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歴戦の騎士  作者: 若葉
四章 ガルトの旅
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炎魔将 フレイア

ジュラドが一人で戦っている頃、同時にガルトも赤髪の魔族と戦っていた。


「へぇ。お前が私の相手をするんだ。言っとくけど私は強いよ?なんたって私は、炎魔将 フレイアだから。お前に私が倒せるかな?」


そう言ってフレイアは背中から大剣を取り出した。


「【魔剣 イフリート】…魔王様自らがお作りになった【魔王の武器】の一つさ。あっちで戦ってる緑髪が持ってる杖も【魔王の武器】だよ。」

「…それが、神器と同等の武器か…」


ガルトは魔剣を見る。とてつもない業物だ。


(ほう…確かに勇者と同等のレベルかもしれん。ここまで来るこの圧迫感…【ボルケーノドラゴン】…?)


「…その魔剣の素材はボルケーノドラゴンか?」


ガルトがそう尋ねると、フレイアは驚いた表情を見せた。


「…凄いね、お前。私は魔王様に素材を聞くまではわからなかったのに。」

「…そうか。」


ガルトは鞘から剣を抜き、盾を構える。


「以外と無口な騎士なんだねぇ…私の性格と合わないや。もっと熱くなれないの?」

「…何を言っている?」

「いやさ、普通戦闘ってテンションが上がるでしょ?戦う前からそんなじゃあ、張り合いがないんだけど。」


(こいつは何を言っているのだろうか。俺は戦闘で気分が良くなったことはない。それ以上に集中の妨げになる。)


ガルトはフレイアを無視して斬りかかる。


「【闘気解放・無】…【闘気剣術・一撃必殺の型】!!」


ガルトは闘気を解放し、剣に流し込む。十分に闘気が溜まったところで剣を横に振り、斬撃をひとつ出した。


その瞬間、フレイアは広角を上げ、魔剣を構える。


「【獄炎斬(ヘル・スラッシュ)】!!」


フレイアもスキルを使い、赤黒い炎が剣に纏った。そのまま縦に大きく振る。


互いの斬撃が激しくぶつかり、打ち消された。


「…私の一撃と互角ね…相当な猛者、か。もしかして、シュラ様が言ってたガルトって奴?」

「…そうだが。」


ガルトは軽く返事を返し、次の攻撃の準備をする。


「【闘気剣術・斬撃無双の型】!!」


ガルトは八の字に剣を振り、斬撃を何度も繰り出す。フレイアも対抗してスキルを使う。


「【炎障壁(ファイア・シールド)】!!」


フレイアが魔剣を地面に突き刺すと炎の壁が現れ、ガルトの斬撃は遮られてしまう。だが、ガルトはそれでも斬撃を繰り出し続ける。


「な、何この圧…【炎障壁(ファイア・シールド)】が破られる…!?」


とっさに後ろへと走るフレイア。フレイアが十分離れたところで、【炎障壁(ファイア・シールド)】が破られた。


「私の防御魔法を破るなんて…面白い、面白すぎる!!」


フレイアは再びガルトへ斬りかかる。ガルトもフレイアに向かって走り、盾を構える。


「姉ちゃんら…俺の故郷に手を出した代償は高いぜ………俺が叩き潰してやらぁ!!」


突如、怒声が響く。ダイモンだ。


「あぁ?あっちも結構苦戦してそうだなぁ。こいつを倒したら助けに行ってやるかぁ。」


一瞬戦いが中断されたが、ガルトとフレイアは再び動き出した。


フレイアが振り下ろした魔剣をガルトが盾で受け流す。受け流すと同時にガルトは剣の先端でフレイアを突こうとした。


しかし、フレイアは寸前のところで交わし、再び魔剣を振るう。今度は横だ。


同時にガルトがしゃがむ。ガルトは足を狙い剣を振るが、フレイアは飛んで交わしてしまった。


ガルトの上を一回転し、ガルトは背後を取られた。ガルトは素早く後ろを向き、フレイアの一撃を受け止めた。


「…凄まじい剣圧。見事なものだ…」


(パール村で戦ったバッカスよりも上。Sランクパーティーのゲイルよりもさらに格上だ。魔剣の能力かどうかはわからないが、少なくとも今の勇者たちでは太刀打ちできないレベルだ。)


ガルトはフレイアが一瞬油断した隙を突いて、フレイアの腹を斬った。


「グゥゥ!」


(…浅い。)


ガルトは続けて二回攻撃をするが、魔剣を盾代わりに使われ、防がれてしまった。


「やってくれたね…結構出血してるじゃん…」

「フレイア様!?大丈夫ですか!?」


ダイモンの攻撃から逃げてきたシルフィーが駆け寄る。


「あぁ、シルフィー。私は平気さ。そろそろ引き上げよう。目的の()()は手に入ったからね。」


そう言ってフレイアは腰にかけてある布袋から、禍々しい紫色の欠片を取り出した。


「あ、あれは!!おい姉ちゃんら、そいつをどうするつもりだ!!」

「魔王様の求めているものを手に入れるために、これは必要なものなんだ。これは私たちがいただいていくよ!」


フレイアがそう言うと、シルフィーが魔法を使う。


「【飛行(エア・フライ)】」


飛行(エア・フライ)】を使い、逃げていくシルフィー達を、ガルト達はどうすることも出来なかった。

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