重力魔法の使い手
「いくぞ、姉ちゃん!」
ダイモンがそう叫び、走り出す。その後勢い良く飛び上がる。かなりの重量のあるハンマーを持って、だ。そして、シルフィーから少し離れた、同じ高さまで飛んだ。
「う、うそ、こんな小柄な男が、ハンマーを持って私の高さまで…」
シルフィーは驚愕した。小柄なドワーフが、しかもハンマーという重い武器を持った者が、自分と同じ高さまで飛び上がってきたのだ。魔法やスキルは一切使わず、生身の体で…
「ドォォリャァァァ!!」
叫び声と共にハンマーを降り下げる。シルフィーはすんでのところで回避する。ダイモンはそのまま地面にハンマーごと落下した。
「チィィ,やっぱ風系統の輩はダメだな。俺のとは相性が悪い。」
「ふ、ふん。君じゃ私に勝てないとわかった?」
シルフィーが少し声を震わせていった。すると、ダイモンは後ろの岩山へと歩いていき、岩山をハンマーで叩いた。
「フン!」
叩かれたことによって岩山が崩れ、大きな岩から、小さな岩ができた。ダイモンはそれらに魔法を使った。
「【重圧】!!」
魔法をかけた後、ダイモンは片手でいわを軽々と持ち上げて見せた。
「確かにお前さんは速い。だがな、俺の重力魔法で軽くした岩を避けられるかな?軽くなっただけで岩の性質はそのままだ。当たれば怪我ですんだらラッキーだな。」
「………え」
青い顔を浮かべるシルフィー。ダイモンは意地悪な顔をして笑い、岩を投げた。
「ひぃ!?そんなの聞いてなぃぃ!!」
「ほれほれ!まだまだいくぞ!!」
次々に岩を投げるダイモン。そしてその岩から半べそをかいて逃げるシルフィー。誰がどう見てもその光景は異様であった。ガルト、ジュラド、フレイアには、ダイモンが悪魔に見えた…




