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歴戦の騎士  作者: 若葉
四章 ガルトの旅
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将軍の決意

 それからフィルティアは、「荷造りをしてくる」と言ってまた【転移魔法(テレポート)】を使った。荷物を取ってくるついでと言って良いのかわからないが、一緒に来た使者と馬車までも移動させてきた。


「……えっ!?わ、私はどうしてミート村に!?」


 使者はとても驚いている。ガルトとアクエスはもう既に見たため、あまり驚くことはなかった。


 フィルティアは数分したらまたミート村に移動してきた。しかし、荷物を一緒に持ってきてはいなかった。


「荷物はどうしたんですか?」

「後でまた魔法を使えばいいよ。ここで取り出したら運ばないといけないから。」


 確かにその通りである。フィルティアはアクエスに対しては少し素っ気ない様子だ。興味を持っていないというか、まぁ、良い印象は持っていないのだろう。


「……準備は出来たか。」

「うん。案内してよ。」


 ガルト達はミート村の中へと入っていった……


 ◇◇◇


 一方その頃、王都では騒ぎが起こっていた。王都で暮らしている子供が、男女問わず30人誘拐されてしまったのだ。これに対して王家は全力を挙げて捜索をしたが、発見されることは無かった。唯一わかったことは、魔族がこの一件に関わっているとの事だけ、だ。


 王城にある一室、防衛大臣の部屋では、アイシクル将軍がギルバスの胸ぐらをつかみ、壁へと押し付けていた。


「貴様……どういうことだ!!国を守るのが防衛大臣であるお主のやることじゃろうが!!何故警備を手薄にした!!子供が……若い宝が、30人も誘拐されたんじゃぞ!!?」

「お、落ち着かれよ、アイシクル殿。確かに警備を疎かにしたのは私の不手際だ。だが、その分城の警備はより厳重に……」


 ギルバスが話をしている途中で、アイシクル将軍はギルバスの顔の横の壁を殴った。壁には穴が開き、欠片が零れ落ちていった。


「貴様……王城には近衛騎士団も、儂も居る。何故これ以上に王城の警備を固める必要性がある!!やはり、貴様は魔族の内通者であるのか!!」

「ま、まさかそんな……同じアストラル国の者に疑われるなど、心外ですな。それよりも、早く子供達を助けなければ、どうなるかは分かりませんなぁ……」

「グゥゥゥ!!貴様……!!」


 ギルバスは黒い笑みを浮かべてそう言った。アイシクル将軍はその言葉を聞いて、怒りで体が震えた。


 アイシクル将軍はギルバスを軽く投げ飛ばすと、直ぐさま部屋を後にした。


「……儂が帰ってきたら、直ぐに奴を殺してくれよう……!!」


 アイシクル将軍は通路で兵士を発見し、呼び止めた。


「おい、そこのお主。」

「はっ、お疲れ様です。アイシクル将軍。どのような御用でしょうか。」

「うむ。国王陛下に伝えてくれ。儂、アイシクルブリザードは【炎将城】へと行く。密偵から、そこに子供達が捕まっているとの情報が入った。急がなくては取り返しがつかなくなってしまう。頼んだぞ。」

「なっ、将軍お一人で行かれるのですか!?」

「心配せずとも大丈夫じゃ。老いぼれには力は無いが、知識と経験が詰まっておる。しかし……万が一にも儂が戻らなかったら、その時はミート村のガルト殿の力を借りるのじゃ。良いな。」


 そういって、アイシクル将軍は自室に向かった。鎧を身に纏い、自身の相棒である、【氷河の大矛】を手に取った。


「……古傷が疼く。嫌な予感がするのう……」


 アイシクル将軍は外へ出ると、すぐに馬の用意をした。幸い、【炎将城】は、ここから馬ですぐに着く距離にある。人族と魔族の国境の境にある城だ。


「よし……行くぞ!!【氷結錬成 騎兵】!!」


 アイシクル将軍が魔法を使う。たちまち大人数の騎兵が生み出され、騎兵隊となった。


「【氷結騎士団】一丸となり、子供たちを救うのじゃ!!いくぞ!!」


 アイシクル将軍の掛け声とともに、全体が走り出した。軍を率いて走るアイシクル将軍の姿は、まさに英雄そのものであった。


 ◇◇◇


 それから時間が経ち、【炎将城】へと到着した。城には大勢の魔族たちが待ち構えていたようで、門の前にはフレイアと魔族の軍が臨戦状態で待っていた。


 アイシクル将軍は少し距離をとって止まった。騎兵隊も同時だ。炎魔将 フレイアと、氷将軍アイシクル・ブリザードはお互いを睨み合った。


「来たな……アストラルの将軍、アイシクル・ブリザード。お前を待っていた。」

「……炎魔将 フレイアか。そこを退け。子供達を解放しろ。」

「あーあ。ガキを誘拐したのはバレちまったか。それは無理な相談だな。」

「……死人が出ることになるぞ?」


 アイシクル将軍の忠告を無視したかのように、フレイアは大剣、【魔剣 イフリート】を構える。アイシクル将軍は馬から降り、矛を構えた。


「……全軍、突撃じゃ!!」

「お前ら!!突撃しろ!!」


 両者の掛け声とともに、両軍の兵士が戦う。フレイアの軍は剣を持った兵士と、縦を持った兵士のみである。


「ハァァァ!!」

「フン!!」


 フレイアとアイシクル将軍の武器がぶつかる。炎属性と氷属性が反発して、蒸気が上がった。


「炎と氷……どっちが強いんだろうねぇ。」

「興味無いのう。この戦いは、己の信念をどこまで貫き通せるか、それが重要じゃ!!」

「訳の分からないことを言ってんじゃねぇよ!!」

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