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歴戦の騎士  作者: 若葉
一章 放浪
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世界の決まり

 ひとまずガルトは採った山菜の入った袋を腰に紐で固定し、村へと歩きだした。同時に、三人もガルトの横について話し始めた。


「あの、ガルトさんは普段どんな鍛練をされているのですか!?」

「………素振りと薪割り…………後は走っている。」

「ガルトさんはいつも何処の店のポーションを使っているんですか!?」

「………ポーション位は自分で作れる…。」

「その剣と盾の素材って、すごい素材ですよね!?」

「………まぁ、希少素材で出来てはいるが………。」


 案の定、質問責めである。ガルトにとっては帰るまでが拷問のような時間だ。三人の話を聞いていてわかったことは、この国の技術はだいぶ遅れているということだ。


(ポーション?そんなものは薬草を煮て、自分で作ればいいだろう?何故買う必要があるのか全くわからない。)


「ポーションって作れるんですか!?」

「………あぁ。」


(呆れた。こんな初歩的なことも知らないのか。こいつらが無知なだけなのか、それともこの世界全体がそうなのか……………まぁ、後者でないことを祈るが。)


 そんな話をしていると、リナの家へと着いた。


「あぁ、ガルト君!お帰り!」


 扉を開けると、リナの父親が元気よく出迎える。


「………リナはどうした?」

「あぁ、リナなら家畜の牛の世話をしにいったよ。」

「そうか。これを奥さんに渡してくれ。」


 ガルトは採ってきた山菜を渡した。


「お、どれどれ………………ガルトくん?なんだいこれは?」


 ドラゴン草とヒールダケを指差している。


「………ドラゴン草とヒールダケだが」

「……聞いたことないな………珍しい草なのかい?」

「まぁ、珍しいと言えば珍しいな……」

「わかった、渡しておくよ。ありがとう!」


 ガルトは家から出た。外で目を輝かせて待っている三人がいる。


「ガルトさん、早速教えて頂けませんか!?」

「………あぁ。わかった。」


 ガルト達は森に移動する。



























「えーと………ガルトさん?」

「なんだ」

「なんで僕ら切り株に座っているんですかね………?」


 ドランが不思議そうに尋ねる。他の二人も同様に、不思議そうな顔をして首を横に傾けている。


「………?話を聞くのは座っていた方がいいだろう?」


 ガルトはリナの家から拝借した、板と炭を使って絵を描く。


「まず、この世界には『魔力』というものがある。俺達は魔力を使いスキルを使う、そこまではわかるな?」

「はい。」


 三人が頷く。


(どうやらここまではわかっているらしい。この世界の知識は変に偏りすぎている面がある。この新米冒険者でもこの程度の知識を身に付けているだけでも良かった。)


「なら、魔法を使ったあと、体内の魔力は減少するよな?その魔力はどうなる?」

「え………?」


 三人がきょとんとした顔でお互いを見合わせる。


(………嘘だと思いたいが、この三人は魔法を使ったあとに魔力が、どうなるのか知らないらしい。剣術で戦うからといって、スキルを使うので魔力を消費しないということはまず無いだろう。なのにこんなことも知らないとは。)


「………質問を変えよう、俺達はどうやって魔力を回復している?」

「それはポーションとかで……」


 マサが素早く答える。この世界ではポーションなどで魔力を回復するのが一般的である。


「では、ポーションの何が魔力を回復させる?」

「え、薬草の効能とか……」


(………主にポーションに使われている()()()()()()()()()()()()()()()()

 やはりこれは知らないか。)


「………結論から言うと、魔法を使った時の魔力は空気中に放出される。その放出された魔力を植物や魔物が呼吸をすることで吸収する。………今例として上げたマジック草は、魔力を多く溜め込む特徴がある。だから、ポーションに使用されるのだ。」

「な、なるほど………」


ガルトは植物と人の絵を描き、魔力が循環する仕組みを説明した。


(こんなことも知らないとは。この世界の教育はどうなっているのだろう。まぁ、俺の知ったことではないが。)


「ガルトさんって本当に物知りなんですね!!」


 金髪の少女が目を輝かせながら言う。


「この程度初歩的な知識だ……………ん?」


(………金髪の少女?)


「?」


 リナが、きょとんとした顔でガルトを見ている。


「………いつからそこにいた」

「魔法を使った後の魔力の話からです!」


(つまり、最初から居たと言うことか。)


「………家の手伝いは?」

「終わらせました!!」


(………手伝いも終わらせているのか。)

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