たちのやり取りで理解したのか葵が、あーっと声を漏らす。


「なるほどそういうことか。百瀬、彼女は花守くるみだ。くるみも教えるならちゃんと教えてやれ」


「そうかー、フルネームを言ってなかったかぁ。これは失礼」


 ぺこりと頭を下げてくるくるみに春人もつられて下げ返す。


「いえ、いいですけど……花守先輩と呼んだ方がいいですか?」


 なんとなく名前呼びに抵抗がある春人がそう問うとくるみは不思議そうに視線を向ける。


「なんでぇ?」


「まあ先輩ですしその方がいいかと」


「別にくるみでいいよぉ。なんなら先輩も別にいらないしぃ」


「……くるみ先輩で」


 流石に先輩を呼び捨てにする度胸は春人にはない。結局今まで通りの呼び方に戻るがくるみは「別にいいのにぃ」と不満げに漏らしていた。


「そろそろお暇しようか。これ以上時間を取らせるのは申し訳ない」


 言うと葵は香奈とくるみを引き連れて教室の扉へと向かう。


「ありがとう百瀬。楽しい時間だった」


「こちらこそ。ありがとうございました」


 葵は横目に微笑みを浮かべると教室から出て行く。それだけのことで教室の端で生徒たちがため息をこぼす。


「んじゃねー二人とも」


「ばいばーい」


 香奈とくるみも出て行くと教室はようやくいつもの静けさを取り戻し始めた。


 三人が出て行った扉を見ながら美玖が声を漏らす。


「なんかすごい人たちだったね」


「ほんとな。あの二人が会長と副会長の生徒会って色々とすごそうだよな」


 しっかりもので隙らしいところが全く無い葵とまったりマイペースで無自覚に周りを振り回しそうなくるみ。ちゃんと運営できているのか不安になる。


「まあ、あの会長ならうまくやるか。実際問題なくやってるんだろうし」


 今まで生徒会で何か問題があったなんて話は聞かない。むしろいい噂しか流れてこないのだから春人の心配は杞憂なのだろう。


「朝言ってた迷子ってあの先輩だったんだね。えーと、花守先輩」


「ああ、俺らより一年多く通ってんのに迷子になる意味が分からんけどな」


 方向音痴で済ませれるレベルではないと思う。しかも本人がそれを自覚していないのも問題だ。


「可愛い人だったね」


「え、……あーくるみ先輩?確かに可愛い人ではあるよな」


 可愛いかどうかで言えば間違いなく可愛い分類だ。それは春人も同意する。


「ふーん、春人君はああいうのが好みなんだ」


「好み、とかではなくて単純に可愛いと思っただけだぞ。たぶん他の奴らに聞いてもそう言うし」


 春人が言う通りほとんどの人間がくるみの人形のような可愛らしさに同じ言葉をこぼすだろう。だが春人の言葉を聞いた美玖からは少々言葉に棘が混ざっている気がする。


「そうだよねー花守先輩可愛かったもんねー」


 笑顔でありながらなにか圧を感じる。この笑顔の裏にはいったいどんな感情が隠れているのか……。


「それはそうと春人君」


 にこっと見本のような完璧な笑顔を作り美玖は弁当を指さす。


「さっきの続き忘れてないよね?ほらどうするの?」


 指さす先にはおいしそうな卵焼きが置かれている。


 忘れてくれてればどんなによかったかと春人は小さく息を吐き肩を落とす。もはや美玖と高度な心理戦を繰り広げる体力など残っていなかった。


 春人は潔くすべて白状した。その後の美玖からの質問を含め春人がどんなことを考えながら見ていたのかそれはもう赤裸々に余すことなく。

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