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歴戦の騎士  作者: 若葉
四章 ガルトの旅
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陥落

「【氷結地獄(ブリザード・ヘル)】!!」


 アイシクル将軍が空中を矛で切ると、たちまち辺りが凍りついた。フレイアの炎が弱まる。周囲の魔族の兵士たちは少しばかり動き辛そうである。


「……持久戦に持ち込む気か?爺さん。」

「……どうかのう。お主が凍りつくのが先か……儂が首を取るのが先か。どちらが早いかのう。」

「はっ……私がお前の首を取るのが答えだよ!!」


 叫び声とともに、フレイアは剣を振る。炎の刃が現れ、アイシクル将軍に向かって放たれた。


「……フン!」


 アイシクル将軍は素手で向かってきた炎の刃を殴り、破壊してしまった。アイシクル将軍のどこにもダメージは入っていない。


「……はぁ!!?おまッ……」


 フレイアが驚いたことにより、一瞬の隙が生まれた。アイシクル将軍はその隙を見逃すことは無かった。素早くフレイアの懐に入り込み、フレイアの腹部目掛けて拳を大きく振る。


「遅い!!油断するな!!【氷結拳(アイス・パンチ)】!!」

「グボッ!!!」


 フレイアはアイシクル将軍のパンチによって飛ばされた。要塞の壁にぶつかり、その衝撃で門が崩れた。凄まじい威力だ。


「ゲホッゲホ……」


 フレイアは体のあちこちから出血していた。軽症ではない。重症だ。もはや戦える状況ではなかった。


 アイシクル将軍は床に落ちた魔剣イフリートを手に取った。


「これが、魔王の作ったアーティファクトもどきか。なかなか難しいものを作るもんじゃのう。」

「がえ……せ。それは、わだしのものだ……!!」


 フレイアは魔剣の方へと這っていく。歩くことすらままならない。アイシクル将軍は冷たい目でフレイアを見つめて言った。


「……自分たちは散々奪ってきた側であると言うのに、いざ奪われる側になるとそれを守ろうとする。……なんとも言えんな。」


 アイシクル将軍は魔剣を捨て、フレイアの方へとゆっくりと歩み寄る。周りの兵士がそれに気づき、フレイアの元へと駆け寄った。


「フレイア様、ここはどうか撤退を!!このままではフレイア様だけではなく、兵も全滅します。どうか、どうか!!」

「……クソが!!全軍撤退だ!!」


 フレイアがそう叫ぶと、どこからか弓が飛んできた。そして、フレイアたちは煙玉を地面になげつけた。


「【氷盾(アイス・シールド)】!!」


 アイシクル将軍が矢を防いだ隙に、フレイアたちは逃げてしまった。煙が晴れた後には、門の壊れた要塞と、魔族の死体。そして、氷の欠片が残されていた。


「……思い出す。あの時の戦争を。……二度と、あの悲劇をアストラルに近づけてはならん……」


 アイシクル将軍はすぐさま要塞の内部に入った。魔族の兵士は全員逃げたようで、要塞は既にもぬけの殻であった。アイシクル将軍は地下牢を発見し、その中を覗いた。


「だ、だれ?」


 そこには足枷をつけられた子供たちがいた。アイシクル将軍は怯えた表情をする子供たちに笑顔を見せた。


「やぁ。儂はアイシクル・ブリザード。君たちを助けに来た。もう、安心なさい。少し離れてなさい。扉を壊すから。」


 アイシクル将軍は矛で扉の南京錠を壊した。


「あ!アイシクル将軍だ!!」


 アイシクル将軍に気づいた子供たちが近づいてくる。アイシクル将軍はその子供たちを抱きしめながら言った。


「……すまんのう。儂ら大人が情けないばかりに怖い思いをさせてしまった。さぁ、お父さんやお母さんの元へ帰ろう。」


 アイシクル将軍は外へ出ると、氷で馬車を大量に生産した。そして、騎兵も大量に生産し、守りを固めた。帰りはとてもゆっくりと帰り、周囲の警戒を怠らなかった。フレイアが残して帰った、魔剣もしっかりと回収した。


「……ギルバス・ローグ。帰ったら覚えておけ。」

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